デレク・アンド・ザ・ドミノス
「グッドフェローズ」の劇中,エンドクレジットに使われていた曲です。
デレク・アンド・ザ・ドミノスはエリック・クランプトンが参加したアメリカのロックバンドです
クランプトンは,ヤードバーズ,ブルースブレイカーズ,クリーム,ブラインド・フェイス,デラニー&ボニー&フレンズ,デレク・アンド・ザ・ドミノスとしょっちゅうバンドを渡り歩いています。
特にクリームの時代にはギタリストとして確固たる地位を築いていて,ホワイト・ルーム(1968)やクロスロード(1969)といったいい曲を作っています。でも,やっぱり一番の代表作はこのいとしのレイラ(1971)でしょうね。
この曲は友人だったビートルズのジョージ・ハリソンの奥さんパティ・ボイドに「道ならぬ恋」をしてしまい,その思いを綴った曲です。
前半はロック史に残るリフによるイントロ,クラプトンとデュアン・オールマンのツイン・ギター,後半インストゥルメンタル・パートからのピアノの演奏。
歌詞の一部です
Like a fool, I fell in love with you,
Turned my whole world upside down.
馬鹿みたいにお前に恋しちまった
俺のこれまでの世界がひっくり返っちまった
Layla, you've got me on my knees.
Layla, I'm begging, darling please.
Layla, darling won't you ease my worried mind.
レイラ この通り俺はひざまづく
レイラ お願いだ,ダーリン,お願い
レイラ 不安でいっぱいな気持ちを癒してくれよ
切実な懇願ですね
クランプトンが,こんなにストレートに,これでもかというくらい熱く歌っている「レイラ」のモデルになったパティはこんな人
めちゃめちゃかわいいですね。
だからといって友達の奥さんを奪っていいわけではありませんが,男と女の仲は他人にはわかりません。
パティはその後,ジョージ・ハリソンと離婚して,クランプトンと結婚しました。
歌を作っただけのことはありましたかね。
この曲は当初,クランプトンの名前を前面に出さなかったこともあり,評論家の受けこそ良かったのですが,人気はありませんでした。
長すぎるという理由で短いバージョンも出したようですが売れませんでした。
前半のギターの演奏の部分だけですね
エリック・クランプトンの曲だと言うことを大々的に宣伝し,コンプリート・ヴァージョンを72年リリースしたところ、ようやく大ヒットしました(全米10位,全英7位)。ただし,日本のヒットチャート All Japan Pop 20では全くかすりもしていません。
ちなみにクリーム時代の「ホワイト・ルーム」はAll Japan Pop 20では1969/02に6位でした。
エリック・クランプトンの演奏で異なるバージョンはいくつか出ていて,コンサートのたびに歌われる曲です。
この曲は2004年に発表されたアメリカの音楽雑誌「ローリングストーン誌」が選んだ ”500 Greatest Songs of All Times”では27位にランクされていました。
たぶん,マーティン・スコセッシも大好きな曲なのでしょう。僕も大好きです。
なおこの曲に関わった人たちの何人かはその後けっこう不幸な人生を送っています
はじめのイントロのリフを演奏したギタリスト,デュアン・オールマンはバイクでトラックに追突して死亡しています。ドラッグの過剰摂取した上の事故だったとの推測もあります。
ベースのカール・レイドルはアルコールとドラッグ濫用による腎不全で死亡しています。
さらにこの曲の後半の素敵なピアノを弾いたジム・ゴードン(本来はドラマー)は統合失調症のため(一説ではドラッグによる妄想のため)母親をハンマーで殴り,さらにナイフで殺害しました。殺人罪で懲役16年の刑を宣告され,刑期は終了しましたが刑務所に併設される精神病院で暮らしているそうです。
「グッドフェローズ」で使用されたのは後半のピアノ演奏の部分ですが,殺人の場面にこの美しい曲を使用しているのは,ジム・ゴードンのこのような経歴があったからと考えるのは考えすぎでしょうか。