ものづくりの価値を知る人・1
ものづくりの価値を知る人・その1
先日、「下町ロケット」で知財、特許に詳しい弁護士さんのモデルになったといわれる鮫島弁護士の知財セミナーに参加してきました。
これまで、弁理士さんのセミナーでは触れられなかった、核心について話を聞けた気がしました。
鮫島さんは弁理士の資格も併せ持ち、「下町ロケット」や「半沢直樹」などの原作者である池井戸潤さんの友人です。
作品を読むと感じるのですが、池井戸さんはメガバンク出身でありながら製造業にたいする強い愛情を持つ方だと思います。
鮫島さんと池井戸さんは異業種交流会で出会い、意気投合したそうですが、そこには製造業にたいする愛情が架け橋としてあったのではないかと想像します。
鮫島さんは主に中小製造業の知財を守る立場で仕事をしているのです。
正直、めんどうな仕事だと思います。
膨大な資料を読み込まなければならず、技術のことも理解しなければならない。
同じ大変さなら大手企業の渉外や法務、あるいは相続案件のほうがはるかに儲かるはずです。
それでも製造業を守る立場で仕事をしている。
名刺交換の際に聞き忘れましたが、はっきりとした理由があるのか、それとも言葉にしがたい何かがあるのか ── 。
しかし、特許をどのように戦略的に考えるかは、製造業の死命を制する問題ですね。
<その2につづく>
「絶対に売れない」とか言わない
駆け出しのコピーライターの頃、パイオニアの新製品を担当しました。
ネーミング案のひとつとして[ネビュラ]というものを社内の段階で提案したところ、営業部長から即座に「それはない。発音しづらいから」と却下されてしまいました。
*ネビュラは星雲の意味
若かった私は(そんなに発音しづらくないし)などと思いましたが、いまとなってみれば「まぁ、そうですね」と受け入れられます。
だから、[バーミキュラ]なんてネーミングを見ると、読みづらい、発音しづらい、と思ってしまう。
けれども、個性的な響きである点は「買い」ではないかと。
さて、[バーミキュラ]は、町工場・愛知ドビーの生んだ、鋳物ホーローの鍋からはじまった製品群です。
もしも、ガチガチのB2Bである鋳造工場の社長に「家庭向けの無水鍋を開発して売りたいのですが」といわれたら、私は120%止めます。ええ、全力で止めます。
得意分野とはいえ、困難な技術開発。
売り込む市場は、未知のターゲット。
しかも、ネーミングはバーミキュラ。
ない、ない、ない。
しかし、結果はどうでしょう。
1年半待ちの大ヒット。
メディアはこぞって取り上げます。
バーミキュラ炊飯器も開発して販売して、これも評価される。
ですから、「こんなものは絶対に売れない」なんて、誰にも言えないんですよね。
「これは売れる」はわからないけれど、「これは売れない」はわかる、なんて考えていた時もありましたが、結局どっちもわからないのです。
[コネクター]それは、人のハブ
私は人見知りですし、まったく社交的でもありません、
すいません(>_<)。
意識してはいないのですが、「声をかけるなオーラ」も出してしまっているのではないかと反省したりもします。
で、社交的で顔の広い友人のことはうらやましくもあり、たいへんなんじゃないの、と思ったりもするのです。
英国生まれのライター、マルコム・グラッドウェル氏によると、究極的に社交的な人というか、多くの人を結びつけたり、あらゆるものを広めたりする「係」のような人が、たまにいる、というのですね。
彼は、自身の著書「急に売れ始めるにはワケがある」のなかで、この[コネクター]と呼ぶべき人について書いています。
よくいわれる[六次の隔たり]も、「なんとなく人を経て」というのではなく、圧倒的なコネクターに行き当たって結びつけられる、と主張するのです。
典型的なコネクターの事例が、以下です。
シカゴに住むワイスバーグという女性は、あるとき思い立ってニューヨークのSF作家の集会に顔を出します。
そこで知り合ったクラークという若い作家が、その後シカゴにやってきてワイスバーグに連絡をする。
「ボクが会うべき人っているかい?」
公衆電話からだったそうです。
ワイスバーグは「とにかくウチに来れば」と電話を切って人を探します。
そして、アイザック・アシモフがシカゴに来ていると聞きつけ、家に呼びます。
ロバートなんとか、という作家もいいんじゃないかと思って、家に呼ぶ。
結局、彼女の書斎には、アーサー・C・クラークと、アイザック・アシモフと、ロバート・A・ハインラインがやってきます。
SFファンは「ウソだろ!」と、のけぞるところですね。
のちにSF小説界のビッグスリーと賞賛される3人が、顔を揃えたのですから。
たくまずして、こんなシーンを演出してしまうのが、コネクター。
ビジネスでいえば、クチコミの起点になってくれるような人なのですね。
*作家と代表作
・ちなみに、1冊を選ぶならハインラインの「夏への扉」。
これは[ドラえもん]や[バック・トゥ・ザ・フューチャー]など、すべてのタイムトラベルものの元ネタです。
土浦商工会議所が展示会開催
先週は土浦商工会議所さんの異業種交流会に伴う展示会でした。
その1ヵ月前、同商工会議所でウリを発見するセミナーに登壇しまして、そこに参加していた会社さん5社が出展しました。
じつは、土浦商工会議所さんでは、さらに1年前には展示会活用セミナーの講師で呼ばれています。
そのときも、展示会を控えているのだから勉強しよう、という趣旨だったのです。
他地域の商工会議所でも、展示会の出展を成功させよう、どのように活用したらよいかを学ぼう、という機運が高まっています。
これは私の支援先でも同様で、担当者は「来場者や商談が増えていますね」と語っています。
ということで。
写真は、出展社さんのブースの模様です。
メタル製の新しいベーゴマを開発したのは、スピニングトップさん。
[メカベー]というネーミングのコマや、プレイ台の形状やデザイン、製造過程の話が面白い。
私も回してみましたが、やはり実演のあるブースは来場者を集めやすいですね。
→ スピニングトップ
こちらは、車いすをオーダーできる[もんちゃん]という会社さん。
新品の車いすは高額ですが、なかなか補助金が降りにくいそうです。
そのうえ、汎用的につくられているので、使用者は不便を感じることも多い。
[もんちゃん]では、中古の車いすを「リビルド」し、使う方の勝手に合うように改造してくれます。
(上の写真は、座面が上昇し、立っている人と目の高さが同じになる車いす。指揮者のユーザーさんもいたそうです)
それでいて価格は新品の3分の2から半額。より多くの人に知ってほしい会社さんです。
→ もんちゃん
こちらは、写真館を運営するカメラマンさん。
異業種交流会ですので、名刺や企業ウェブでの写真の効果的な使い方について提案をしていました。
中小企業展示会の決定版
[産業交流展2017]に行ってきました。
今年は東京ビッグサイトでおこなわれた「中小企業による国内最大級のトレードショー」、産業交流展。
東京商工会議所や東京都商工会連合会、東京都中小企業団体中央会、東京都中小企業振興公社、中小機構、東京工業団体連合会など、主な公的支援機関が顔をそろえる、決定版といってもいい中小企業のための展示会です。
ブースでは、耐震住宅の新技術、工場や物流の人手不足に対応する新製品など、面白い展示がいろいろ見られました。
また、公的機関のブースは、例年ですとあまり印象的な出展ではないのですが、今年はちょっと違っていました。
いくつかのブースは共同出展ながら、立ち寄りたいと思わせる演出をしているところが目立っていた気がします(相模原市産業振興財団さん、東京都商工会連合会さんなど)。
一方、出展しなれていない中小企業さんでは、何の展示かわからず、何がウリか伝わらず、声をかけることもせず、ひっそりとしているブースが、しこたまありました。
助成金も出ていて負担が少ないので、そのようになるのかと思いますが、もったいないですよ。
ブースにたたずんでいる時間も、コストですからね。
それと、ノベルティの[ファイル]や[うまい棒]、[ティッシュ]を配りながら、名刺を要求してこないブースが多いのは改めて意外でした。
どん欲じゃないんですね。
まぁ、カタログを一方通行で配って効果につながることもありますからね。
体験や実演もある展示会、[産業交流展2017]は、明日までですよ。