花笠地蔵との出会い | 半田カメラ/気になったら とりあえず行ってみるブログ

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フリーカメラマンで大仏写真家の半田カメラが、
「気になったら とりあえず行ってみる」
をモットーに、彷徨いつづける日々の記録です。

少し前に淡路島の観音像が解体されて、かなり話題になりました。

今は加賀大観音が似たような状況になっていて、

報道番組等で取り上げられることが増えています。

 

巨大仏を取り巻く状況にそうした部分があるのは事実。

ですが地元で愛され、管理者の方が存続に尽力されている巨大仏もたくさんあります。

それなのにそうした部分はあまり取り上げられません。

たぶん『負の部分』を取り上げた方が話題になるからでしょう。

悲しくなります。

 

ですから、私は現在修復作業中の仙台大観音のことをできるだけ発信しています。

仙台大観音はテレビ取材もきているようですが、

数年前の東京湾観音の大規模工事はあまり話題にされませんでした。

こうした尽力されている側面をもっと取り上げてもらいたいものです。

 

 

すみません、冒頭から長くなりました。

こんな書き出しをしたのは、

つい最近、某報道番組から冒頭の件に関する写真提供依頼があったこと。

(丁重にお断りしました)

それと、この夏に悲しい状況の大仏さまとお会いしたからです。

 

その大仏さまの情報は今年6月に行った写真展に、

ご来場くださったお客さまからうかがいました。

まったくもってノーマークな大仏さまだったので、

「これは早急にお会いせねば!」

と、この夏に訪問したわけです。

 

 

場所は山形県尾花沢市の大きな国道沿い。

そろそろ、その大仏さまが現れるはず…と目を凝らしていると、

見えました!

 

最初に見えたのはこの光景。

 

 

わかりますか?写真の中央部。

建物の背後に胸から上が飛び出している像が見えています。

大仏さまとの初遭遇はいつでも胸が高鳴ります。

 

もう少し進むと、

 

 

おそば屋さんの建物の上から、

胸から上というか、ほぼ腰から上が飛び出す高さ。

10メートル以上ある、お地蔵さまか僧侶の像だとお見受けしました。

 

さっそく近くまで行ってみましょう。

 

 

 

 

左手に宝珠、右手に錫杖を持っているのかな?

ですからお地蔵さまの像ですね。

そして、錫杖とともにのようなものを持っていらっしゃいます!

これは『花笠』ではないでしょうか。

 

東北四大祭りのひとつで山形を代表する夏祭り花笠祭り

地元山形のシンボルを持ったお地蔵さまのようです。

 

周辺は真夏なこともあって緑に覆われています。

入り口(参拝路)がどこなのか解らず、

しばらく周囲をぐるぐるしてしまいました。

…嫌な予感がします。

 

 

やっと入り口らしき場所を見付けましたが…

はたして立ち入っていいのだろうか…

とても嫌な予感がします。

 

すぐ近くで草刈り作業をしている方がいたので、

「大きなお地蔵さまがいると聞いて参拝しにきたのですが…」

と声をかけてみました。

お仕事中で詳細は聞けませんでしたが、

現在は管理が行き届いていない状態になっているようです。

 

時すでに遅しか…(泣)

ただ、その方のお話では

「参拝するのは大丈夫ですよ」

とのことだったので、入らせていただきました。

 

 

『花笠地蔵』と書かれた門があります。

やはり花笠でしたね。

正確には尾花沢花笠地蔵尊という名称のお地蔵さま。

 

この場所はかつてはドライブインだったそうです。

つまりお寺が管理する大仏さまではなく、

観光地に地元にちなんだ大仏さまをつくった系、大仏さまだと思われます。

 

 

あまり手入れされていないようですが、

草木で前に進めないというほどではなく、

お地蔵さまの近くまで行くことができました

が…

 

 

『笠の落下のおそれがあります。ここで参拝してください』

なんと、シンボルの花笠が落下の危機のようで、

ここから先には進めません。

 

この場所からお地蔵さまを見上げると…

 

 

 

像高15メートル花笠地蔵尊

見上げる高さで、とても立派!

緑に隠れて全貌は拝めませんでしたが、

造形の美しさはうかがい知ることができました。

後に調べましたがFRP(繊維強化プラスチック)製のようです。

 

『観光』という部分メインでつくられた大仏さまは、

こうしたケースになることが少なくありません。

現在も維持存続している大仏さまは、

はじめは『観光』、集客のためだったとしても、

後にお寺の管理になっているケースが多いと思います。

 

カッコいいのにな…勿体ないな…

なんとも言えない虚しい気持ちになりました。

 

 

花笠地蔵さまが今後どうなっていくのかわかりませんが、

山形県内のお寺さまに移転などできる未来があればいいなと思います。

地元の方もすでにお考えかもしれません。

 

私はこれからも、

地元の方が存続に尽力されている大仏さまを応援していきたいと思います。

こうした悲しい大仏さまを増やさぬよう、

ぜひ皆さんの近くの大仏さまにご参拝ください。