開運童子のブログ -55ページ目

雨のあとに虹 その187

「遅れましてすみません。」

待合わせの喫茶店に入って来た俊之はみずきを見て言った。

「忙しくなったのは良い事だから良いわよ。」

みずきは明るく言った。

「みずきさんのアドバイスのとおりに榊原をはじめ静江と純一くんとも過去のわだかまりを一切捨てての付き合いを意識しています。」

俊之が言うと

「それで良いのよ。」

みずきは言った。

「人を恨んだり陥れたりしてもそれはいずれ自分に跳ね返って来ますね。」

俊之が言うと

「正しい事をきちんとやっていれば人は認めてくれるし着いて来てくれるはずよ。」

みずきは言った。

「はい。」

俊之が言うと

「あいつのためなら何とか努力してやろうと思わせるような魅力ある行動をしなさいよ。」

みずきは言った。

「それを心がけます。」

俊之が言うと

「人を恨んでも憎んでも最終的には自分をダメにするだけなのよ。」

みずきは言った。

「いろいろ勉強になります。」

俊之が言うと

「それより早くケーキ食べなさいよ。」

みずきは言った。

「おいしそうですね。」

俊之が言うと

「高級感があるわね。」

みずきが優しく言った。

 天門は電車の中で流れていく景色を見ながら考えていた。開運を施すにはその人のプライベートに触れなければならない。それにはある意味での守秘義務も発生するのだ。何よりも嘘をつく事は許されていない。今回は直接自分が何かを言うわけではないが俊之のためならば一度だけ方便を使う事にしようと考えていた。それは天門にとって一度だけ例外をつくる事になるのだ。天門が駅に着いてホームへ降りると携帯に着信があった。出ると桑田からであった。

「お忙しいところすみません。」

電話の向こうで桑田が言った。

「私なら大丈夫ですよ。」

天門が言うと

「高村さんの取材が終わって漫画の製作も順調に進んでいます。」

桑田は言った。

「それは良かったですね。」

天門は言うと

「天門先生は高村さんの今後をどのように鑑定されましたか?」

桑田は言った。

「先日お話した通りですよ。」

天門は言うと

「総武グループのトップとして将来と恋愛はどうなりますか?」

桑田は単調直入に言った。

「漫画が出版されるまでは口外してほしくないのですが良いですか?」

天門は静かに言った。

「お約束します。」

桑田が言うと

「総武のトップとしては高村さんしだいで10年やから20年はトップにいると思います。」

天門は言った。

「恋愛運は如何ですか?」

桑田が言うと

「周囲の協力がカギになると思いますよ。

天門ははっきりと言った。

「周囲の協力ですか?」

桑田は言ったが内容が把握できないようであった。

「高村さん。」

未来は突然現れた俊之を見て驚いて言った。あすなろ会の子供たちに対して行われる月に一度の誕生日会が終わったのである。

「すっかり遅れてすみません。」

俊之が言うと

「それは良いけど忙しいのにありがとう。」

未来は言った。

「こういう時間も時には必要ですよ。」

俊之が言うと

「来てくれただけでも子供たちが喜びますよ。」

未来は言った。

「適当なプレゼントが見つからなくてすみません。」

俊之は鞄の中から小さな箱をいくつか出して言った。

「心がこもっていれば良いのよ。」

未来が微笑みながら言った。

雨のあとに虹 その186

「急にいらして何かありましたか?」

田崎が驚いたように言うと

「来週は後半にならないと来られないからね。」

俊之は言った。

「高村さんからアドバイスが受けようと思っていたところですよ。」

田崎安心したように言った。矢島建設のフロアーは総武のように新しい設備はなくても庶民的であった。
「どんな事なの?」

俊之が言うと

「少し待ってください。」

田崎は言った。

「資料はあるかい?」

俊之が言うと

「すぐにプリントアウトします。」

田崎は言ってパソコンを操作していた。

「急にお休みをいただいてすみません。」

久美子はひとみに言った。

「気にしないでね。」

ひとみは言った。

「日曜日は忙しいから別の日にすれば良かったのかも知れないですね。」

久美子が言うと

「私も急用で遅刻したからお互い様よ。」

ひとみは言った。

「シフトは大丈夫ですか?」

と久美子が心配して言うと

「うまく調整するから大丈夫よ」

ひとみは言った。

「はい!」

久美子が言うと

「いよいよ作戦開始でしょ?」

ひとみは言った。

「少し緊張しますよ。」

久美子が言うと

「がんばってね。」

ひとみは言った。

「がんばります。」

久美子が言うと

「私も協力するからね。」

ひとみは言って微笑んでいた。

「そういう方法もありましたね。」

田崎が言うと

「選択肢のひとつにしても良いと思うよ。」

俊之は言った。

「それは気がつきませんでした。」

田崎は感心して言った。

「矢島に確認をとればすぐに実行しようよ。」

俊之は言った

「早速社長の決裁を取ります。」

田崎は元気よく言った。

 天門は本を出版するための写真撮影を終えていた。夕方から鑑定の仕事が一件あるために早めに終わらせたのである。道具の入った鞄を持って駅への道を急ぐ天門は近道をするために横の細い道に入った時である。

「誰かね?」

天文は人の気配を感じで言った。

「失礼しました。」

翔太が出て来て言った。

「初めてお会いしますね。」

天門が言うと

「私は笹川と言いますが天門先生でいらっしゃいますね?」

翔太は言った。

「笹川さんですか?」

天門が言うと

「不躾で申し訳ありません。」

翔太は言った。

「それは構わないけど何かあったのですか?」

天門が言うと

「天門先生に高村さんの事でご協力いただきたく思います。」

翔太が言うと

「高村さんの件で協力とは何をすれば良いのですか?」

天門は言った。

「ご協力ありがとうございます。」

翔太が言うと

「大きな動きがありそうだね。」

天門は言った。

「お客様はこちらへどうぞ。」

久美子が言と

「お次のお客様ご注文はお決まりでしょうか?」

小百合は言った。ひとみは時々店内を見回していた。

「どうかしましたか?」

久美子がひとみに言うと

「どうもしないわ。」

ひとみは言った。

「先ほどから店内を見ているから心配になりました。」

久美子が言うと

「作戦開始と言われるのは少し緊張するわね。」

ひとみが明るく言った。

「私も胸が締め付けるように複雑な心境ですよ。」

久美子が言うと

「今の会話をお客さんに聞かれたような錯覚を覚えたでしょ?」

ひとみは言った。

「当たりです。」

久美子が微笑んで言うとひとみは明るく笑った。久美子が俊之にパスタをこぼしてから周囲にはたくさんの変化があったのである。

雨のあとに虹 その185

 久美子は駅ビルから出て信号を待っていた。帰宅時間になって混雑しているスクランブル交差点は待ち時間が長かった。久美子が人の気配を感じで横を見ると翔太が立っていた。

「久美子さん。」

翔太が言うと久美子は翔太と目を合わせていた。

「笹川さん。」

久美子は言った。

「これからいろいろあるかもしれませんが久美子さんには私たちがついていますよ。」

翔太が言うと信号が青になって人が動き出していた。


「立花さんに説明しておこうと思ってね。」

俊之は社長室で立花に言った。陽子は俊之の横でメモをとった。

「総武鉄道の延長工事で木が生えている岩石を爆破しないでトンネルを掘らせる件ですね。」

立花は察して言った。

「そうだよ。」

俊之が言うと

「何かお考えがあるからだと思っています。」

立場は言った。

「岩石を爆破させれば工事が早くて簡単なのは僕も解っているよ。」

俊之が言うと

「コストも低く抑えられます。」

立場は言った。

「それでは地元の人たちが良く思わないだろうと思ってね。」

俊之が言うと

「おっしゃる通りだと思います。」

立花は言った。

「そこで総武はコストをかけてでも自然を残すことを印象付けたいと思ってね。」

俊之が言うと。

「正しいお考えだと思います。」

立花は言った。

「鉄道を通すと言う事は多かれ少なかれ自然を壊しているからその見返りに自然を残したり育てたりする事もしたいと考えている。」

俊之が言うと

「私もそれは重要であると考えております。」

立花は言った。

「僕が見た限りではあの周辺は自然が多く観光地に適している。」

俊之が言うと

「はい。」

立花は言った。

「土地を所有する地元の人たちが食堂や喫茶店を出店したら観光名所になるかも知れないと思ってね。」

俊之が言うと

「それは私も気付きませんでした。」

立花が感心して言った。

「総武はルートにあの場所を入れた路線バスを通してその先に当初から計画中のホテルや緑化公園はじめ遊園地などのリゾート施設も作ろうと思っている。」

俊之は言った。

「バスがお客さんを連れてくるから地元の人も賛成してくれますね。」

立場が言うと

「総武トラベルがツアーを企画して総武鉄道の集客が高める事も可能だよ」

俊之は言った。陽子はしっかりメモをとる手に緊張を走らせていた。

「こうして笹川さんとゆっくりお話しするのは初めてですね。」

少し混んでいる喫茶店で久美子が言うと翔太は微笑んでいた。

「考えてみればそうですね。」

翔太は言った。

「いつもお忙しいようですね?」

久美子が言うと

「育子さんも良いアイディアを思いついてくれからそろそろ実行しようと思いましてね。」

翔太が静かに言った。

「少し大変だけどがんばってみます。」

久美子が言うと

「お願いします。」

翔太は言った。

「俊さんを騙すみたいで緊張しそうです。」

久美子が言うと

「それが高村さんと久美子さんのためだと思いますよ。」

翔太は言った。

 俊之がパソコンを操作してメールのチェックや情報の検索をしていた。俊之が時計を見るともう少しで日付が変わる時間になろうとしていた。俊之が珈琲を口に持っていくと久美子からの着信で携帯が鳴りだしていた。

「話をして大丈夫ですか?」

電話の向こうで久美子が言うと

「大丈夫だよ。」

俊之は言った。

「今度の休みに海を見たあとに名所のお寺や観光スポットを回りたいけどいいですか?」

久美子が少し遠慮がちに言うと

「僕も海だけでなくいろいろ回ってみたいと思っていたよ。」

俊之は言った。

「はじめて俊さんと遠出をするから良い思い出にしたいです。」

久美子が言うと

「素敵な思い出に出来るようにいろいろな所を回ってみようよ。」

俊之は言った。一日中久美子とふたりで遠出をするのは今回が初めてであった。