雨のあとに虹 その185
久美子は駅ビルから出て信号を待っていた。帰宅時間になって混雑しているスクランブル交差点は待ち時間が長かった。久美子が人の気配を感じで横を見ると翔太が立っていた。
「久美子さん。」
翔太が言うと久美子は翔太と目を合わせていた。
「笹川さん。」
久美子は言った。
「これからいろいろあるかもしれませんが久美子さんには私たちがついていますよ。」
翔太が言うと信号が青になって人が動き出していた。
「立花さんに説明しておこうと思ってね。」
俊之は社長室で立花に言った。陽子は俊之の横でメモをとった。
「総武鉄道の延長工事で木が生えている岩石を爆破しないでトンネルを掘らせる件ですね。」
立花は察して言った。
「そうだよ。」
俊之が言うと
「何かお考えがあるからだと思っています。」
立場は言った。
「岩石を爆破させれば工事が早くて簡単なのは僕も解っているよ。」
俊之が言うと
「コストも低く抑えられます。」
立場は言った。
「それでは地元の人たちが良く思わないだろうと思ってね。」
俊之が言うと
「おっしゃる通りだと思います。」
立花は言った。
「そこで総武はコストをかけてでも自然を残すことを印象付けたいと思ってね。」
俊之が言うと。
「正しいお考えだと思います。」
立花は言った。
「鉄道を通すと言う事は多かれ少なかれ自然を壊しているからその見返りに自然を残したり育てたりする事もしたいと考えている。」
俊之が言うと
「私もそれは重要であると考えております。」
立花は言った。
「僕が見た限りではあの周辺は自然が多く観光地に適している。」
俊之が言うと
「はい。」
立花は言った。
「土地を所有する地元の人たちが食堂や喫茶店を出店したら観光名所になるかも知れないと思ってね。」
俊之が言うと
「それは私も気付きませんでした。」
立花が感心して言った。
「総武はルートにあの場所を入れた路線バスを通してその先に当初から計画中のホテルや緑化公園はじめ遊園地などのリゾート施設も作ろうと思っている。」
俊之は言った。
「バスがお客さんを連れてくるから地元の人も賛成してくれますね。」
立場が言うと
「総武トラベルがツアーを企画して総武鉄道の集客が高める事も可能だよ」
俊之は言った。陽子はしっかりメモをとる手に緊張を走らせていた。
「こうして笹川さんとゆっくりお話しするのは初めてですね。」
少し混んでいる喫茶店で久美子が言うと翔太は微笑んでいた。
「考えてみればそうですね。」
翔太は言った。
「いつもお忙しいようですね?」
久美子が言うと
「育子さんも良いアイディアを思いついてくれからそろそろ実行しようと思いましてね。」
翔太が静かに言った。
「少し大変だけどがんばってみます。」
久美子が言うと
「お願いします。」
翔太は言った。
「俊さんを騙すみたいで緊張しそうです。」
久美子が言うと
「それが高村さんと久美子さんのためだと思いますよ。」
翔太は言った。
俊之がパソコンを操作してメールのチェックや情報の検索をしていた。俊之が時計を見るともう少しで日付が変わる時間になろうとしていた。俊之が珈琲を口に持っていくと久美子からの着信で携帯が鳴りだしていた。
「話をして大丈夫ですか?」
電話の向こうで久美子が言うと
「大丈夫だよ。」
俊之は言った。
「今度の休みに海を見たあとに名所のお寺や観光スポットを回りたいけどいいですか?」
久美子が少し遠慮がちに言うと
「僕も海だけでなくいろいろ回ってみたいと思っていたよ。」
俊之は言った。
「はじめて俊さんと遠出をするから良い思い出にしたいです。」
久美子が言うと
「素敵な思い出に出来るようにいろいろな所を回ってみようよ。」
俊之は言った。一日中久美子とふたりで遠出をするのは今回が初めてであった。