開運童子のブログ -47ページ目

雨のあとに虹 その211

「おはようございます。」

社長室に入って来た俊之を見て陽子は言った。

「おはよう。」

俊之は言った。席に座った俊之に

「高村さんは今日が何の日かご存知ですか?」

陽子がいたずらっぽく言うと

「何かあったかな?」

俊之は言った。

「お忘れですか?」

陽子が言うと

「三友商事との打合せはもっと先だね。」

俊之は言った。

「そうではないですよ。」

陽子が言うと

「鉄道工事の件は立花さんからの報告待ちだね。」

俊之が書類を捲って確認して言った。

「今日はバレンタインデーですよ。」

陽子が言うと

「もうそんな時期かになったのか。」

あらためて気がついた俊之は言った。

「これは私からの気持ちです。」

陽子が言ってチョコレートの箱を出した。

「ありがとう。」

俊之は言った。陽子が選んだチョコレートはおしゃれなパッケージで高級感があった。チョコレートを見た俊之は少し照れていた。

「沢田くん。」
山本は役員室に入って来た沢田が挨拶をしようとしたのを遮るように言った。

「はい。」

沢田が言うと

「貴志くんは不慮の事故で命を落としたのだから仕方がない。」

山本は言った。

「私も同感です。」

沢田が言うと

「田所の件は困ったものだよ。」

山本はと怒りを抑えきれずに言った。

「マスコミの人たちも取材殺到しています。」

沢田が言うと

「あんな凶悪な事件を起こすとは思わなかったよ。」

山本は言って困った顔をした。

「おはようございます。」

恵子が言って社長室に入って来た。

「おはよう。」

俊之は言ってパソコンを打っていた手を休めてから目を上げた。

「これをバレンタインデーのチョコレートです。」

恵子は言ってチョコレートの箱を俊之に差し出した。

「ありがとう。」

俊之は恵子の目を見て言った。

「薬師寺さんでふたりですね。」

陽子が言った。

「やはり川嶋さんが最初でしたか?」

恵子が言うと

「ふたりともありがとう。」

俊之は言った。

「川嶋さんに先を越されましたね。」

恵子が言うと

「貰えると思っていなかったのでとても嬉しいよ。」

俊之は言った。

「高村さんは本命の彼女から貰えますよね?」

恵子が冗談を言うと

「それだといいけどね。」

俊之は言った。

「それは高村さんしだいですよ。」

陽子が俊之を見て言った。

「そうだよね。」

俊之が言うと

「女は男しだいですよ。」

陽子は俊之の目を見てはっきり言った。恵子は少し驚いて陽子を見ていた。

雨のあとに虹 その210

「高村さんと久美子さんとひとみさんに育子さん。」

春香は4人を見て言った。

「春香さんは見事に夢を実現させましたね。」

俊之が言うと

「ありがとう。」

春香は言った。

「HARUKA-SHIRANIのオープンおめでとうございます。」

久美子が言うと

「ありがとう。」

春香は言った。

「私には縁のない世界だと思っていました。」

久美子が豪華な店内を見て言った。

「これからは縁があると思うわよ。」

春香が言うと

「そうでしょうか?」

久美子は言った。

「作戦を成功させてよ。」

春香は久美子の耳元に小声で言った。ひとみと育子がふたりを見て微笑んでいた。

「すばらしいお店ですね。」

俊之が言うと

「ありがとうございます。」

大介は言った。俊之はいつの間にか大介と話が弾んでいるのであった。

「久美子さんにはこれを帰りに渡すわね。」

春香は言ってデザインを久美子に見せた。

「とても素敵ですね。」

久美子が嬉しそうに言った。

「こちらはひとみさんね。」

春香は言ってひとみにもデザインを渡した。

「こんな素敵なデザインをいただいて良いのでしょうか?」

ひとみは不安を隠せずに言った。

「ひとみさんからプレゼントするのよ。」

春香は言った。

「ありがとうございます。」

ひとみが言うと

「育子さんにはこれね。」

春香が言って育子にもデザインを渡した。

「プロのモデルさんでも着こなすのは難しいくらい素敵ですね。」

育子は言った。

「久美子さんもひとみさんも育子さんもスーパーモデル顔負けの美貌の持ち主よ。」

春香が言うと

「そんな事はないですよ。」

ひとみは言った。

「みなさんご自分で気がついていないだけよ。」

春香が言うと

「私はお転婆ですよ。」

育子は言った。

「そんな事はないですよ。」

久美子が言うと

「高村さんにもモデルを頼もうかしらね。」

春香は言った。

「素敵なバッグとスカーフありがとうございます。」

ひとみがあらためて言った。

「ワンピースにブレザーがかわいいです。」

育子が言うと

「スカート型のスーツはおしゃれで大人の女性に見えますね。」

久美子は言った。

「みなさんにプレゼントしたものは世界にひとつしかないのよ。」

春香が言うと

「本当に素敵ですね。」

ひとみは言った。

「高村さん。」

春香が俊之に言うと俊之は春香の方へやって来た。

「大介さんと話が弾んでしまってね。」

俊之が言うと

「高村さんにはこのスーツとネクタイね。」

春香は言った。

「それはありがとう。」

俊之が言うと

「おしゃれな席に行く時につけてね。」

春香は言うと俊之にデザインを渡した。

「いつ着ようかな?」

俊之は嬉しそうに言った。

雨のあとに虹 その209

 榊原はいつもの病室の中で静かに目を開て周囲を見回していた。多恵子が心配そうな顔をして榊原を見ていた。

「気分はどうですか?」

多恵子が榊原に言うと

「よく解らないけど悪くはないよ。」

榊原は言った。

「手術は成功したけどしばらくは経過を見ないといけないそうよ。」

多恵子が言うと

「俺もいつの間にか運が強くなったようだよ。」

榊原は言った。

「運が強くなった?」

多恵子が言うと

「入院した時点では絶望的だったからね。」

榊原が言うと

「本当にそうだわね。」

多恵子は言った。

「嘘みたいに良くなったよ。」

榊原が言うと

「本当に良くなったわね。」

多恵子は言った。

「近いうちに高村に会えないかな?」

榊原は少し微笑んで言った。

「高村さんも久美子さんも今日は忙しいところありがとうね。」

未来は言った。久しぶり俊之は久美子を連れてあすなろ会に来ていた。今日は月に一度行われる子供たちの誕生会である。真冬のクリスマスと違ってバレンタインデーが近い今では少しだけ春を思わせる季節になっていた。本当の春はまだであり外はまだ寒かった。

「みんなお行儀が良いのね。」

久美子は子供たちを見て感心しながら言った。

「未来さんに連絡してよかったよ。」

俊之は言った。

「私もここに来る事が出来てよかった。」

久美子が言うと

「今日は誕生会だったとはタイミングがいいね。」

俊之言った。

「いつも気にかけてくださってありがとうございます。」

理事長の木暮が言った。木暮は60歳を少し過ぎた穏やかな表情の男性であった。

「不躾ですがこれをお納めください。」

俊之が封筒を差し出して言った。

「そんなにお気遣いいただくと私も困りますよ。」

古暮が言うと

「少ないですけど気持ちです。」

俊之は言った。久美子はそんな俊之をただ見つめていたのだった。

 直子が駅の改札へ向かって歩いていた。直子は売れればスーパーモデルとして忙しい毎日を送っていたと思われるが今はまだそんなに忙しくはなかった。今日は珍しくグラビアの撮影があって終わったばかりである。朝から始まった撮影は思ったより長くかかって先ほど終わったのである。直子が携帯を取り出してかけようとした時に

「こんにちは!」

翔太がいった。

「笹川さん。」

直子は言って携帯をバッグにしまうと

「来週あたりには斉藤弘子からお金を取り戻しましょう。」

翔太は言った。

「来週ですか?」

直子が言うと

「危険がないようにしますが気をつけてください。」

翔太は言った。

「私だって恐い思いはしたくないからおとなしくしています。」

直子が言うと

「斉藤弘子にはきちんと法の裁きを受けさせましょう。」

翔太は言った。

「本当に大丈夫ですか?」

携帯電話で話しながら歩くサラリーマンを避けて直子が言った。

「任せてください。」

翔太が言うと

「私はどうすればいいの?」

直子は言って横を見るとそこにはすでに翔太の姿はなかった。