のらねこの自己紹介〜WE ARE STRAY CATS FROM JAPAN | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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ハンガリーOHP01 ハンガリーOHP02


 以前、扉ページだけ紹介したOHP。ぼくたち「のらねこ(STRAY CATS)」が海外の会議に参加する際に、自己紹介用に使用したものです。

 1989年に始めてアメリカのAAPTに参加したときに使ったものが第1版ですが、ここで紹介するのは、1992年の日本ハンガリー物理教育会議、1993年のAAPTで使った第2版。英語の中にときどきマジャール語が残っているのは、ハンガリーで使ったものをアメリカ用に英語で作り直したときに、直しきれなかったところです。

 OHP用の絵なので、もちろん線画のモノクロですが、それでは寂しいので、見やすくなるように彩色してあります。

 実験を見せればある程度のことは英語無しでも伝わります。が、日本の教育事情とか、当時のぼくらの立ち位置とかを説明するのは、ぼくらの英語力ではとても無理。アメリカへ向かう途中で、いろいろ議論した結果、ぼくがOHPにイラストを描いて、それを次々に見せていけばいいんじゃないか、ということになったんですね。

 第1版は、それこそ機上やホテルで大急ぎで描いたのですが、こちらの第2版はそれのバージョンアップ版ということで、時間をかけて描くことができました。

 

ハンガリーOHP03 ハンガリーOHP04


 海外の国と日本では、やはり学校の制度や試験の役割などがかなり異なるので、それを象徴できる絵を描きました。4p目の赤ん坊の絵は、一目ですぐに日本の状況がわかるということで、評判が良かったですね。
 

ハンガリーOHP05 ハンガリーOHP06
 

 この2枚は、問答無用ですかね。でも、海外、特にアメリカでは、ENJOY PHYSICSという発想が主流なので、このあたりの事情は知らせておく必要がありました。特に、最初にアメリカに行った頃は、まだ日本では選択制の導入があまり進んでいなかった頃なので、日米の理科教育の違いが鮮明でした。

 

ハンガリーOHP07 ハンガリーOHP08


 この辺も、日本と海外で状況が異なります。日本では教師は科目の指導以外に、クラス運営や雑事、部活動に、人生相談など、さまざまな仕事をしていますが、海外では科目指導だけが基本。ホームルーム活動とか、部活動なんてありません。

 それに、当時の生徒は結構荒れていましたから、授業が成立しないという学校も。大げさでなく、こういう状況になった教室が普通にあった時代でした。

 アメリカの先生に「アメリカではこういうことないんですか。授業中にうるさい生徒とかいませんか」と聞いたら「いたら、静かにしなさいと注意します」との返事。「でも、注意しても従わない生徒もいますよね」「その場合は、私が教室を出ます」「・・・」

 あまりの違いに、こちらが絶句してしまいました。そうか、こっちが教室を出て行けば済むのか・・・日本ではそういうわけにはいかないよなあ・・・
 

ハンガリーOHP09 ハンガリーOHP10
 

 ぼくらが「投げ込み教材」、「いきわく実験」を開発してきたのは、こういう「困難」な教育現場をなんとかする意味もありました。(もちろん、いきわく実験だけで、こういう状況がすべて解決するわけではありません。その要となるのは、生徒の意欲をどうやって解放したらいいかということにつきます。その具体的な内容は、以前お邪魔した三重の研修会ではお話しさせていただきましたが、ここでは割愛します)

 

ハンガリーOHP11 ハンガリーOHP12
 

 でも、やっぱり「投げ込み教材」「いきわく実験」は強力な影響力を持ちます。たった一つの実験が、クラスの風景を変えることもあります。
 

ハンガリーOHP13 ハンガリーOHP14
 

 議論を始めた生徒たちは、ぼくらがサークルなどで議論する姿と同じ。ぼくらが自然科学を好きでないのに、彼らに自然科学を好きになれというのは、無理な話ですね。ローコストな実験装置の材料をゴミ箱みたいなところを漁っている姿を「のらねこ」に例えたのが、STRAY CATSという名称の始まり。

 岐阜物理サークルの人たちが、ガリレオ・ガリレイが所属していた「山猫学会リンチェイ・アカデミー」になぞらえて、自分たちのことを「のらねこ学会」と呼んでいたのが起源です。のらねこは英語でSTRAT CATだから、自己紹介はそれでいこう、と。
 

ハンガリーOHP15 ハンガリーOHP16

 

 こちらは、方法論。ぼくらはマネから始めている、オリジナリティにはこだわらない、という宣言は、アメリカでは特に驚きを持って受け取られました。

 マネから入っても、工夫を重ねるうちに、もとのものとは似ても似つかぬものになっていく、というぼくらの体験談は、「いきいき物理わくわく実験1」の「歯車楽器進化論」で詳しく述べられています。そのイラストを紹介すればわかってもらえるんじゃないかと。

 

ハンガリーOHP17 ハンガリーOHP18
 

 第1版では、はっきりと「ぼくたちは日本では少数派です」と言い切っていたんですが、第2版では、少しだけ状況が好転していたので、「ちょっと理解者が増えてきたよ」と書き足してあります。まだ、でんじろうさんなどがテレビに登場する前で、たのしい実験を紹介するテレビ番組はほとんどない時代でした。

 でも、今でも「実験なんかしていると授業が遅れてしまうとか、受験には関係ないだろうとかいう人が多いので、その誤解を解いて欲しい」と頼まれて講演することもあります。学校の現場では、まだまだ、ぼくたちは少数派なんでしょうね。

 

ハンガリーOHP19 ハンガリーOHP20
 

 ラストは、ぼくたちの正直な気持ちです。一人ではとてもじゃないけど、影響力のある教材をたくさん開発することはできません。サークルなどを通じて教材を交流することで、助けて欲しいと思っています。

 最後の一枚は、第1版から変わっていません。「ぼくたちがここへ来たのは、そのためです」と書きました。

 アメリカでも、ハンガリーでも、もちろん他の国でも、ぼくたちは本当にたくさんの実験や教材を教えてもらいました。ぼくたちの持ち込んだものも、海外で息づいています。

 実験の本も「いきわく」を3冊、まとめることができました。

 でも、こういう回顧録みたいな書き方をしていると、サークルの人には笑われてしまいそうです。

 サークルに行くたびに、新しい実験装置が登場します。

 みんな、現在進行形、なんですね。
 
 
 
 

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