あらすじ
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
(2020年本屋大賞 大賞)
ひと言
やっと今年の本屋大賞作品を借りることができました♪
読み終えてすぐに、知らなかったトネリコという植物を調べてみました。花言葉は偉大、荘厳、服従、高潔。
人によって好き嫌いが大きく分かれるような作品だと思います。読んでいて、もどかしい気分からどうしても抜け出せない、何かしっくりこない感じが残る作品でしたが、この作品が本屋大賞であることには十分納得できる不思議な作品でした。ところどころハッとさせられるようなフレイズがちりばめられているのもよかったです。
昔から、わたしの言葉は伝わらない。思いやりという余計なフィルターを通されて、ただ笑っただけで『無理をしているのではないか』、ただうつむいただけで『過去のトラウマがあるのではないか』という取扱注意のシールを貼られる。秘密を打ち明けた中学や高校のときの友人もそうだった。あの子たちも、亮くんも、きっと優しいのだろう。 多くの人の中にある『力なく従順な被害者』というイメージから外れることなく、常にかわいそうな人であるかぎり、わたしはとても優しくしてもらえる。世間は別に冷たくない。逆に出口のない思いやりで満ちていて、わたしはもう窒息しそうだ。
(三章 彼女のはなし Ⅱ)
家内さん、今の彼氏、絶対逃がしちゃ駄目だよ。ちょっとくらいねちゃっとしたことされても、そんだけ愛されてるってことなんだから。結婚したら、どんないい男も点数下がってく一方なんだよ。男から見た女も一緒。結婚って相手の点数が下がってくシステムなの。でもお金の価値は変わらないよ」 安西さんは怒ったように言う。 「頼りになる身内のいない人間にとってさ、彼氏は恋愛以上に、普通の社会生活送ってくための必需品でしょ。引っ越しとか入院とか、いざってときの保証人になってくれたり。普通に考えて、 友達は書類に判子押してくれないからね。押してとも頼めないし」かなり生々しいことを、ちゃきちゃきとテンポよく話す。同意できる部分も多くて、わたしはうなずくばかりだった。
(三章 彼女のはなし Ⅱ)
世の中に『本物の愛』なんてどれくらいある? よく似ていて、でも少しちがうもののほうが多いんじゃない? みんなうっすら気づいていて、でもこれは本物じゃないからと捨てたりしない。本物なんてそうそう世の中に転がっていない。だから自分が手にしたものを愛と定めて、そこに殉じようと心を決める。それが結婚かもしれない。
(三章 彼女のはなし Ⅱ)








































