中川区の小本でカツ丼を食べた後、名駅(亀島)に4日前にオープンした「KOGASHI 名古屋店」へ立ち寄りました。5人ほどの行列ができていましたが、5分ほどでミニブリュレシュークリーム(900円 10個入)を購入することができました。けっこう固めでキャラメリゼされたブリュレ(焦がし)シュークリームです。カスタードクリームはこの大きさに対してたっぷり入っているように思いました。シュークリームもいろいろな種類があるんだなぁ。ごちそうさまでした♪

 

KOGASHI 名古屋店

名古屋市中村区亀島2

 

今日はインスタで見て「これ食べてみたい」と思った「喜楽」へ金山からバスに乗ってお昼を食べに行きました。お目当ての名物のカツ丼(880円)の大盛(250円)をいただきます。濃いめの味付けの甘辛(かなり甘め)で今まで食べたことのないカツ丼です。とても美味しいのですが、大盛にしたため 最後の方は甘めの味付けをくどく感じたのが少し残念でした。カツ丼といってもいろいろなカツ丼があるんだなぁと新しい発見でした。ごちそうさまでした。

 

喜楽

名古屋市中川区小本本町1

 

あらすじ
弟の直貴を大学へ行かせたい。そのための金を手に入れようと強盗に入り、人を殺した兄・剛志。服役中の剛志から、直貴のもとへ月に一度、手紙が届く。刑務所での暮らしや、弟の身を案じる言葉が綴られている。だが、兄の犯した罪によって、直貴の人生は一変していた。大学進学をあきらめ、働き始めた直貴。音楽に打ち込み、仲間ができ、好きな女性もできる。今度こそ普通に生きたい。そう願って新しい一歩を踏み出しても、兄が強盗殺人犯だと知られた途端、周囲の態度が変わってしまう。人を殺したのは兄だ。自分ではない。それなのに、なぜ自分まで――。やがて直貴は、兄からの手紙を読むことさえ疎ましくなっていく。自分を大学へ行かせようとして罪を犯した兄。いまも変わらず、自分を思い続けている兄。その気持ちはわかっている。それでも直貴は、自分の人生を守るために、たった一人の兄との縁を切ろうとする。あなたなら、この兄を捨てられるだろうか?



文庫274万部突破。東野圭吾の全文庫作品中、最大部数を誇るロングセラー。山田孝之主演で映画化、亀梨和也主演でテレビドラマ化。舞台・ミュージカルでも上演を重ねる。2025年「東野圭吾 104冊・1億部 全国民投票」第3位。世代を超えて読み継がれる、東野圭吾の代表作。

ひと言
以前東野 圭吾さんのTVドラマ、亀梨和也さん主演の「手紙」を観たことがありましたが、東野圭吾さんを追悼し、このドラマがまた放送されたので観ました。TVドラマもすごく良かったのですが、やはり東野 圭吾さんの想いが直接伝わるのは本だと思い図書館で借りました。ドラマも2回観て、ラストや手紙の内容もわかっているのですが、読む手が止まらず夢中で一気に読みました。今までこの作品を読んだことがなくてほんとうにごめんなさい。東野圭吾さんがお亡くなりになったことがほんとうに残念でなりません。

社長は足を組んだ。直貴を上から下までじろじろと眺めた。「ここでの人事は、ここの人事部に任せてある。だから君が配置転換されたことについては、私は関与していない。その経緯についても、ついさっき確認したばかりだI直貴は俯いた。社長が何をいいだすつもりなのか、まるで見当がつかなかった。「しかしね、人事部の処置は間違ってないと私は思う。当然のことをしただけだ」直貴は俯いたまま、鼻で大きく呼吸をした。息を吐く音は社長の耳にも届いたはずだ。「君はこう思っているだろうね。差別されている、と。刑務所に入ったのは自分じゃないのに、どうして自分がこんな扱いを受けなきゃならないんだ、と」
直貴は顔を上げた。平野社長の声に、先程までの笑いは含まれていなかったからだ。事実社長は笑っていなかった。真剣な眼差しを、入社したての倉庫係に向けていた。「これまでにも、こんなことはあったんじゃないか。不当な扱いを受けたことが」直貴はゆっくりと頷いた。「ありました。いろいろと」「だろうね。そのたびに君は苦しんだだろう。差別に対して怒りもしたはずだ」肯定するかわりに直貴は口を閉ざし、瞬(まばた)きをした。
「差別はね、当然なんだよ」平野社長は静かにいった。直貴は目を見張った。差別はしていないという意味のことをいわれると思ったからだ。「当然……ですか」「当然だよ」社長はいった。「大抵の人間は、犯罪からは遠いところに身を置いておきたいものだ。犯罪者、特に強盗殺人などという凶悪犯罪を犯した人間とは、間接的にせよ関わり合いにはなりたくないものだ。ちょっとした関係から、おかしなことに巻き込まれないともかぎらないからね。犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、しごくまっとうな行為なんだ。自己防衛本能とでもいえばいいかな」「じゃあ、僕みたいに身内に犯罪者が出た者の場合は、どうすればいいんですか」「どうしようもない、としかいいようがないかな」社長の言葉に直貴は怒りを覚えた。そんなことを宣告するために、わざわざこんなところまで来たというのだろうか。「だから」彼の内心を見透かしたように社長は続けた。「犯罪者はそのことも覚悟しな
きゃならんのだよ。自分が刑務所に入れば済むという問題じゃない。罰を受けるのは自分だけではないということを認識しなきゃならんのだ。直貴はまた唇を舐めた。「相手には家族や愛する人がいるかもしれないし、そういう人が悲しむだろうからやめろと」「そうだね」社長は満足そうに頬を緩めた。「まさにそれだよ。人には繋がりがある。愛だったり、友情だったりするわけだ。それを無断で断ち切ることなど誰もしてはならない。だから殺人は絶対にしてはならないのだ。そういう意味では自殺もまた悪なんだ。……。……。
自殺とは、自分を殺すことなんだ。たとえ自分がそれでいいと思っても、周りの者もそれを望んでいるとはかぎらない。君のお兄さんはいわば自殺をしたようなものだよ。社会的な死を選んだわけだ。しかしそれによって残された君がどんなに苦しむかを考えなかった。衝動的では済まされない。君が今受けている苦難もひっくるめて、君のお兄さんが犯した罪の刑なんだ」「差別されて腹を立てるなら兄を憎め、とおっしゃりたいのですね」「君が兄さんのことを憎むかどうかは自由だよ。ただ我々のことを憎むのは筋違いだといっているだけだ。もう少し踏み込んだ言い方をすれば、我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになるI すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね」
(第四章 4)

彼は社長の言葉の一言一言を反芻していた。そうかもしれないな、と思った。自分の現在の苦境は、剛志が犯した罪に対する刑の一部なのだ。犯罪者は自分の家族の社会性をも殺す覚悟を持たねばならない。そのことを示すためにも差別は必要なのだ。未だかつて直貴は、そんな 考えに 触れたことさえなかった。自分が白い目で見られるのは、周りの人間が未熟なせいだと決めてかかっていた。これは理不尽なことなのだと運命を呪い続けていた。それは甘えだったのかもしれない。差別はなくならない。問題はそこからなのだ。そこからの努力を自分はしてきただろうかと考え、直貴は心の中で首を振った 。いつも自分は諦めてきた。諦め、悲劇の主人公を気取っていただけだ。
(第四章 4)

この世は危険に満ちています。いつどんな人間が危害を加えてくるかわからない世の中です。誰もが自分の身は自分で守るほかなく、これといった力のない庶民としては、周りの人間にせめて何らかの目印でもつけておくしかないのです。
レッテルを貼られた人間には、それなりの人生しか待ち受けていません。私は殺人犯の弟だという理由で、音楽という夢を捨てねばなりませんでした。また、愛した女性との結婚も諦めることになりました。就職後も、そのことが発覚するや否や、異動させられることになりました。由実子は近所から白い目で見られ、娘の実紀も仲のよかった友達と接する機会を奪われました。あの子が将来大人になって、たとえば好きな男性ができた時にはどうでしょうか。伯父が殺人犯であったことが発覚しても、相手の両親は彼女たちの結婚を祝福してくれるでしょうか。
これまでこうした内容を手紙に書いたことはありません。貴方に余計な気遣いをさせたくないと思ったからです。しかし今の私の考えは違います。これらのことを、もっと早く貴方に伝えておくべきでした。なぜなら、私たちのこれらの苦しみを知ることも、貴方が受けるべき罰だと思うからです。このことを知らずして、貴方の刑が終わることはないのです。
この手紙をポストに投函した瞬間から、私は貴方の弟であることを捨てるつもりです。今後一切、貴方とは関わりを持たないつもりですし、これまでの貴方との過去もすべて抹消する決意でいます。ですから、貴方のほうも、仮に何年か後に出所が叶った場合でも、私たちと関わろうとはしないでもらいたいのです。この手紙を読み終えたその時から、武島直貴という男と自分とは何の関係もないと思ってください。兄に送る最後の手紙がこんなものになってしまい、大変残念に思います。どうか身体に気をつけて、立派に更生されることを願います。これは弟としての、最後の願いです。
武島剛志様 武島直貴
(第五章 6)

 緒方がポケットから、新たに封筒を取り出してきた。それを直貴の前に置いた。「そんな時、これが届いた。結論からいうと、彼からの最後の手紙だ」直貴は驚き、緒方とその封筒を見比べた。「それを読んで、私は決心したんだよ。もう事件は終わらせよう、とね」直貴はその封筒に手を伸ばした。「読んでもいいですか」「彼はそれを望まないだろうが、私は読むべきだと思う。その手紙は君にやるよ」直貴は封筒を両手で持った。便笑を取り出す勇気が出なかった。「直貴君、といったね」緒方がいった。「もう、これでいいと思う。これで終わりにしよう。何もかも」「緒方さん……」「お互い、長かったな」そういうと緒方は目を瞬かせ、天井を見上げた。
(第五章 9)

『拝啓 今日は重大なことを打ち明けたく、筆をとらせていただきました。先日、弟から手紙がきました。受刑者にとって肉親からの便りほど心安らぐものはありません。胸を弾ませて読み始めました。しかしその手紙を読み、私は驚きました。そこには、もうこれっきり手紙は書かないし、私からの手紙も受け取らないと書かれていたのです。その理由を、家族を守るためだ、と弟は記しておりました。さらにその手紙には、強盗殺人犯の兄を持ったばかりに彼がこれまでどれだけの苦労をしてきたか、その苦労は今も続いており、彼の妻や娘がどんな辛い目に遭っているかが、切々と綴られていました。このままだと、将来は娘の縁談にまで累は及ぶに違いないという暗い予測も添えてありました。だから兄弟の縁を切る、と弟はいってきたのです。私が出所した後も、連絡をとろうとしないでくれということでした。
この手紙を読んだ時の衝撃をわかっていただけるでしょうか。弟に縁を切られたことがショックだったのではありません。長年にわたって私の存在が彼を苦しめ続けてきた、という事実に震憾したのです。また同時に、当然そういうことが予想できたのに、弟にこんな手紙を書かせるまでまるで気づかなかった自らの阿呆さ加減に、死にたくなるほどの自己嫌悪を覚えました。何のことはありません。私はこんなところにいながら、何ひとつ更生などしていなかったのです。弟のいうことはもっともです。私は手紙など書くべきではなかったのです。同時に気づきました。緒方さんへの手紙も、おそらく緒方さんにとっては犯人の自己満足にしか見えない不快極まりないものだったに違いないと。そのことをお詫びしたく、このような手紙を書きました。もちろん、これを最後にいたします。どうも申し訳ありませんでした。ご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
緒方忠夫様  武島剛志
追伸 弟にも詫びの手紙を書きたいのですが、もはや読んでもらう術がありません。
(終章)



 

 

あらすじ
ガリレオシリーズ、待望の最新長編!内海薫が刺された。犯人は70歳ほどの老人。飛び降り自殺を図るも失敗し、取り調べには黙秘を貫く。やがて内海に恨みを抱く若い娘が捜査線上に浮かぶが、老人との関係は不明。それどころか、内海への本当の復讐はこれからだった。彼女が迫った「究極の選択」とは一体――。一方、湯川と草薙は、老人の“ある持ち物”を手掛かりに、「忘れてはいけない謎」の扉を開く。シリーズ最新、最高峰の謎がいま明かされる。


ひと言
非常に幸運なことに、東野 圭吾さんの遺作「永遠の記憶」を借りて読むことができました。一気読みでした。読み終えて、この本の名古屋市図書館の予約状況を見てみると予約数1502。今まで数えきれないぐらい予約を入れたことがありますが、こんな予約数は見たこともない数字です。どれだけ多くの人が東野 圭吾さんとの最後の時間を共に過ごしたいと思ったのかがうかがわれます。

 

 

2019年の7月に「とにかく時間が足りなくて、他の人の本を読んでいる余裕はありません。僕は、自分の作品を書かなきゃいけないんです」と直木賞の選考委員を辞められた東野 圭吾さん。大腸がんの発症時期については公表されていませんが、7年前にはもう発症されていたのかもしれませんね。この作品は死期を悟った東野 圭吾さんが「容疑者Xの献身」で歯車として扱われた浮浪者にもその人の人生があったことを名前をあげて読者にも伝えたかった、最後の最後に伝えなければいけないと思ったに違いありません。東野 圭吾さんらしい優しさ、人情味あふれる温かさがこもった作品でした。やはり東野 圭吾さんの中では直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」という作品への想いがとても深かったんだなぁと改めて思いました。最後にほんとうに素敵な作品をありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします(合掌)
 

犯行現場には観客がいた、すべてはたった一人の観客に見せるために行われた殺人劇だった―― 衝撃的な内容を語る湯川の低い声は、今も耳の奥で響いている。物理学者は続けた。「その観客は通常レジカウンターのそばにいて、そこからは動かない。だから犯行をその観客に見せるためには、犯人は内海君と共にスーパーマーケットに入り、内海君がレジカウンターで精算をする時、犯行に及ぶ必要があった。ここまでいえば観客の正体はわかるだろう。スーパーマーケットの従業員、しかもレジ係だ。毎日のように同じ場所に立ち、訪れる客たちを見ている。特に最近はセルフレジを使う客が多いから、商品そのものではなく、客の顔や手元を見ていることが多いはずだ。当然、頻繁に訪れる客のことは覚えてしまうだろう。その状況で、もし知っている人間が来店したらどうか。特に殺したいと思うほど憎い相手だったら? つまり君の行動を把握していたのは、犯人の三崎茂久ではなく、レジ係だ。三崎についていくら調べようが無駄だ。捜査すべきなのは、レジ係の履歴だ。それを辿れば必ず君に繋がる」つまり湯川によれば、実行役は三崎茂久だが、薫を殺害する動機を持つ人間はスーパーマーケットの従業員の中にいる、というわけだった。
(第一部 履歴る 6)

「母親が… …藤村倫子が夫の虐待を食い止める方法は、ほかにもあったはずだ」岸谷は呟くようにいった。「たとえばどんな方法ですか?」「それは……まずは夫を追及し、離婚する。夫には、二度と娘に近づかないよう約束させた上で慰謝料を請求する。約束を破ったならば警察に訴える、と脅しておく」「そうすれば藤村紗穂は幸せになっていたと?」「それは何ともいえない」岸谷は肩をすくめた。「本人たち次第じやないか」薫は首を横に振った。
「もしそれで解決するなら、藤村倫子もそうしていたはずです。なぜできなかったのかを彼女ははっきりと供述しています。実の父親からどんな虐待を受けたかを、公の場で紗穂に語らせることなど到底できなかった、さらにあの男がこの世にいること自体が紗穂にとって恐怖であり、もうあんな目に遭わなくていいんだと安心させるにはああするしかなかった、と。あの言葉には説得力がありました」「つまり君はこう言いたいわけか。あの犯行には正義があったと」「正義とはいいません。この世に正しい人殺しなんてないことはよくわかっています。でも合法的な手段ではそれ以上の成果をあげられないケースが存在するのも事実ではないでしょうか。私が藤村紗穂の現状を見て確かめたいのは、そのことです」
(第一部 履歴る 11)

「ひな祭り……三月か」ポットの湯が沸いたらしく、湯川が背中を向けた。やがて彼は二つのカップを両手に持ち、作業台に戻ってきた。草薙の前にあるコースターにカップを置くと、ゆっくりと自分の席についた。「その最後の電話では、どんなことを話したんだろう?」「お互いの近況だといってた。といっても具体的なことは話さなかったようだな。鶴巻自身は明言しなかったが、話しているうちに住所不定じゃないかと感じたらしい。どこに住んでいるのかと尋ねたら、隅田川の近くだとしかいわなかったとか」隅田川、と湯川は呟いた。「仕事は?何かしていたのか?」「それが興味深い。若い頃の気持ちに戻って、建築関係の仕事を探しているといっていたそうだ。たまたま専門誌を拾ったので、何気なく読んでいるうちにそんな気になったらしい、と三崎はいっていた」「たまたま専門誌を……ねえ」湯川はマグカップを持ち上げ、コーヒーを飲んだ。「それが功を奏したらしく、おかしな仕事が舞い込んだ、といって笑っていたそうだ」「おかしな仕事?」「現場監督のふりをして工事に立ち会う、という仕事だ。与えられた服に着替えて、ぼんやりと立っているだけで五万円。工事が始まるのは今夜で、指示された時間までは安宿で待機していればいいらしい。声をかけてきた男ははっきりとはいわなかったが、たぶん違法工事だろうと鶴巻はいっていたそうだ」「そしてその電話を最後に……」「三崎は永久に鶴巻とは連絡を取れなくなった」「当時、三崎は新聞を読む習慣はなかったのかな」「さあ、どうだろう? 確認してみようか?」「いや、その必要はない」湯川はマグカップを机に置いた。「ひな祭りの時期で隅田川のそば、宿泊所で服を着替えて胡散臭い工事に立ち会う仕事―― 君たちがよく口にするように、状況証拠だけはたっぷりと揃っている」「まだあるぞ。報酬は五万円、だ。ただ残念なことに、三崎も宿泊所の名前までは覚えていなかった。忘れちまったのか、元々聞いていなかったのかも不明だ。まあ、何しろ二十年前だ。そこまで覚えていただけでも大したものだ。――

宿泊所の名前、覚えてるか?」『扇屋』、と湯川は即答した。「亀戸にあったはずだ」草薙は両腕を大きく広げた。「おまえの記憶力は化け物級だな。当時の捜査資料を調べてきた。そうだ、『扇屋』だ」湯川は椅子の背もたれに身体を預け、大きく深呼吸をした。「チェックメイト、かな」「鶴巻和正は謎の男の指示に従い、約束の時間に宿を出た。自転車に乗り、旧江戸川の堤防を走った。行き先が、翌朝自分の遺体が見つかる場所だとは夢にも思わずにな」「彼の遺体じゃない」湯川が冷徹な口調でいった。「パズルの駒だ。その時、すでに鶴巻は駒になりつつあった。あの、不世出の天才数学者によって―― 」
(第二部 終活る 5)

それらを全部足した数だけ、人の生死に関する秘密を暴いてきたことになる。それが刑事の義務だと思っていたし、報告書を提出する時には、どんなもんだという傲慢な気持ちもあった。だけど俺が秘密を暴いたことで、きっと傷ついた人もいる。知りたくなかったことを知ってしまった、と警察を恨んだ人も少なくないはずだ。そういう人たちには、仕方のないこと、と諦めてもらうしかなかった。そしてたぶん、これからもそうだ。俺がリタイアしたとしても、殺人事件が起きるたびに、誰かが謎を解き、秘密を暴くだろうからな。だから俺が刑事としての終活をするに当たり、一度ぐらいは、仕方のないこと、と真相を呑み込んでもいいんじやないかと思うわけだ」「それはつまり……」「間もなく卒寿を迎えようとしているばあさんから、一日に一度ATMで通帳を確認する、という楽しみを奪う気はない、ということだ」
やや長くなってしまった説明に、湯川は遠くに目をやってしばらく黙考していたが、やがて草薙のほうを向いた。その表情は心なしか柔らかくなっているように見えた。「君のいう通りだ」低いがはっきりとした言葉が響いた。「僕たちはずいぷんとたくさんの秘密を暴いてきた。そのためには人々の感情など無視したし、君はともかく僕などは、最初からそんなものに興味がなかった。そんな僕に人の心も科学だと教えてくれたのが、あの事件だ。どうすればよかったのか、未だに答えを出せずにいる。しかし石神からの手紙で、大事なことに気がついた。我々はあの事件について、真実を解き明かしていなかった。石神は、たしかに大を殺した。では、その人物はどこの誰で、それまでどうやって生きてきて、なぜあの日、あの場所に行ったのか。それらを知らないままでは真の解決とはいえなかった。でも、ついに答えに辿り着いた。間もなく塀の中から出てくる彼に、その答えのすべてを打ち明けようと思う。それによって彼の償いも終わる。そして―― 」湯川は続けた。「僕があの事件を振り返ることは、もう二度とないだろう」
(第二部 終活る 7)

 

 

今日は柳橋でお昼だけはかつ丼専門店になる「炭火やきとり鱔(ゴマメ)」へ。ランチメニューの上かつ丼(玉子2倍)の御飯大盛(1230円)をいただきます。かつの衣に丼のタレがよく染み込んで、個人の好みで汁ダクで食べることもできます♪。ごはんとカツが別々で出てくる形はかつは熱々だし、ごはんの上にのっていないのでごはんがベトベトにならずにグッド!美味しかったです。ごちそうさまでした♪

 

炭火やきとり鱔(ゴマメ)

名古屋市中村区名駅4

 

名駅の駅裏でつけ麺を食べた後、サンロードにある BEL BUTTER WAFFLE( ベルバターワッフル)に立ち寄りました。こちらのお店は9月末にビアードパパの系列店としてオープンしたお店です。プレミアムバターワッフル(250円)メープルシュガー(280円)キャラメル(280円)をいただきます。おすすめの軽くリベイクしていただくと、しっとりとし、バターの味と香りがより強くなりとても美味しいです。とても美味しい好みのワッフルでした。ごちそうさまでした♪♪

 

BEL BUTTER WAFFLE( ベルバターワッフル)名古屋サンロード店

名古屋市中村区名駅4 ナゴヤ地下街サンロード

 

今日は名駅 亀島にある「和久楽」へお昼を食べに行きました。こちらのお店は、私が一番好きなつけ麺のお店である中川区の「つけ麺丸和」の流れを汲むお店です。濃厚つけ麺 大盛(300g)無料(1000円)をいただきます。つけ麺が美味しいお店は数多あるのですが、最後の最後までつけ汁が石鍋に入って冷めにくいのはやっぱり評価が高いです!!。麺も丸和に似てとても美味しいです♪♪。そういえば丸和には長いこと行っていないなぁ。今度食べに行こ。とても美味しいつけ麺でした。ごちそうさまでした♪♪

 

和久楽

名古屋市中村区亀島2

 

 

あらすじ
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。ある日、祥子が自室で死んだ。部屋は密室、自殺か、他殺か?心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?


ひと言
東野圭吾の加賀恭一郎シリーズの第1作目で、加賀恭一郎がまだ刑事になる前の大学在学時に初めて出会った殺人事件を解き明かす本で、加賀恭一郎と父親との確執が描かれいて興味深い本でした。サッシの鍵については、さすが東野 圭吾だなぁ。面白いことを思い付くものだと感心しましたが、雪月花之式は図入りで細かく説明されているのですが、複雑過ぎてなかなか理解できませんでした。

「意外だわ」沙都子は率直な気持ちを述べた。「あなたは高校の時から……ううん、その前 から剣道一筋で、女の子だとか恋だとかには無縁な人だと思っていたわ。たとえそういう気持ちを抱いたとしても、それを口に出さない人だと思ってた」すると加賀は、ふっと苦笑をもらした。彫深い顔に赤味がさした。「まるで葉隠れだな」「ハガクレ?」「武士道とは死ぬことと見つけたり…… の葉隠れさ。そこにこうある。恋とは忍ぶことなりってね」「あなたのイメージにぴったりだわ」「つまらん思想さ。俺ははっきりしていることは口に出す主義でね。したがって君に対する気持ちも言っておく必要があった。卒業までにね」そう言うと加賀は「それじゃ」と手を上げて歩き出した。沙都子の横を通り過ぎる時、剣道着にしみついた汗の臭いが彼女の鼻孔を刺激した。酸っぱいような臭いだった。
(第一章 1)

教師になりたいという希望を今年の春頃初めて話した時も、父の反応はこれと似たようなものだった。なぜだ、とも訊かなかった。加賀は拍子抜けした。もし理由を訊かれたら、「教師か警官になりたかったが、警官は家族を不幸にするから」と答えるつもりだった。その時父がどんな顔を見せるか、彼は内心楽しみでもあった。しかし父は何も言わなかった。「そうか」と 一言答えただけだった。父の方からこのことについて尋ねてくることもなかった。
(第二章 7)

「なるほどね、加賀君はそれで警察官は捨てたのかもしれませんね」と沙都子に微笑みかけた。「あの子のお母さんのことは知っているでしょう? 加賀君はお母さんが出ていったことをお父さんのせいだと思っているわ。お父さんが警察官だったからだと。あの子の中には、警察官とは家族を不幸にするものだという固定観念が出来上がってしまっているでしょう。それでもこの春に、教師か警察官になりたいと言っていたのは、あの子にとっては家族というものが具体的な形をもっていなかったからなのだと思います」
(第三章 1)
 

 

昨日のTVで御器所周辺のお店を紹介する番組を観て、今日「すすきの亭 御器所店」へお昼を食べに行きました。みそらーめん(900円)にコーンハーフ(150円)とバター(100円)をトッピングしていただきます。自分好みの濃いめの味噌スープ。うーんこれこれ!太めのストレート麺にこれでもかというぐらいコーンがたっぷり盛られてこれもグッド!!これでコーンハーフなのですがもう十分な量です。欲を言えばバターがもう少し大きかったらパーフェクトだなと思いながらいただきました。ごちそうさまでした♪♪♪。大好きな味噌バターコーンラーメンが食べたくなったら、また必ず伺います。ごちそうさまでした♪♪♪

 

すすきの亭 御器所店

名古屋市昭和区緑町3

 

あらすじ
私はこの世界の出口を見つけなくてはならない――。女性を主人公にした初の長編小説。
「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」26歳の絵本作家、夏帆は初対面の男にいきなりこう告げられた。とびきり美しくも賢くもなく、ただ少しばかり好奇心の強い彼女は、怒りよりもショックよりも、ただ純粋に驚いた。しかしそれから彼女の周りでは、実にさまざまな奇妙な出来事が起こりはじめる。 


ひと言
村上 春樹の3年ぶりの長編小説で、これこれ、これが村上 春樹だよねというような小説でとても読みやすく読者をグイグイ物語の中に引き込んでいきます。ただ村上 春樹といえばメタファー(暗喩)。読者のほとんどがこの武蔵境のありくいとは何のメタファーなの?と思いながら読んでいると思います。春樹のよさは、読者がこのメタファーを各々自分なりに解釈して無限にその小説を解釈していけるところにあると思うのですが、モーターサイクルの男、ありくい、シロアリの女王……。さすがにこれを読み解ける読者はほとんどいないと思います。作者一人だけがわかって、それが読者に伝わらないメタファーは、作者の独りよがりであり、もうそれは暗喩ではないのではないかと思います。

「これは、夏帆さん、ちょっとまずいことになったかもしれません」「まずいこと?」「はい。わたくしが思いますに、あなたのお母様にはシロアリの女王が取り憑いてしまったようです」夏帆は口を薄く開いて呼吸を止め、ありくいの奥さんの細長い顔をじっと見つめた。胸がどきどきした。それから息を大きく吐いて言った。フソロアリの女王?」「そうです。女王シロアリです」「取り憑くというのは……あのジャガーが『とぎや』の主人に取り憑いたのと同じようにですか?」「はい、そうです。あなたのお母様は、あのときの『とぎや』の主人と同様、身体をまるごとシロアリの女王に乗っ取られてしまっているようです。それはブラジルの熱帯雨林ではしばしば見られる現象なのですが」「とぎや」での凄惨な出来事が脳裏によみがえり、夏帆の頬が青ざめた。ありくいの奥さんは言った。「どうやらわたくしたちは、この武蔵境とブラジルのジャングルとの間に通路のようなものを開けてしまったようです。そしておそらくその通路を抜けて、シロアリの女王が当地に移動してきたのでしょう。その女王シロアリのことは、わたくしも個人的にある程度知っています。彼女はもっと若い女王シロアリ候補との熾烈な地位争いに敗北し、巣から追放されたのです。そして行き場所を失って、また争った敵からの報復を怖れ、ここに逃れてきたのでしょう。彼女がどうやってその通路を見つけたのか、それはわかりません。通路の入り口は見つからないよう、念入りに隠蔽されていたはずなのですが」夏帆はその秘密の通路について想像を巡らせてみた。それがどんな形状を持ったものかうまく想像できなかったけれど。「でも武蔵境にやってきたそのシロアリの女王が、どうしてまた遠く離れた浦和にいる私の母に取り憑いたりしたのでしょう?」ありくいの奥さんは首を振った。「そのあたりのいきさつは、わたくしにもわかりません。しかしそこにはなにかしら邪悪な目的が潜んでいるように、わたくしには思えてならないのです」「邪悪な目的?」「あの殺されたジャガーとシロアリの女王とは、ジャングルでは親しい友人関係にあったのです。根性の歪んだもの同士、手を結んでいたとでも言いますか。ですから彼女はあるいは殺されたジャガーのために、あなたに対して復讐を企んでいるのかもしれません。おそらくはあなたに取り憑くことによって。しかしあなたを正面から狙うのは簡単ではないので、あなたを取り巻く円環の最も弱いリンクである、浦和のお母様に狙いを定めたのではないでしょうか? シロアリの女王はなにしろ悪知恵が働きますから。それがあなたのお話をうかがって、とりあえずわたくしの頭に浮かんだ仮説です。今のところはまだひとつの仮説に過ぎませんが」
(第三章 夏帆とシロアリの女王)

「ひとつ心に留めておいてもらいたいことがある。それはね、我々が人生において体験する深刻な混乱の大半は、原因と結果の間に等価性が見いだせないことによって生じるということだ」夏帆はそれについてひととおり考えを巡らせてみた。そして、言われてみればたしかにそうかもしれないと思った。等価性。現在こうして私が置かれている、奇妙きわまりない、常識から明らかに逸脱した状況がひとつの「結果」であるとするなら、それをもたらした等価性を持つ(持たねばならない)「原因」はいったいどこに見いだせるのだろう? もし私自身にこの「結果」に対する責任があるとするなら、そこに至るどのような等価的原因を私は持ち合わせていたのだろう?あの男はまたこのようにも言った。「君は君が目にするすべての事物の、その裏側を見とおさなくてはならない。原因と結果の間を結ぶ糸を見つけるんだ」夏帆は目を閉じて懐しいバツハの音楽に耳を傾けながら、彼女を取り囲むものごとの裏側を見とおそうと努めた。数日の間ほとんど昏々と眠り続けている母親、いったい彼女の身に何が起こったのか? というか、何が起こりつつあるのだろう?
(第四章 守護天使、象の卵とスカーレット・ヨハンンソン)

その一方で、シロアリの女王や、ありくいの夫婦や、BMWのモーターサイクルに乗った守護天使、「とぎや」の耳の尖った店主……そんなものたちはなんと確かな、くっきりした存在感を私に感じさせるのだろう。彼らは―― 常識で考えれば存在するはずのないそれらのものたちは―― 私の目には他のどんなものよりも、誰よりも遥かにリアルなものとして見えてしまうのだ。彼らは私の心にじかにぐいぐい食い込んでくるみたいだ。そう、彼らはメタファーであると同時に、紛れもない実体でもある。その両者(メタファーと実体)は明らかに分離不可能な状態に置かれている。
それから彼女は「象の卵」を思い出した。ミソラと猫のスカーレット・ヨハンソンが森の奥に探しに出かけた象の卵――それは何かのメタファーなのだろうか? たぶんそうなのだろう。いや、ひょっとしたらそうじゃないかもしれない。それは実はメタファーでもなんでもなく、単なる「象の卵」そのものなのかもしれない。「象の卵」という以外の意味あいは何ひとつそこに含まれていないのかもしれない
(第四章 守護天使、象の卵とスカーレット・ヨハンンソン)