2023年 アメリカ 112分

 

 

監督:ベン・アフレック

出演:マット・デイモン、ベン・アフレック、ジェイソン・ベイトマン

 

 ストーリー

 1984年。シューズメイカーのナイキは人気が無く低迷が続いていた。営業のソニーは、CEOからバスケットボール部門の立て直しを命じられる。妙案が浮かばず苦悩するソニーは、ある時、1人の選手に目をつける。

 

 

 

 

  ​評論・感想・解説

 お待たせしました。え〜と・・・まだ辞めてません、このブログw

 

当初は「月1〜2ぐらいで更新出来ればいいなぁ〜」

 

という、ざっくりとした感覚で過ごしていましたが、ただそれさえも何かに縛られている感がして嫌になり、

 

「よし、月1とかは限らずマイペースで更新しよう!」

 

という結論に至ったら、こんな更新頻度になりましたw

はい、申し訳ありませんm(_ _)m

 

という事でやっていきたいと思いますが・・

いきなりですが、この配信の世界、映画の未来はこれからどうなっていくんでしょうかね?

 

この映画を観終わった5月27日現在、4月に公開され、(数は少ないでしょうが)今でも映画館で上映中の「AIR/エア」が既にAmazonプライムで配信されており(日本の公開日が遅いだけ?)、僕みたいな子育て世代のほとんど映画館に行けない配信派にとっては非常にありがたいことですが、1ヵ月待てば配信されると思ったら皆映画館に行かなくなるんじゃないでしょうか?

配信アプリ技術の発展で映画館へ行くという価値が低下していってるのを肌で感じます。

 

よくよく考えると映画館は上映時間に合わせて我々が都合を合わせないといけないのに対して、配信アプリは本当に好きな時間に家から一歩も出ずに映画を観れると思うと、後者の方が断然、楽で良いですよね。

 

そりゃ流行るわぁ〜!!

 

  マイケル・ジョーダン

 

 

 

 

 

さて、やっと本編の話題に入ろうと思います。

バスケに興味あろうがなかろうが一度は皆が聞いたことはあろう「エア・ジョーダン」。

今作は当時は人気の無かったNIKEがマイケル・ジョーダンと契約を締結するまでの試行錯誤を描いたサクセスストーリーとなっております。

 

そして何を隠そう、私は幼少の頃にマイケル・ジョーダンにどっぷりハマり、95-96シーズンからですから・・・かれこれ約30年近くNBAを見てきたマニアです。

 

 

↑こういうNBA専用のTwitterアカウント持ってるぐらい

 

 個人的にはかなり大好物なストーリーでした。

 

時代背景を知るとより面白いんですよ、これ。

 

映画を鑑賞された方には「えっ!?マイケル・ジョーダンなんだから凄いんでしょ!NIKEが契約したくて当たり前でしょ!」

と思った方もいらっしゃるかもしれません。

 

 でも、背景を知るとそのマイケル・ジョーダン1本に絞った契約が実はそれがマット・デイモン演ずるソニーの最大の賭けに値する出来事なのが分かります。まずそれを説明させてもらいますね。

 

「バスケは背の高い方が有利」というのは誰もが知っている事実です。それは日本だけでなく、NBAという世界最高峰のバスケットリーグでももちろんそう。特に当時のNBAには【優勝するためにはビッグセンターが必須】という考えが第一にありました。

 

 

 

 

 ここでジョーダンがドラフトされた84年のドラフトを振り返ってみます。ここでスーパースターと呼べる選手は1位のオラジュワン、もちろん3位のジョーダン、5位のバークレー、16位のジョン・ストックトンぐらいでしょうか。

 その他、サム・パーキンスやケビン・ウィリスなどは選手としての息は長かったですが、ロールプレーヤーな感じでした。

 

どうです?皆さん!どのスポーツでもそうですが、大学時代に活躍し、将来を有望視されプロに飛び込んだものは良いものの、スーパースターレベルで活躍できるのはほんの一握りです。今までもドラフト1位で指名されながらほとんど活躍できず、数年で現役を去った選手も何名も見てきました。特に全く活躍できなかったのにジョーダンより指名順位が高かった2位のサム・ブーイなんかは今でも史上最悪のドラフト指名として揶揄されることが多々あります。

 

ましてやNIKEのソニーは先程言ったようにビッグセンター(背の高い選手)を中心としたチーム作りを主とする時代に、まだプロでのプレーを見てない、プロで通用するかは分からない新人のマイケル・ジョーダンという背の低いガード選手1点に絞りシューズ契約を結ぶのです。これがどれだけのリスクなのか分かりますか?

 

正直、これは成功したから美談になって映画化もされてるんでしょうけど、これが2位のサム・ブーイ1点に絞ってたら会社を潰したA級戦犯として違う意味で後世に名を遺したでしょうw

 

ソニーの決断はそれぐらい勇気のある決断だったと僕は思います。

 

 

  役者

 しかし今回は役者も良かったです。

また太っていましたねぇ~。

これが役作りなら大したものですが、ただの年齢からくる肥満でしょうから、改めて僕が映画にハマりだした時代から時が経ったなぁ~、俺もオッサンになったんだなぁと感じました。

 

 ↑久々に見たクリス・タッカー。太りましたねぇ~。

「ラッシュ・アワー」とか20年前ぐらいはいろいろなコメディー映画に引っ張りだこだった印象があるから懐かしい~!

おちゃらけキャラながら主人公のソニーに絶大な信頼をおき、常にサポートする姿勢は好印象でした。

 

 

 

↑マット・デイモンも太ったなぁ~。

これだけは役作りで太ったと思いたい。

またシュッとしたマット

が見れるよね。

ジェイソン・ボーンまたやってよ!

 

 

 

  グッジョブ母親

 

 

 あくまでもこれは僕の持論なんですが、「いろいろなスーパースターにはグッジョブすぎる女性の存在がある」

というのがあります。

 将棋の藤井聡太も5歳の頃にお婆ちゃんが将棋を教えたらしいんですよ。そっから将棋にのめり込むようになって気づいたら若干20歳で将棋の8大タイトル中、もう7冠ですよ。天才中の天才です。将棋を教えたお婆ちゃん!グッジョブすぎないっすか!?

それと同様にマイケル・ジョーダンにとってのグッジョブすぎる女性が彼の母親でした。

 

この映画が良かった点は、ジョーダン側のメインを神様マイケル・ジョーダンではなく、彼の母親にしたことだと思うんですよ。

どうしても物語にマイケル・ジョーダンを入れると、ネームバリュー的に彼が勝っちゃう。

 

たとえば

 

    

むかしむかし、あるところにお爺さんと、お婆さんとマイケル・ジョーダンがいました。

お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯へ。マイケル・ジョーダンは友達とバスケしに行きました・・・・

 

 

ね、マイケル・ジョーダンが勝っちゃうでしょ!全然ストーリー入ってこないんですよw

 

 

 

だからね、劇中のジョーダン役の役者の顔はおろか、何なら身体も映すか映さないかぐらいのギリギリで映すあの演出がもの凄く良かった。あの演出でやはりジョーダンの存在が薄くなり、母親の存在が際立ったと思います。

誰もがこの映画を観て、印象に残るのはジョーダンの母親:デロリス・ジョーダンでしょう。

 

 自社のブランドがマジックやラリー・バード、アブドゥルジャバーなどのスーパースターが既に契約していて自信があるアディダス社やコンバース社。そしてまだ未知数のジョーダン。

この2社はとりあえず多大なる予算からドラフト上位指名選手を手当たり次第に契約して誰か当たればいいやという契約至上主義。

テンプレート的な挨拶や契約交渉、選手個人を見出すというよりかはの自分たちのブランド力でかかる態度。

その心の無さが母親に見透かされます。わかっちゃうんですよね。

 

ジョーダンと契約したいという情熱が人一倍あったNIKEのソニー。またその母親の姿勢が日本人好みですよね。それに対して恩や礼儀を重んじるというか。

image

 

 

余談ですが、このデロリス・ジョーダン役のヴィオラ・デイヴィスはマイケル・ジョーダン自身が彼女の配役を望んだとか。

その要望を実現させ、ヴィオラが母親役を演じていますが、

ベン・アフレック監督自身も「ヴィオラは私が今まで見た中で最高の俳優」と称え、そして、ヴィオラの名前を挙げたマイケル・ジョーダンを「キャスティングディレクターとしても天才的であることが判明し、さすがだと思った」と、意外な才能に驚いたことを明かしました。

 

しかし凄いですよね。

自分の母親をどの女優に演じてもらいたいか?と聞かれて皆さん答えられます?

もの凄いベッピンさん選んでもそれはそれで

「うわっ!あいつ、自分の母親こう思ってんだ!?」とか言われそうだし、結局誰を選んでもサブくなると思うんですよね、これ。

それをズバッと言える芯の太さというかこの肝の据わり方。

それこそがソニーも指摘し、ノースカロライナ大のディーン・スミスHCも見抜いた大学1年生であらゆる先輩をさしのけNCAA決勝のラストショットを託せる肝の据わり方でしょう。

 

 

話は戻しますが、

ジョーダン自身もNIKEとは契約しないと公言していたにも関わらず契約に至った理由について、

後日談でジョーダン自身も当時を振り返り、

【「気が進まないだろうけど、話を聞いていきなさい」といい、母が僕を(NIKE社に)飛行機に乗せて会いに行かせました】

と述べています。

 

 

グッジョブすぎるだろ、母親!

 

 

ジョーダンにとって母親は絶対的な存在だったのでしょう。

 

NBAの殿堂入り時のスピーチではこんな言葉を残しています。

 

 

 

サムネイル
 

​母親は偉大です。

私にやかましく小言を言う唯一の存在です。

常に前向きに生きる術を教えてくれました。

どのように人と関わり、どのように周囲を敬うべきか

我々家族にとって何が大切か

自分が世間にどう言われても一度立ち止まって正しい判断をすること

そういった物事の考え方全てを母親から教わりました。

 

まさにその母親像を今作では描き切れたと思います。

 

  NIKEのプレゼン

 

 

 そして母親同様にこの映画の見せ場が何といってもジョーダン家に対するNIKE社のプレゼンシーン。

彼らもまたいろいろな試行錯誤して、作戦を考え、プレゼンのプランを実行するのですが・・・・

ありきたりなマイケルのハイライト動画や褒めたたえる言葉を聞き飽きてるジョーダン家にとっては何の新鮮味もない。

家族がつまらなそうにしているのを感じ取ったソニーは全てのプランを変更。

ただただ自分の想い、自分の熱意をジョーダン家の心にぶつけるのでした。

 

あのシーンは必見です。ソニーのプレゼンに心打たれます。

 

また何よりも斬新だったのは、NIKE側の提案がいわゆる今までの既存のシューズモデルをただジョーダンが履くのではなく、

ジョーダン自身のシグネイチャーモデルだったということ。しかもNBAに選手が着用するバッシュは白を基調としたものという規定がありながらも赤色のブルズカラーで突き進む。違反した罰金はNIKEが支払する。

 

それでメディアにも注目させるというマーケティング戦略がまたまた素晴らしい。

 

それに加え、今では当たり前ですが、これまでにはなかったシューズの売り上げの一部を選手に振り分けるというスタンダードを作り上げたことも革新的でした。

またそれを承諾したNIKEの寛大さにも惚れ惚れ。

 

 

全てが革命的でした。

 

NIKEチームのマーケティングとジョーダンのNBAでの活躍が融合した結果は・・・ 皆さんご存じの通り。

最高収益が300万ドル(約4億2000万円)だったNIKEのバスケット部門。エアジョーダンは初年度1億6200万ドル(約225億2000万円)を売り上げます。

2022年、スポーツウェアブランド「ジョーダン・ブランド」の売上は50億ドル(約6575億円)を突破。NIKEのブランド・広告契約、自社経営や投資等・・・現役を退いたにもかかわらずマイケル・ジョーダンの年収は1億5000万ドル(約196億円)らしいです。純資産は驚異の20億ドル(約2600億円)!!!・・・怖っ!!!!!もう何か怖っっ!!

 

 

 

 

 

NBA制覇6回

2度の3連覇

得点王 10回

シーズンMVP 5回

ファイナルMVP 6回

NBAオールスター 14回

 

などなど、

 

彼のNBAで残した成績は計り知れないです。

 

 

 マイケル・ジョーダンが神格化される理由はこういう残してきた成績はもちろんながら「エア・ジョーダン」を全世界に知らしめ、人気ブランドとして1つのカルチャーにしたこと。

分かってほしいのは、シューズがマイケル・ジョーダンを偉大にしたのではなく、マイケル・ジョーダンの偉大さがこのシューズを社会現象にまで押し上げたということ。

 

いろいろなスーパースターがジョーダンと比較されますが、レブロンしかり、コービーしかり、絶対にジョーダンに及ばない点がここ。後にも先にもこれほど世界に影響を与えたのはジョーダンしかいないのです。

 

 

その他、見どころとしては代理人のデビット・フォークが実は「エア・ジョーダン」の名付け親だったり、気の強そうなデロリスに一切歯向かえなさそうで、何も考えてなさそうな父親ジェームズの優しそうな顔がリアルだったり、NBA好きにはたまらないプチ面白いところが凝縮された一作となっております。

 

 

 

 NBA通にしか分かりませんが・・・それよりも関係がどんどん悪化していくピッペンとの仲が心配です。

仲良くしてくれ!

 

 

Just Do It .

 

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