2021年 アメリカ 148分

 

監督:ラナ・ウォシャウスキー

出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世

 

 

 ストーリー

トーマス・アンダーソンは、人気ゲーム「マトリックス」を開発した世界的ゲームデザイナー。会社からは続編製作を指示されているが、現実と創作の区別がつかない精神状況に陥っていた。一方、「ムネモシュネ号」の船長バッグスは、機械から人類を解放した救世主の生存を信じ、ネオの行方を探していた…。 アクション超大作・新章。≪未来を選べ≫

 

 

 

 

 

 

  評論・解説・感想

 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。さあ~て、新年1発目はこれ。思いを馳せれば、今ブログの初めての映画評論を「マトリックス」でさせていただきました。続編の「リローデッド」、「レボリューションズ」ともに、もちろん語らせてもらいました。そして、今回はそのマトリックスの新作でもある「レザレクションズ」。ここまできたら「これ」行かざるを得ないでしょう。配信してくださってるNetflixには感謝です。それでは早速行きましょう。

 

  ​続編

 巷の反応を見るともの凄く賛否両論あるようですね。というのも、僕も鑑賞する前は、これはこれで今までの3部作とはかけ離れた全く新しい位置づけのマトリックス作品だと勝手に思っていました。ただ、いざ蓋を開けて見ると純粋な続編ではありませんか!


 いや、それはそれでまた過去作品を咀嚼しまくった僕としてはかなり嬉しい限り。現実世界に戻る手段が電話から鏡にリニューアルはされていましたが(たしかに今ならスマホで簡単に帰れちゃうもんね)、ただ、咀嚼しまくった僕も初見では完璧に理解不能。一つ一つ振り返りながら僕なりの解釈を述べていきたいと思います。

 

  ​モーダル!?

 

 

 さすがマトリックス。いきなりの難解な解釈を提供してくれますね。なんか・・・「リローテッド」の時の「アノマリー」の時の様に、さも皆さんご存じのあの「モーダル」ってな感じでバッグスとシークの最初の会話に「モーダル」、「モーダル」連呼して、何の説明もなく進んでいきます。

 

何やねん!「モーダル」って!!!!

 

待て待て待て!と。

 

 

 よくよく調べるとWeb用語に「モーダルウィンドウ」って言葉があるそうですね。

 

 

 

↑の画像をご覧ください。「モーダル」という単語は聞いたことなくても、こういう広告を見たことありませんでしょうか?

ウィンドウが別に開いて、この広告を閉じない限りは親ウィンドウも操作できない、という子ウィンドウ。

男性諸君は間違いなくアダルトサイトのこのモーダルウィンドウの広告に悩まされてる経験一度はありますよねww

僕もその一人ですw

結局、このモーダルが何かを解明する前にまずネオについて語りましょう。

 

  ​ネオ

 

 

 主人公のネオ(トーマス・アンダーソン)。彼は本編の世界では今までの3部作のマトリックスのストーリーをゲーム化して大ヒットさせたゲームプログラマーとして存在しています。
 

 実際には彼の今までの経験をゲーム化しているわけですが、もちろんそんなことは知る由もありません。

 

しかし会議での同僚の毎日同じ発言の繰り返しのループに気づき、少なからず彼の潜在意識によぎるのです。「これは現実世界ではないのではないか?」と。

 

 そこで実験として、トーマス・アンダーソンの世界のゲーム内にマトリックスのモーダルを作成しました。

 

 


つまりオープニングのこのバッグスとシークが忍び込んだ「モーダル」とは、より正確にいうと・・・・アンダーソンが製作した「モーフィアス」というプログラムを閉じ込め、同じ世界を永遠とループしている世界

 

 

なぜそういうものを作ったのかというと・・・

 

もしこれが現実世界ではないのなら、モーダルを誰かしらが見つけ、モーフィアスを解放→モーフィアスがネオ(救世主)を探してくれる→そしてもし自分が救世主ならマトリックスの世界から解放される!と思ったのでしょう(あくまでも僕の解釈)!

 

あくまでも「モーダル」を作成している時点でトーマス・アンダーソンは半信半疑の段階で、まだマトリックス世界にいるとは感づいてはなく、だから実験だったのですね。

 

 

  ​エージェント・スミス

 

 

 そして今回も登場、「エージェント・スミス」。今作から役者がジョナサン・グロフに変更になっています。実はここら辺からイマイチ内容がスーッと入ってこない。

 

ちょっとずつ僕の解釈で説明していきますと、

 

 

もともとエージェント・スミスというプログラムの目的は「マトリックスの侵入者を排除すること」

2作目はネオを排除するプログラムへと変化し、

最後はマトリックスとは関係なく独自のプログラムとして動き、ネオとは相反する救世主とは全くの対極に成りえる存在として君臨していました。そこで人間にとっても機械にとっても脅威な存在になったので人間と機械が協力して倒したのがレボリューションズだったわけです。

 

では今作でのスミスの存在は何なのでしょう?

 

結論からいうとネオ同様、アナリストにコードを変えられて支配されていたというのが正解です。

大人の事情で前作までのスミス役だったヒューゴ・ウィーウィングが演じてないのはしょうがないとして、ここら辺もコードが変わっているから見た目や風貌も変わってるよってことでしょうね。

 

その支配されていたスミスがアノマリー(オフィスでの銃撃戦)によって目覚めて、アナリストの支配から解かれてしまったのです。

 

そして目覚めた彼は今までアナリストに支配されていた事実を知り、屈辱を感じるとともに誓うのです。

 

 

 

サムネイル

アナリストに暴力的な復讐を!

 

と。

 

 

その復讐とやらはこの今現在のマトリックス世界の破壊だとは思いますが、それをやるには結局、電力を供給しているネオやトリニティーが邪魔。またそれらをを救い出そうとしてる人々も邪魔。ネオとスミス・・・今回ばかりは仲良く行けるのではないかと期待しましたが、結局こいつらは敵対するんやね〜。

 

 

 2人の対決シーンはやっぱり見どころですし、マトリックス世界が変わり、プログラムとしてホームレスになってるメロンビジアンも見れました(知らない方は過去作鑑賞推奨)。


またザイオンに代わり、人間の居住する街となった”アイオ”。そのトップであるナイオビ、あとインド人娘のサティー・・・

と、知ってるキャラがどんどん出て、マトリックス同窓会の雰囲気には興奮しました。


  ​アナリスト

 

 

 続いて今回の超キーパーソンがこのアナリスト。前作までのアーキティクトみたいな存在だと考えていいでしょう。新しいマトリックス世界を構築したAI。

マトリックス世界ではトーマス・アンダーソンの精神科医として存在してます。

 

薄々とやはり自分はマトリックスの世界にいるのではないかと気づき始めてるアンダーソン。

 

「現実と区別できないゲームをあなたが開発し、自身の日常の要素を物語に仕立てたのだから混乱してもしょうがないよねー」

 

 

と、アンダーソンを否定し、妄想だと言及。


マトリックスに留まる青色の薬を処方し、単調な毎日を繰り返させ、アンダーソンに悟らせないよう目を光らせていました。

 

 

 余談ですが劇中に定期的に現れる黒猫。これはアノマリー(異常)が存在し、マトリックス世界を書き換えた、あるいは書き換えられた時の象徴(継ぎはぎの部分)と捉えればしっくりくるんじゃないでしょうか。オフィスでモーフィアスに会った後に精神科医の部屋にいたシーンは「アナリストが書き換えた」で辻褄が合うし、工場でのトリニティを連れ戻そうとしたシーンもそうですよね。最後トリニティのシーンではスミスが・・・。


まぁ〜これのせいで最近、プライベートでも近所で黒猫見るたびに「あっ!この世界書き換えられたな、」と思うようになっちゃいましたw

 

 

 

話は戻り、今回のマトリックス話の真相はというと工場でアナリストがペラペラ喋っていましたがあそこ皆さん分かりました?


「バレットタイム」のくだり。あそこも意味が分かるようでイマイチだったのでまとめてみると・・・


前作のレボリューションズの最後でネオは命を捧げザイオンと機械の世界に調和をもたらした

それを一部始終みていたアナリストはネオを蘇らせ、新しいマトリックス世界を作ろうとする

が、ソースコードがなかなかうまく作れなかった

そこでネオ1人では価値がない。トリニティが必要だと悟る

しかしネオとトリニティの距離が近すぎると、膨大なエネルギー量を産み出し、マトリックス社会が安定しない

ただ、ほどよい近さに保つと安定する

 


 またネオが苦悩することで電気供給量が膨大になることも悟り、苦しみさせながら彼を操っていたのでした。

だから今回のマトリックス世界ではトーマス・アンダーソンとトリニティは微妙な距離感で相まっていたのですね。

 

前任者のアーキティクトは人間の心を考慮せずに、実証と方程式に当てはめ、最初から決まっている未来(あるいはアーキティクトが理想としてる未来)に全てを導こうとした。しかし人間の感情こそが大事だということに気づきませんでした。


そうなると抵抗者も現れ、マトリックス世界から目覚めた人も多数だったのです。

そこでアナリストはその感情こそ大切だと気付いたのです。


アナリストいわく


99.9%の人間にとっての現実の定義として


“持っていないものに憧れ、失うことを恐れる”


らしいです。

 

でもたしかにそれわかるな。そこに感情が湧く。


僕も書籍や漫画本の積読が家にたくさんあるんですが、読むまで、手に入るまでがこれが欲しいこれが欲しいと実は一番テンション高くて、入手した途端にいつでも読めると思うと後回しにして結局読んでないというのが多々あります


(持っていないものへのあこがれ 欲望)

 

かといって、捨てろと言われたらそれはそれで嫌なんですよね、いつか読むから、と。


(失うことを恐れる 恐怖)

 

 

恋愛だってそうじゃないですか。

実は付き合う前とか付き合っている恋愛進行中の状態がが一番ピークだったりして、いざ結婚すると何か違う、みたいな。知らんけどw


かといって、だったら別れればいいじゃんっていう話になると、またそれはそれで違う。



  ​トリニティの判断


 

 トリニティの判断任せるシーン。ここはトリニティを信じるしかない場面ですが、トリニティの決断も勇気ある決断でした。家族と安定した暮らしがあり、そりゃあ、子供や夫にも愛情があるでしょう。

 それを全て捨てて「俺と来てくれ!」と言われても・・ってことですよね。

 皆さんならこの決断出来ました?


もし僕がトリニティと同じ環境ならこの決断が出来たかな?と、考えさせられました。むしろ僕なら分かってでも安定を選んじゃうかも、と。


しかも信じるべき相手のトリニティに見えてる姿ががアナリストにコードを書き換えられたハゲたオッサンってことですよねw



キアヌ顔だから成り立つものも、こんな顔で近づいて口説いてれば人によっては犯罪ですよ。キモ気持ち悪いですよ。

こんな胡散臭そうな顔のオッサンを信用できたトリニティは偉い!



でも、僕思ったんです。

トリニティも現実世界に怪しいところが少なくともなければマトリックス世界の安定を選んでいたかもしれましせん。


ただね、理由もわからず夜に呼び出されて

いきなりあんな警察が大勢いるカフェに連れてこられたらさすがに僕でも、

「これマトリックスの世界じゃないか!?」と気づいちゃいます。それかドッキリですよ。


ベストなタイミングで家族も登場しますし。

違和感がありすぎるんですよね。


そこらへんに関してはアホだなぁー、アナリスト。

バレバレじゃん。


関係ないですけど、トリニティ救出するための脳のバイパス。サティの仕事がリモートだったのがちょい面白かったですね。コロナ禍で出勤しないタイプの職業だなぁと分かったのは新発見でした。


 ただ、あそこは反則ですね。

機械だらけの世界に、モーフィアスの粒子化でササぁーと簡単に侵入してましたからね。どうやって見つからずにトリニティを救出するのか?で、もう1エピソードぐらい出来そうだったのが残念です。


  好きなシーン



 最後に好きなシーンを1つ。

今回僕が1番好きなシーンはネオとトリニティを阻止するためにbotがビルからバンバン落ちてくるシーン。

なるほどなぁ、こういう発想があったか!と度肝を抜かれました。あそこは見るべきです。

 

 

  最後に

 ということで、いろいろ語らせてもらいましたが、賛否両論の「否」の発言をしている人は過去のマトリックスを咀嚼していないか、マトリックス初見の人でしょうね。”初見の人向けに作られていない”というご意見ももしかしたらあるかもしれませんが、それはごもっともで、シリーズ4作目なのに今さら初見の人のために作ってたまるかーっっ?ってことなんですよ。

ハリーポッターだって4作目から見たら意味不明でしょ。

 

無情なまでにあなたのマトリックス愛が試される1本だと思います。それ次第で評価が変わる映画だと言い切れるのではないでしょうか。過去作の鑑賞は必須です。


傑作かと言われたらそれは違う気もしますが、僕は好きな作品でした。

 

 TODAY'S
 
​採点

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️☆☆☆ 7点 (10点満点中)

 

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