恐れ入りました | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る


ドメーヌ・デ・ボワ・ルカ ガメイ「Cuvee KUNIKO」VDTフランセーズ 2003
購入日    2006年1月13日
開栓日    2006年1月14日
購入先    下里酒店
インポーター コスモ・ジュン
購入価格   3000円

日本人女性初のビオディナミック生産者として知られる新井順子さんが、ロワールの畑で
生産されたワインである。

洪水などがあって、2003年の生産量は激減したそうだが、このあたりの苦労談は、
著書「ブドウ畑で長靴をはいて」に書かれているらしい。
         ・・・・すみません、わたしはまだこの本読んでいません。
この本に関するooisotaroさんのコメントはこちら。ワイン独眼流さんのコメントはこちら

ボア・ルカのワインはもはやAlcoholic Armadilloでは売り切れていて(ooisotaroさんが最終在庫を
さらって行かれたらしい)、いのまた専務から、在庫があった下里酒店をご紹介頂いた。
このお店の奥さんがワイン担当で、新井さんのお友達だそうである。

なぜわたしがどうしてもこのワインを飲みたくなったかというと、
そりゃもうooisotaroさんのブログ を読んだからである。
「ガメイを見下している飲み手にこのワインを味わってもらいたい。その上でガメイを
 否定するようなら、もう金輪際ガメイを飲む必要はない、その位のワインと言っても良いのでは」
などとワインの達人に書かれると、飲まなきゃしょうがないじゃありませんか。

おかげさまで、わたしもこのワインを開栓することができた。
で、やっぱりすごいガメイでした。
こんなものを教えて下さったooisotaroさんや、いのまた専務 はじめ、
皆さまどうもありがとうございました。

Alcoholic Armadilloでは、他にもooisotaroさんご推薦のワインを購入してしまった。
これからぼちぼち紹介するつもりだが、今後はHNをkoisotaroにしようかな。


さて今日のワインだが、濃い紫色で、開栓当初は重く暗く、沈んだ奥底に甘い香りが漂い、
知らなければビオ系の香りには気付かない。

口に含むと微発泡にちょっとびっくりするが、これが何とも心地よいから不思議。
開栓後しばらくは、わずかの渋み、控えめな酸味、そして豊かな甘みを伴っている。

これがガメイなの?と思うほど味わいも色と同様に重厚で、一見何のブドウなのか
分からないほどだが、飲み干すと残り香にガメイ独特の香りがあるのに気付く。

開栓当初はアルコール度の高さ(14.5%)も少し気になったが、のみ進めるに従って徐々に
気にならなくなってきた。

開栓後数時間でガスも抜けてくる。
くすんでいた甘みが霧が晴れたかのように単純になって少し分かりやすくなる。
翌日になると酸味と甘みが渾然一体となって、ようやくこのワインの全貌が見えてくる気がする。

わたしの乏しい経験からだが、こんなにボディが強くて中身が詰まったガメイは知らないし、
ガメイ以外のブドウで造られたワインにだって、滅多にない凝縮感がある。
これが、ブドウが摘み取られる前に十分吟味された結果なのだろうか。

さて、このワインはビオワインだが、きちんと保管すればこれからどうなっていくのだろう。
そして、最高の飲み頃は一体いつなのだろう。そのことの方が興味深い。

わたしはブルゴーニュの2003は、まだ若いと思っているので飲んだことはないし、
2002だってまだまだ開栓することなく置いてある。

力のあるワインは飲み頃まで長くかかるし、そもそも古くて優しくなったワインが好みなのである。
昨年飲んだワインで印象に残ったものも、古いものがほとんどだ。

昨年飲んだワインで、最も印象に残ったのは何かと考えてみると、
実はなんとブルゴーニュではなく、ボルドーなのである。

シャトー・クロ・ド・サルプ(サン・テミリオン グラン・クル)1966

それを思うと、今日のワインは素晴らしいとは思うが、今1人で飲み切るには、わたしには重すぎる。
ちびちびとやるにはいいが、量を飲むとこの重たさが幸福感に浸ることを妨げる。
これはワインが若いからなのか、それともガメイの特徴なのか、判断はしかねる。

わたし自身胃は決して弱い方ではないが、年齢とともに重いワインは胃にこたえるようになってきた。
ボルドーからブルゴーニュに軸足が移ってしまった理由の1つは、単なる好みの変化だけでは
ないのかも知れない。

数年後、いや十数年後、きちんと保管された今日のワインを、ぜひ飲んでみたいと思った。