また行きました、六覚燈 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

まだ右側でしか噛めないが、いちおう復活したことにして、六覚燈を襲う。

今回はオヤジばかり5人であり、接待されるのはわたし1人で、あとの4人は接待する側。
どうもわたし1人がダシになって、接待する側の方が喜んでいるフシがあるが、
まあそれはよしとしよう。
というか、わたしも喜んでいるし。

今日のワインで注文を付けたのは、DRCを何か1本、ということで、
あとはすべてソムリエの中山さんにお任せした。


ベルナール・モロー サン・トーバン 1級畑 シュール・ガメイ 2002

造り手はシャサーヌ・モンラッシェ村のネゴシアンらしいが、よく分からない。
サン・トーバンという村は、そのシャサーヌ・モンラッシェ村のすぐ隣である。

夏なので1本目は白からとなったが、開栓後30分で角が取れてまろやかな舌触りになった。
印象としては、ムルソー系よりモンラッシェ系の繊細な感じがする。


アルベール・ビショ ジュブレ・シャンベルタン 1996

これはいい年のワインである。この造り手らしく、あまり力強いタイプではなく、
土の香りもせず、どちらかと言えば洗練されて線が細いジュブレである。

数年前に同じワインのヴィンテージ違いを何本か飲んだが、
もっと辛くてまろやかさに欠ける印象があった。
やはり96年は良い年なのだろう。

しかし、このワインもまた、次の1本への前奏曲でしかない。


ドメーヌ・デ・ラ・ロマネ・コンティ(DRC) ロマネ・サン・ヴィヴァン 1993

言わずと知れたDRCの逸品。今日はこれを飲むために来たようなものだ。
まずブーケもすごいが、第1印象は口内に残る燻したような香りが長々と続くこと。

しかし思ったほど腰が太くもなく、押しつけがましさはない。
素直で優しい、クラシカルなブルゴーニュで、ブルゴーニュの初心者には
インパクトが乏しいのではないか、と思った。
現在非常にバランスがよく、まさにたおやかで正統派の美人である。


シャトー・クロ・ド・サルプ サン・テミリオン グラン・クル 1966

さて本命のあとに何が出てくるかと思ったら、これだった。
ブラインドでテイスティングして
「サン・テミリオンの80年代前半」と答えたら、
「さすがですねえ」と中山さんに褒めてもらった。

ぴったしサン・テミリオンというのはまぐれ当たりだが、
メルローが主体の、ボルドー右岸のワインであることは分かる。

しかしまさか60年代のワインだったとは・・
今でもしっかり若い、ということなのだ。

R.パーカーのボルドー第4版によると、「1998年に登場したシャトー」と書かれており、
それ以前のヴィンテージは書かれていない。
ん?何じゃそりゃ。

どうも昔にワイン造りをしていて、いちどワイン造りをやめたのだろうか。
この1本は数年前にリコルクされ、蔵出しされたものらしいが、完璧な状態であった。

なるほど、ロマネ・サン・ヴィヴァンに対抗できるものといったら、
この柔らかいメルローの香しいワインしかない。

こういう組み立てをするソムリエこそ本当のプロと言える。


Ochs アイスワイン 1994 オーストリア

琥珀色をし、べとついた甘さはなく、品があり深みのあるよくできたアイスワインである。
ブドウ品種も聞いたが、記憶に残らなかった。

う~ん、これも渋い選択やなあ。


さて、このものすごいワインたちとの出会い、ご予算はいかほどのものか?

最初の2本は、価格的には大したことはなかろう。
ビショのジュブレは、市場では3000円ほどだ。

一方、サン・テミリオンやアイスワインの購入価など調べたってわかりっこない。

問題のロマネ・サン・ヴィヴァンの実購入価格を、今ネットで調べてみたら、
な、なんと70000円である・・・

思わず絶句。

昨晩の支払い価格は明かせないが、一体どうやってあんな金額で済んだのだろう?

まったくもって、この店には謎が多い。