ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

このブログは 「ワイン遍歴の終着点はブルゴーニュである」と
密かに確信しつつあるワイン好きのひとりごとである。

高名な評論家が何を言おうが 権威ある本に何と書かれてあろうが
そんなことは知ったことではございません。
信じるのは自分の五感のみ。
これは 長年音楽を聴いてきた経験からの自負である。

売らんがための美辞麗句はどこにでも存在する。
わたしは誰にも媚を売る必要がないから 駄目なものは駄目とはっきり書ける。
ただ 自分の未熟さを反省する謙虚さだけは失いたくない。

読者を増やす努力は一切しない。
ランキングにはまるで無関心。
読者のためのバイヤーズガイドを目指さない。

音楽を語ると敵が増えるが、酒を語ると友が増える。
今日もひとりでブルゴーニュを開栓して ひとりごとを語り始めよう。

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ベルターニ アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ 2007
購入日    2016年8月
開栓日    2016年8月
購入先    うきうきワインの玉手箱
インポーター モンテ物産
購入価格   9482円(税込み)

 

この3年間毎年この時期海外に行っていたが、諸般の事情があって今年はどこへも行かない。

ゴールデンウィーク中もどこも行かなかったが、その間仕事場の片付けと

新居建築の情報収集に終始していた。

 

だから家飲みが多くなるが、大阪はとても暑いので、赤は当然ながらちゃんと冷やしても

シャンパーニュや白ワインですら体感温度が高い。

落ち着いてワインを飲む気になれず、不覚にもビールを開ける日が増えている。

 

松徳硝子社製のビアグラス

 

食事仲間の友人である上七軒のお茶屋のおかみさんから頂いたビアグラスを毎日愛用している。

元は電球製作会社だったという松徳硝子だが、ロブマイヤーもぶっ飛ぶほどの軽さである。

箸より重いものを持ったことがないので、これを使うと普通のグラスやジョッキには戻れない。

 

さて本題のワインである。

先日同じ造り手ベルターニャのヴァルポリチェッラ リパッソ 2012を開けてみたので

その上級の旗艦ワインも購入してみた。


先日のリパッソは阪急百貨店で税込み3000円ほど(ネットショップでは税込み2570円)

だったが、今回のアマローネはその3倍以上する。

 

ブドウを3ヶ月陰干しして貴腐菌がついて糖度がを高めて発酵させ、

6年間長期熟成させて出荷するというワインだそうだ。

確かに干しぶどうをしがんだような、いかにも高級食用ブドウらしい甘さがある。

非常に分かりやすいブドウの味である。

 

ブルゴーニュみたいに尖った酸とは質が違う、柔らかで自然な酸があり、

腰が低くて太めのボディ、タンニンも柔らかで果実が豊潤である。

ヴェローナは北イタリアの町だが、3年前のお盆に行った時は超暑かった。

やっぱりこれは暑い地域で造られるワインなのだ。

 

ヴェローナにあるジュリエットの像 2013年8月13日 炎天下で撮影

 

こんなワインはとてもじゃないが1日で空けることはできず、4日ほどかけて

少しずつ飲んだが、室温に放置していて参加が進んでも僅かしか落ちない。

夏には神経質なブルゴーニュを開けるより、こういう分かりやすいワインの方が楽だ。

 

前回の廉価版リパッソの3倍もするのだが、風格を備えているし、それだけの価値は十分ある。

しかしこれだけ濃いワインだから、2007と2012のヴィンテージ差も気にならないし、

普通の感覚ならリパッソで十分である。

 

1万円のワインをパーティで出すとしたら、

もしわたしがワインバーのマスターだったら、

ヴォーヌ・ロマネの1級を開けるくらいならこちらを選ぶ。

 

ショーソンの交響曲変ロ長調よりドボルザークの第9番、

パッヘルベルの組曲(Partita)第6番(Canonにあらず)よりヴィヴァルディの四季の方が

一般には受ける。

 

しかしこのワイン、もう1本買うかなあ・・

だんだん人間が俗化していっている気がするなあ。

 

 

 

 

 

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この半年ほど住宅建築に関してハウスメーカーと交渉を重ねた結果、
素人ながら少しは賢くなった。
関心のない向きにはなんの意味もない記事だが備忘録として記録しておく。

まず誰もが気にする住宅価格。
坪単価で表示されることが多く、坪単価45〜80万円などと倍くらいの開きがある。
こんなもの、ポンと提示されても何の参考にもならない。
以下を読めばその理由はすぐに分かる。

今回ハウスメーカー3社から何回も見積りを出してもらったが、
システムキッチンやカーテン代、空調機器を含んで出してくるところや、
エネファームなども含めて出してくるところもある上に、
項目分類が各社異なるので標準化しないと意味がない。

各社の見積りには一定の規則はなく、ウッドデッキが本体に入っていたり
外構に入っていたりするし、本体価格に何が含まれているのか不明瞭でもある。
そこで純粋の本体工事費を比較したくて、3社に以下の項目を含むか質問状を出してみた。

以下にメーカーに関係なく必要な経費(不要である可能性があるものを含む)を列記する。
うちの個別な事情ではなく、あくまで一般論であることを強調しておく。
ただし100坪程度の土地を想定しているので、それより狭い土地なら価格は下がる。

・建物解体費用・・・・・約400万円
・屋外給排水工事費用・・約100万円
・上下水道本幹工事・・・約70万円(不要である可能性あり)
・水道市納金・分担金・・約30万円
・ガス配管工事・・・・・約25万円
・地盤改良工事費・・・・約200万円(おそらく不要)
・小運搬費用・・・・・・約40万円(不要である可能性あり)
・印紙代・登記費用・・・約35万円

ざっと考えつくだけでこれだけあり、どれだけ安い家を建てようが、
合計すると900万円は必要になることになる。
隣家から下水道工事を分ける必要があるのか現時点では不明で、
地盤改良工事も小運搬費用も不要である可能性が高いが、
それらを差し引いても解体工事費が高額なので最低600万円は必要になる。

さらにメーカーによって分類が曖昧な事項のものを整理する。
必要性が疑問なものも含まれるが、家が大きいほど高額になり、凝れば青天井になる。
これもうちの事情ではなく、一般論である。

・屋外照明器具工事・・・・・・・約20万円
・室内照明器具・・・・・・・・・約50〜100万円
・カーテン・・・・・・・・・・・約50〜100万円
・空調工事費・・・・・・・・・・約100〜200万円(全館空調を採用しない場合)
・システムキッチン・・・・・・・約100万円
・造作家具など・・・・・・・・・約100〜200万円
・太陽光発電・・・・・・・・・・約200万円
・エネファーム・・・・・・・・・約100万円
・床暖房・ミストカワック・・・・約200万円
・セキュリティ(セコムなど)・・約60万円

当然取捨選択が必要だが、贅を尽くすとしたら軽く1000万円を超えてしまう。
ミニマムに抑えても、クーラーや照明機器、カーテンやシステムキッチンは絶対必要だし、
作り付けの棚なども最低限は必要である。
400万円程度は最低でも見ておかなければならないだろう。

これらを外して本体価格がいくらになるのか明示してもらわないと坪単価など
議論しても始まらないわけである。

最大手メーカーであるセキスイハウスは、上記のものがすべて標準装備されて
見積りを出してくるし、おまけにアメニティ換気システム100万円というのまで入っている。

営業マンはセールストークで「現在では装備されていて当然です」と言うが、
他社との差別化を図り、高級住宅であることを強調しているわけである。
だからセキスイハウスは高いと言われるのだと思う。

そんな高い家は買えませんという購買層には、
「どうぞローコストメーカーに行って下さい」
という姿勢なのだろう。

同社は年間約1万軒の住宅を建築し、そのほとんど全てに上記装備を載せている。
要するに「てんこ盛り装備の規格住宅」を大量仕入れ・大量販売で割安にして売っているのだ。
品質は間違いないから、ある意味ずる賢いとも言えるし、良心的で堅実だとも言える。
そして個性がない。

さらに、上記に含まれていないのが外構工事費である。
これが個別の土地で差が大きく、最も恐ろしいのである。

一般論に戻る。
50坪の更地があり、地盤補強工事不要、擁壁工事不要、
外構工事費は最小限に押さえて300万円、
水道工事費・登記費用など最低限で200万円、
その他本体以外の必要経費(空調・カーテンなど)が400万円、
住宅本体の延床面積40坪、坪単価50万円で本体価格2000万円、
合計2900万円。

といったところがわが国の新築住宅の標準だそうだ。

ここからうちの個別の事情を含めて述べる。
うちの場合は古家の解体費用や外構工事がかなり高くつくのでその分上乗せされるが、
これはどうしようもないのだ。
古家の宿命でもあり、50年近く前に造られたガレージの安全性が担保されず、
設計上の問題からも埋め戻してコンクリート擁壁を造る必要があるとされた。

新たにガレージを造り、それに立派な門構えでも建てようものならものすごいお金がかかる。
外構工事費だけで最低でも1000万円、
玄関まわりと門扉に凝るなどしたらその倍は必要だと言われ、腰を抜かした。

外構工事費はどこのメーカーでも同じだろうと思っていたら実は大違いで、
住友林業はとんでもなく高い見積りを出してきた。
子会社に住友林業緑化という外構会社を抱えているはずだが、
なぜこんなに高額なのか今でも解せない。
本体価格値引き分でも乗せてきているのだろうかと疑ってしまう。

では実際にうちの実家の場合、現在の古家を解体して建て直しに入るだけで
・解体工事費・上水道工事費等 ・・・600万円
・屋内外照明・カーテン・空調工事・造作家具など大きく見て・・1000万円
・外構・擁壁・植栽工事費・・最低限でも1000万円
合計2600万円が必要になる計算だ。

これに住宅本体価格にいくら払うかが問題だ。
延床面積40坪で、坪単価50万円の本体なら2000万円で、合計4600万円
延床面積60坪で、坪単価80万円の豪勢な本体なら4800万円で、合計7400万円となる。
ハウスメーカーが提示する割引価格とは、この本体から◯%値引きするという形になるようだ。

地元の工務店が新築住宅の80%を請け負い、残りをハウスメーカーが受注する。
そのハウスメーカーにも、品質を保証し低価格を謳うところもあれば、
セキスイハウスのように満艦飾の最高級住宅を大量受注するところもある。

なぜわたしがエス・バイ・エルを選んだかというと、K氏という設計士がいたからである。
クライアントに媚びずぶれない方針があり、
他社の視点の先を見越した洞察力があると思ったのだ。
しかもセンスは群を抜いて突飛である。
そこで地味な家内の抵抗にあった。

出来合いのものをモディファイして持ってくるのではなく、
無に近いところから造りあげる姿勢は、他の2社には見られない。
過去10年以内に、身近な知り合いの医師4人が、エス・バイ・エルに住宅を発注している。

結局住宅建築において何を重視するかということなのだろう。
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ドミニク・ロラン ブルゴーニュ・シャルドネ 2014
購入日    2016年8月
開栓日    2016年8月
購入先    ヴェリタス
インポーター ヴェリタス
購入価格   2280円

たまには本家ブルゴーニュの記事も書かなくては。
しかしこんなネガティブな内容で盛り下がってしまうのは残念である。

超有名な造り手であるドミニク・ローランではあるが、造るワインのレベルはピンキリで、
DRCのロマネ・サン・ヴィヴァンの畑のブドウを購入して造っているという話もあるが、
こんなひどいワインも造るというわけである。

黙って飲んだら3流造り手の産地不明のソーヴィニヨン・ブランかと思うほど浅い。
香りからシャルドネと判然としないくらいだから、このワインの酷さは推して知るべし。

ブルゴーニュのシャルドネとしては最低価格ではあるが、
こんなものにお金を払うくらいなら、チリのコノスルの
オーガニック・シャルドネ(金800円也)を3本買う方がはるかに幸せである。
コノスルのほうがずっと真面目に造られていて、シャルドネの魅力に溢れている。

ブルゴーニュを冠していてもこれではまったく存在価値が無い。
2000円そこそこしか出さないなら、まともなブルゴーニュは買えないという厳しい現実を
このワインは教えてくれた。

10年少し前だったら、この価格でアンヌ・グロのオート・コート・ド・ニュイ
キュヴェ・マリーヌが買えた。
それは今では5000円はする。

アホらしくて買う気にもなれなくなってしまったが、
ドメーヌ・ルフレーヴのマコン・ヴェルゼも今では5000円。
それ以上出さなければ、もはやブルゴーニュのシャルドネは飲めなくなった
ということだろう。

ピノ・ノワールは何が何でもブルゴーニュでなければならない、と思う。
しかし、普段飲みのシャルドネは別にブルゴーニュでなくても良いのでは。

本当にローラン自身が造っているのかどうか知らないが、
こんなくだらないシャルドネに自分の名前を冠することを恥だと思わないのだろうか。

1本しか買わなくて、本当に良かった。


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今日も日帰りで東京出張してきた。
朝5時半に起きて、新幹線では遅くなるので不本意ながら7時半の飛行機に乗り、
これまた不本意ながらタクシーで六本木ヒルズまで行った。

早朝なので羽田から六本木までタクシーで20分。
電車なら1時間はかかるので勝負にならない。

10時から某製薬メーカー主催のミーティングに参加し、嫌われるのを承知で
「地域医療を動かしたいなら、実際に地域医療をやっている人間の意見を聞くのが第一歩」
「プライマリ医は特定疾患療養管理料が取れない上に手間がかかる疾患を診たがらない」
「点数が下がるから内服薬の数が増えるのは歓迎しない」
などと言って帰ってきた。

専門医からプライマリ医へ情報伝達して患者を利し、ひいてはメーカーの利益を上げる
という戦略は分からなくはない。
しかし製薬会社の学術部門、営業部門が机上で考えることくらい
われわれ開業医はとっくに実践している。
でなければ今頃うちの診療所は閑古鳥が鳴いている。

地域地域に合った草の根の戦略を持って行動しないと、実を取ることはできないであろう。
やっぱりわたしはとことん現場主義の人間であると自分で思う。

とか言いながら、親しい日大教授や杏林大のワイン好きの女医さんなどと談笑し、
一緒に行った担当者とともにヒルズ内のドイツビール店で一杯飲んで新幹線で帰ってきた。
やっぱりわたしは鉄道ファン、飛行機は御免だけれど鉄道は何時間乗っても疲れない。




ベルターニ ヴァルポリチェッラ・リパッソ 2012
購入日    2016年6月
開栓日    2016年7月
購入先    阪急百貨店
インポーター モンテ物産
購入価格   3000円くらい

ブルゴーニュワインももちろん開けているが、書いても面白くないので
あまり記事にしていない。
どこが〜ブルゴーニュの魅力〜だ、これを「羊頭狗肉」という。
そもそも10年前とは価格が大幅に変わっているので、
ブルゴーニュはもはや一期一会で、2度と手に入れることはできないと思って開けている。

今から探しても、同じ銘柄でも価格は2倍で飲み頃は10年後である。
そこまでして追い求めようとは思わないので、在庫処理に徹して新規購入は止めている。

しかしいくつになっても新しいもの、知らないものにはアンテナを張っていきたい。
知らないワインは山ほどある。

痩せて酸っぱいピノ・ノワールはそもそも和食には合わないし、
時には単純な甘さを求めたくなることがある。
分かりやすくて安価なものを気楽に飲みたくなるのも人情だ。

ということで今回の1本。えらく前置きが長かったな。
ふらりと立ち寄った阪急百貨店のワイン売り場でソムリエに勧められて購入したもの。

イタリアのヴェネト州の中心都市ヴェローナのワインだそうだ。
ヴェローナは3年ほど前にツアーで立ち寄ったことがある。
ロメオとジュリエットの舞台となった町で、大規模な野外オペラが開催されるところである。

まったく知らないので、売り場のソムリエのお姉さんから聞いた話と
ネットの情報から書いているだけだが、このベルターニが造っている最高峰のワインが
アマローネだそうで、そのアマローネの搾りかすの上で再発酵させたワインがこれらしい。

と言われてもよく分からないのだが、このワインは実に分かりやすい。
要するに万人受けするが甘さがあり、フルボディで濃いが節度があってアクがない。

トマト系のソースのパスタにはよく合いそうで、いかにもイタリアンである。
こんなワインを愛飲してブログで賛辞を述べるようになったら
これまでの信用と友人を一気に失いそうなのでこの辺で止めておくが、
欠点を探すのが難しいワインだとだけは書いておこう。

やっぱりラテン系やなあ。暑いところでできたワインやなあ。
難しいこと言わんと美味しかったら飲んだらええやん。

ということで、自分の俗っぽさ具合を測るために時折開栓してみたくなるのであった。
それって、イタリア人に失礼な発言かも。

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義父が50年以上前に購入した土地に、築50年近い古家が建っている。
ニュータウン開発時に購入した土地だから区画は100坪くらいと非常に広い。
今時こんな土地を買える人は非常に限られているが、昔は信じがたいほど安かった。
そこで細々と半世紀近く義父夫妻が住み続けてきたわけである。

そんな義父夫妻も、今では老人ホームに軸足を移してしまった。
長生きすればやがては自分が行く道でもある。

今土地を売ればとんでもない税金を取られるので、売却代金の多くが飛んで行く。
自分のものではないから自分が税金を払うわけではないが、
何とか維持して受け継いでいくしかないとは思う。

しかし今の古家のままでは住むこともままならず、地震がやってくるのも怖い。
ということで、今さらながら建て替えざるを得ない状況になった。

自分の家の話ではなくて家内の実家の話なのだが、
建て替えれば実際に居住するのはわれわれ夫婦が主になる。
わたしにすればありがたい話ではある。

座して待っていても話が進まないので、今年の2月の末の用事のない日曜日、
家内とABCハウジングの千里住宅公園にモデルハウスを見に行ってみることにした。
懐かしい。こんなところに何の用もなく出かけたりしないから、28年ぶりである。

さすがの最大手セキスイハウスは、ゲートのすぐ前の一等地にモデルハウスを構えている。
こちらには何の予備知識もないから、ふらりと入ってしまう。
そこで上品でイケメン紳士の営業マンMさんと出会った。

28年前、この公園内に野村不動産というハウスメーカーのモデルハウスがあって、
1歳だった子どもたちを抱きかかえて入ろうとしたことがある。

玄関先で「まず住所と名前を書け」と高圧的に言われた。
子ども2人がぐずって泣き叫んでいるので、あやしながら
「ちょっと待って下さい」
と言ったところ、
「名前を書かないなら入っていただかなくて結構です」
とものの見事に門前払いされた。

当時は若かったから、冷やかしで来たと思われたのかも知れない。
今時こんな態度の営業マンはいないだろうが、
その時のことが外傷体験になっている。

だから今回、セキスイハウスのMさんの柔らかで丁寧な物腰に引きこまれてしまった。
身元調査をすることもなく、丁寧な説明をしてくれて、最後に名刺を渡された。
実に上手い営業で、マダムキラーらしいスマートさも持ち合わせている。

Mさんにセキスイのモデルハウスを3軒案内してもらって、すっかりこの会社が気に入ったが、
他のメーカーのモデルハウスにも見てみたい。
そこで次にダイワハウスの新築の家に入ってみた。

そこには30代半ばの営業マンがいて、物腰は柔らかいのだが、
案の定、先にあれこれとアンケート用紙に記入して下さいと言う。
面倒くさいので、仕事用の名刺を渡して「建て替え計画中です」と話した。

「土地はどこですか」
「ニュータウンです」
「どこのニュータウンですか」
「千里です」
(ここは千里住宅公園やろが、このドアホ)と思ったのだが口には出さなかった。

自分の土地ではないので大きなことは言えないけれど、
いい年をした土地持ちの夫婦が、ちゃんと住所を記した名刺まで出しているのだから
どこに建てるのか分かりそうなものだ。
まさか冷やかしで来たとでも思ったのだろうか。

ダイワハウスのできたてのモデルハウスを見せてもらったが、
階段の途中に中2階があり、壁面が天井まで本棚になっていて、木製のハシゴがついている。
「ハリーポッターをイメージしました」
と営業マンが誇らしげに語る。
小さい子どもがいる若夫婦向けに設計された家なのだろう。

われわれはもう足腰が痛くなる年齢である。
これから20年くらい住もうと思っている家に、手すりのないハシゴなどあったら
危なくて仕方がない。
われわれは車イスで室内を移動できるバリアフリーな家を求めているのだ。

イメージ戦略ではあろうが、このモデルハウスだって100坪の土地に建っているし、
建築費は建物・外構合わせて5000万円は下らないだろう。
想定している居住者は小学生の子どもを抱える30代夫婦だろうが、
今の時代にこんな豪邸を買える30代夫婦がどれだけいると思っているのだろう。

にこやかに微笑む営業マンに
(責任者出てこい)
と言ってやろうと思ったが口には出さなかった。

この10分間で、ダイワハウスは数千万円の商談をパーにしたのだ。

それ以来約5ヶ月、3社の住宅メーカーと話し合いを重ねて今日に至る。
その3社とは、セキスイハウス、住友林業、エス・バイ・エルである。
大阪府医師協同組合が紹介しているメーカーは10数社あるのだが、
3社いずれも住宅メーカーとしては高額な製品を有する部類に入る。

元来凝り性の性格だから、ネットや友人の口コミなどで情報収集に努めてきた。
だが所詮シロウトの悲しさ、住宅のどこにどれだけお金がかかるのか、
どの構法が最も優れているのかなど分かりようもない。

しかし3社と合計10数回の商談を重ねるうち、おぼろげながら各メーカーの特長が見えてきた。
超大手のセキスイ、木造の最大手住友林業、デザイン性と自由度が売りのエス・バイ・エル
という謳い文句がネットに書かれている。
そう言うのは簡単だけれど、直接交渉してみると構法提示や価格提示に戦略が見え隠れする。

この5ヶ月間多大な時間とエネルギーを取られて交渉を重ねてきたが、
ようやく今週になって最終決断し、エス・バイ・エルに発注した。

ここに至る道は険しかった。
竣工後最も家に長く居るであろう家内と意見が一致せず、
大手メーカーにこだわる家内と最後まで揉めに揉めた。
最終的にわたしが意見を通した格好になった。

やはりわたしは工業製品ボルドーワインより、
個人の産物であるブルゴーニュの方が好きなのである。
家内の実家の建て替え計画なのに、無茶苦茶な話である。


メーカーの宣伝ページも含めてネットでは色々な情報が溢れているが、
簡明にまとめた情報はなぜかほとんど見当たらない。
やはり自分で経験してみないと分からないことが多々ある。

今でも建築される住宅の80%は地域の工務店によるもので、
残りの20%が会社組織の大手ハウスメーカーによるものだそうだ。
耐震性など最低限の条件を当然クリアした上で、安価に家を建てようと思えば
選択肢は多くあるだろう。

セキスイや住友林業のような最大手のメーカーは、直属の解体業者や外構業者、
植栽工事業者を抱えているかも知れないが、
ほとんどのメーカーでは、実際の施工は地元の業者が行っている。
だから地元の工務店に直接発注するほうが安いのは当たり前である。
その地方地方の業者によって同じメーカー製でもレベルの差が出るのは仕方がないのだろう。

構法の違いは基本性能以外に間取りの自由度に影響するものであり、
壁や柱の位置や開口部の大きさに関わるということも理解できた。
アルミサッシやガラスなどの部材の選択肢はいろいろあるが、
自由度の高い構法のものほど高級になって部材価格は上昇するようだ。

最大手のセキスイハウスでは、高い家でも安い家でもアルミサッシの選択肢は1つしか無い。
要するに質の高いものを大量発注してコストを下げているのだ。

目に見える内装は、つまるところどこの製品でも持ってこれるので
どこのメーカーの家でも、内装の見た目は同じものができるとことも理解できた。
ただし当然ながら同じ部材でも仕入れ値はメーカーによって変動する。

住宅建築を考える人がまず訪れるとはいえ、モデルハウスでイメージ以上のものを
提示するのは難しい。
価格交渉はその後になることは明らかだから、モデルハウスは
やり手の営業マンが顧客をキャッチするための蜘蛛の巣の役割が大きいのではないか。

内装などは内装メーカーから入れてきてコーディネートしていることを思うと、
モデルハウスをあちこち見回る意味はどこまであるのか疑問に思える。
だから建物の設計とか構造とか耐震性を強調されるのだろうが、
いちいち住所氏名を書かないと入れてくれないし、あとの営業攻勢を考えると
鬱陶しいことこの上ない。

この5ヶ月間色々な話を聞いて、最も興味深かったのは価格提示のプロセスである。
価格が最終決定の最重要点とも言えないから迷うわけである。
少しは賢くなったような気がするが、ようやく今後具体的な話に入れるので、ホッとしている。


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キトウシワイン 2014
開栓日    2016年7月
くれた人   福山のS先生
販売価格   2500円

毎度おなじみ同業者の福山のS先生から昨年頂いたワイン。
北海道の東川町産ブドウ100%のワインで、年産2820本、ブドウ品種は「セイベル」らしい。
セイベル(セーベル)といってもよく知らないので、ネットで検索してみた。

以下はコピペ。
[来歴]
フランスでセイベル氏が交配した品種群のひとつ。親は「セイベル7042」と「セイベル5409」。
1981年北海道優良品種。
[特徴]
赤ワイン用醸造専用品種。耐寒性が強く、安定した収量をあげることができる。
[収穫]
9月下旬〜10月上旬

東川町に関する情報は、エチケットに記載されている。


こういう情報を見てもどんなワインかさっぱり分からないので、
半年くらい寝かして開けてみた。
結構切れ味が良い品種で、日本産らしくあっさりしていてもたつかない。
よく知る近い品種は何か思い巡らしてみたが、
カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローからは最も遠い。
ピノ・ノワールともまったく違う。

実は味わいは若いガメイに近いと少し感じたのだが、ガメイのような品の無さは
まったく無いし、後味の潔さは別物である。
だからボージョレワインよりずっと自分の好みであって好感が持てるのだが、
難を言えば糖度が少なく色気がない。
甲州のワインと同じように、いかにも日本人の味覚でこしらえたワインであると感じた。

よく考えてみると2014年のワインだから、若くて当たり前だ。
この素性の良さならあと少なくとも3年は寝かした方が
まろやかさを獲得して色香も出てくるだろう。

S先生がどこで購入されたか確認していないが、東川町内の酒販店で買えるようだ。
東川町ににふるさと納税を30,000円すると2本貰えるとも書いてある。
正直のところ、2,500円なら買ってもいいが、30.000円で2本しか貰えないのは侘びしい。

手塩にかけて醸造されていることは、気品があることから納得できる。
まさか東川町まで買いには行けないから、S先生に聞けば入手方法は分かるだろう。
2820本しかないから爆発的に売れても困るだろうが、
造り手には長期熟成させたものをリリースしてもらいたいものだと思った。



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ラルマンディエ・ベルニエ ラティテュード エクストラ・ブリュット ブラン・ド・ブラン NV
購入日    2016年4月/2016年6月
開栓日    2016年7月
購入先    かわばた酒店/ヴェリタス
インポーター ラック・コーポレーション/ヴェリタス
購入価格   4266円/4645円

また最近本業が忙しくなっているが、この1週間は特別だった。
日曜日と木曜日と土曜日、何と週3回も東京に行った。
講演、会議、勉強会とすべて仕事である。
こんなアホなことをしている開業医はあまり多くないだろう。

日曜日は昭和大学の同門会の特別講演の講師として呼んで頂いた。
名門医系大学の年1回の同門会の演者だから、ものすごく名誉な話だのだが、
教授も新同門会長も前から親しいので、気楽に出かけた。

木曜日は学会の専門医の会議で、相変わらずメンバーはほとんど教授ばかりで10数人。
唯一の開業医として言いたいことを言ってきた。
もう疲れてきたから、誰か替わってくれないかなあ。
日曜も木曜も東京滞在時間は4時間だけ。

一昨日の土曜日は500人規模のメーカー主催の大きなイベントで、
同世代で親しい東大とか名古屋大とか旭川医大とか山梨大の教授と談笑し、
2次会では秋田・福島・大阪・福山(まいどのS先生)たちと5人で
スペインワインのバーで日付が変わるまで盛り上がっていた。

6時間睡眠をとって日曜日には観光もせず帰阪。東京滞在時間は合計17時間。
さっさと帰阪したのは、昨晩久しぶりにラブワインさんが大阪にやって来られたからだ。
緑家さんと3人で杯を重ねて、そりゃもう楽しかった。

ワインブロガー3人だからワインを飲んだかというとそうではなくて、
梅田(新地の東側の西天満)のてんまみちで日本酒を飲んだのだ。

意外なことに緑家さんもラブワインさんも日本酒に対する知識は相当なもので、
日本酒を飲みながらさまざまな形容詞が飛び交う。
凝り性の人間の興味の対象物に対する洞察能力はやはり大したものである。

かく言うわたし自身も、最近ずいぶん日本酒の比率が増えて、その分開けるワインが減っている。
自宅でも外でも食事が和食が多いというのが最大の理由だと思う。
しかし日本酒で十分満足しているかというと、決してそうではない。

まず自分の中での日本酒に対する評価基準が定まらないので、
気に入って一升瓶を買っても1〜2本飲んだところで飽きてしまう。
細かい差なのだが、日本酒のバリエーションの多さに圧倒されるし、
ワインに勝るとも劣らない入手困難さも相まって、定番にしたいお気に入りの酒が定まらない。

それを思うと、デイリーにシャンパーニュを飲んでいる方がお気楽なので、時々開けている。
「リースリングとピノ・ノワールは食事に合わない」
という見解は、緑家さんやラブワインさん3人による首脳会談の共同声明である。

料理を主にして、そこで合わせるべき酒が選ばれる。
そこでシャンパーニュである。

今回の2本は5000円以下でシャンパーニュとしては安めの値付けのもの。
片や有名で生産本数も多いNMのドラモットで、片や個人生産者のRMシャンパーニュである。
ドラモットはシャルドネ50%、ラルマンディエ・ベルニエは100%であり、
どちらも白系のシャンパーニュである。

並べて飲んだわけではないのだが、かなり個性に差があると思う。
ドラモットは生産本数が多いブランドものなので、あちこちのレストランで飲める。
多分ボトル差などわずかなもので、安定感があるのが長所だろう。
だからあまり面白いシャンパーニュではない。

温度を低めにしてやると酸がシャープになって、切れ味が良くなる。
ドザージュが少なめで、ボランジェのスペシャル・キュヴェよりわたしはこちらが好きだ。

一方のラルマンディエ・ベルニエだが、ちょっとご無沙汰していた。
ドラモットよりマイナーなだけあって個性的で、造り手の顔が見える。
箱買いして飲もうとは思わないけれど、こういうシャンパーニュを12種類まとめ買いして
1本ずつ開けていくと楽しい。

最近高価で突出したワインには興味が薄れている。
目の前で作られ、直ちに口にできる料理の方に興味が移っている。
多くのワイン好きが歩む道を自分も行っているということだと思う。

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何度も書いているが、わたしは鉄道ファンである。
最近時間が無いから出かける機会は減ったが、JR全線の98%に乗っている。

一方クルマの運転は嫌いである。
タクシーにもできるだけ乗りたくない。
先々週神戸まで講演に行ったが、当然タクシーで行くのを遠慮して、阪急電車で行った。

しかし12年前まで、マニュアルのアルファロメオに乗っていた。
それを手放した後はトヨタの大衆車WISHに乗り換えたが、
車イスを積みやすい高齢者が乗り降りしやすいことを第1条件としたためであった。

アルファを手放した後のオートマのクルマは運転していて非常に退屈であったが、
自宅と診療所の間、片道5km弱をを毎日往復するだけなので気にすることもなかった。
しかし半年もすると、1人で往復するだけなので小さいマニュアル車で十分ではと
思うようになった。

高齢の母親を乗せるのにWISHは便利であったが、なにせ前の車はアルファロメオである。
後継車が無味乾燥に思えて仕方がない。

そこでトヨタのMR-Sの6速マニュアル車を購入し、普段の通勤に使うことにした。
家内は運転しないので、1人で2台所有するという贅沢な状況になったが、
開業医なので費用は経費で落ちるかということを言い訳にして購入した。

しかし人間とは怠惰なもので、オートマ車に慣れてしまうと
MR-Sは背が低くて乗り降りがしんどい、何となくクルマがチャチである、
という理由で走行距離はちっとも伸びなかった。

何せ1日10kmしか乗らない。
ドライブに行くことも無いし、ゴルフはしないので遠出はしないし、
クルマが何台あろうが年間2000kmしか乗らないのである。
若い頃は日帰りで日本海までドライブに行って、1日600km走っていたのがウソのようだ。

MR-Sは面白いクルマではあるのだが、それはオープンカーでもあり軽やかであるという
雰囲気が勝っているからであって、何より機械としての完成度が低くて
実用品としての詰めが甘く、興味が薄れてしまった。
結局11年間で1万kmも乗らないで、昨年手放してしまった。

WISHには2台乗ったが、これはサイズが使いやすく利便性が高いクルマであった。
欠点は安すぎることで、数年乗っていると税理士さんが
「先生くらいの収入でこんなに安い車に乗っている開業医はいませんよ」
などと半ばあきれたように言う。
開業医が高いクルマに乗っているのは、節税効果を期待できる自営業者だからである。

WISHを6年も乗ったら残高30万円くらいになってしまうので、節税効果はほぼゼロだ。
一度税務署のオソロシイ人がやってきたが、
「こんなに安いクルマに乗っているんですか・・」
などと呟いていた。
「ワインを買いすぎですよ」とも言っていたが。

それを家内に言ったら、
「どうせ高いクルマを買いたいから税理士と税務署のせいにしているんでしょう」
などと言って取り合ってもらえない。

そうこうしているうち、息子が免許を取って、友人たちを乗せてWISHで
出かける機会が増えた。
息子が医者になって、仕事でも車がいるようになり、結局2年4ヶ月前に
WISHを息子に譲ってしまった。

そこで次のクルマに何を買おうか考えたのだが、税理士事務所を変更して女性担当者となり、
家内も税務相談の席に毎月同席するようになった。
彼女も同じく
「先生くらいの収入でこんなに安い車に乗っている開業医はいませんよ」と言う。
税理士から直接「残高30万円しかないので、節税効果がありません」
とも言われた。

舛添流の経済観念の持ち主である家内も、同性の税理士から言われたので眼が覚め、
もっと高いクルマを買っても良い、ということになった。

もう一度アルファロメオにしようかと思ったが、車イスが乗せやすい背の高いモデルがない。
仕事場の立体駐車場に入るクルマであることが購入の絶対条件であった。
古い設計の立体駐車場なので、国産車でも少し大きなクルマはすべてアウトである。

フェラーリもポルシェもマセラーティもジャガーも検討したが
(ネットでサイズを見てみただけ)、残念なことにすべて幅が広くて入らない。
セダンなら小さめのクラウン、ベンツのCクラスとBMWの3シリーズならようやく入る。

開業医=金持ち=ベンツ
という公式に乗ることだけはどうしても自分が許せない。
そこで駐車場に入庫可能な最大サイズのクルマとして、BMWのX1を購入した。

今から考えるとこれが大失敗で、今月に2年3ヶ月、5500km乗っただけで
購入価(諸費用含む)の40%の叩き値で売り飛ばした。

決してクルマがまるでダメだった、ということではない。
Msports仕様だったので足回りはガチガチで、ハンドルも硬くて遊びがない。
その点は気に入っていた。
足回りがグニャグニャでハンドルに遊びが多いクルマには怖くて乗れない。

BMW X1の何が最も気に入らなかったのかというと、乗り降りのしにくさに他ならない。
サイドの足元にエラが張っていて、乗降時に太ももあたりのズボンを擦る。
だからそこだけいつもキレイである。
要するにズボンの内側で拭き掃除しながら乗り降りしているのだ。

もっと許せないのが販売店の無責任さで、売ったら売りっぱなし。
購入契約後納車までに担当者の交代があったが、事前連絡なし。
用があって電話をしたら、「その者はすでに移動しておりません」という。
「車を買った者だが、担当者を出せ」
と言っても誰だか分からない。

「こんな無責任な販売店でクルマを買う気はないからキャンセルする」
とクレームをつけたところ、販売会社社長と一緒に
同じビルの内科の先生(BMWのオーナー)と同じ担当者が慌ててやって来て、
「これからちゃんとしますから、キャンセルは勘弁して下さい」と言う。

こちらも折れて、これなら安心と思って購入したら、
1年もしないうちにその担当者も退社し、また担当交代があった。
もちろん向こうから進んで挨拶になど来ない。

2年点検の時期になっても、こちらから連絡しないと電話はおろか通知の1つも来ない。
そこで前の担当者に電話したら、
「別の部署に移りました。今はMINIの担当になったのですが、先生、MINIを買いませんか」
ときた。

ポルシェ・カレラに乗る趣味人の友人は、しきりにポルシェにしろと勧めるが、
1日20分しか乗らんのに、そんな1500万円の車が買えるか!と拒否している。
お金はあるので買おうと思えばすぐにでも買えるのだが(ウソ)。

イタ車好きの自分が、ブリテッシュテイストのMINIに乗る気にはどうしてもならない。
しかしその担当者(憎めないイケメン)が、2年点検の代替車としてMINIのCLUBMANN
という最高グレードのクルマを3月に持ってきたので、4日ほど乗ってみた。
テイストはまるでBMWである。

これは確かに良い車だった。
しかし個人的趣味には合わないのである。

そうこうしていたところ、息子が新しく借りたマンションの駐車場にWISHが入らないので、
クルマを買い換えるしかない、という事情になった。
WISHは7年使っているので、BMWを譲ろうかと思ったのだが高さ制限でこれも入らない。

そこで新しい車を選ぶべく、誰の紹介もなく1ヶ月前の日曜日に、
飛び込みで販売店に行った。
まず昔なじみのアルファロメオの販売店に行って、ジュリエッタに乗ってみた。

エンジンもハンドリングも、昔の156に劣る、と思った。
マニュアル車は無いのかと聞いてみたが、何とアルファともあろうものが、
現在オートマしか売られていないのである。

その足でベンツの販売店に行ってみた。
「誰の紹介ですか」と聞かれたが、
「誰の紹介でもないがこの辺の開業医でベンツに乗っているのはみんな知り合いだ」
などといい加減なことを言って、Cクラスに試乗してみた。

これがひどく気に入って、結局販売店がいい加減なBMWを大損して売りに出し、
今月購入してしまった。

開業医=金持ち=ベンツ
という図式は避けたかったのだが、負けである。
ベンツと言っても狭い駐車場に入る小型車で、レクサスやクラウンやどデカいヴェルファイア
などと価格は変わらない。
しかし負けは負けだ。

2週間ほど乗ったが、ベンツのCクラスは製品として良く出来ている。
同じ日に乗った自分のBMWやアルファのジュリエッタとは明らかにものの出来が違う。
もう一度アルファロメオに乗ってやろうと思っていたのだが、デザイン以外に好むところがない。

車種は多くあれど、安全性を考えるともはやクルマの選択肢は非常に狭まっていると感じる。
ワインがただの飲み物になるのと同じように、
クルマが文房具になったらもう趣味人としておしまいだが、今回は降参である。

ベンツの販売店に、
「お金を払うからボディをアルファロメオにして欲しい」
と言ったが、却下された。
せめてエンブレムだけアルファのに替えて欲しいと言ったが、これも却下された。

クルマにおける敗北である。




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相も変わらず体力と向き合う日々である。
家飲みばかりだとか言いながら、今月は結構外で食事する機会があった。

今月初めには近畿大学医学部の3回生に講義に行ったあと、踵を返して大阪市内に戻り、
某メーカーの社内講演用のビデオ撮影をして、慰労会で梅田の日本酒の店に
連れて行ってもらった。

最近薬剤メーカーによる接待は皆無で、何か仕事を請け負ったあとの慰労会でしか
奢ってもらう機会は無い。
しかも予算制限があるので、最近の外食はほとんど自腹であるし、
自分が接待する側になることも多い。

医師に限ったことではないが、自腹ではなく人の金で酒を飲んでいる輩が
酒を語って説得力があるのを見たことはない。
これは本音である。

わたしが基礎医学の病理学教室で6年半を過ごした後、35歳になってから大病院に移って
臨床医として勤務することになったのだが、その際の某メーカーの担当者だったF氏が
わたしの日本酒の師匠である。

今回の仕事の後、その師匠とメーカーの学術担当者(日本酒のセミプロ)、
新婚のかわいいうちの担当者との4人で、師匠お勧めの店に連れて行ってもらった。

梅田にある単なる居酒屋風の店だが、そこの大将の酒へのこだわりがすごかった。
この酒はこうだ、いや濃すぎる、残り香が優しい、などと言いたい放題勝手に放言していたら、
次々と珍しい酒が出てきて、酒のアテも旨くて、自分で払っていないが勘定も安くて、
幸せな気分になって帰路についた。

日本酒は難しい。
ワインとどっちが難しいかよく分からないが、所詮ワインはほとんど輸入品。
地元の身内だけで消費されてしまう限定の酒は、ワインでも日本酒でも飲める機会は
ほとんどなく、凝り性の大将やソムリエが引いてくる稀少品に出会うのを期待するしかない。

この店「てんまみち」で数種飲んだ日本酒は、最近家飲みしている
獺祭の2割3分や3割9分のレベルではなく、自分が普段飲んでいる酒は何なんだ、
と家に帰ってからちょっと悲しくなった。

少量生産品で市場に出回らないレベルの高い日本酒があって、
それはほとんどの日本人には知られておらず、
日本の食に合わせる酒として、確固たる地位を保っている、ということだろう。

金沢で購入して送ってもらった希少な菊姫の黒吟の古酒も常きげんの山廃も、
わたしの好みには合わず、飲み切ってしまうのに惜しさはまったく感じなかった。
当たり前であり好みの問題だろうけれども、菊姫に代表される自分の嗜好からは
はるか遠い酒も確たる地位を確保している。
不思議で仕方がないが、ワインでも同じだ。

師匠の弟子であるからかどうか分からないが、てんまみちで飲んだ酒への感想は
共通していた。
20年前と変わらない。
ワインの経験はかなり積んできたので、師匠とわたしの日本酒に対する評価は
ある程度普遍性があるのでは、という自信がある。

世の中には不味い日本酒が多すぎる。
自分が旨いと思う日本酒には、滅多に出会わない。
ワインやシャンパーニュの方が、ずっと単純だ。

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わたしは開業医である。
今月で開業後丸15年経ったから、もはやベテラン開業医と言えると思う。

開業時に思いもよらなかったちょっと変わった仕事をしたと思えるのは、
学会総会の教育セミナーで座長をしたとか、シンポジウムの企画をしたとかだろう。
開業医らしくない仕事をしたとはいえ、時流に乗ったと言えるだけのことだ。

実際にはそれだって仕事の延長であり、わたしがいなかったら誰かが代わりに
すれば済むことだろう。

しかしワインセミナーの講師を依頼されたとなると、ちょっと自慢話になるかも知れない。
実は毎年年末、ワークステーションという会社のセミナーで、
ワインを持ち込んでテイスティングするということを数年やっている。

だから今回の話もあっさりお受けした。
主催は大阪府保険医協会で、参加者の多くは女性の医師・歯科医師で、
会場は、神戸ポートピアホテルの最上階のフレンチ、レストラン・トランテンである。

いつもは若い看護師さんを対象にテイスティングをしているが、
今回は百戦錬磨の中高年女性医師・歯科医師である。

スパークリング・ワインのブラインドテイスティングをして、
どちらが高価なシャンパーニュか当ててもらったが、
結果はいつも通りで、やっぱり意見は二分した。

持ち込んだのはチリのコノスルのスパークリング・ワインと、ドラモット、
そしてドン・ペリニヨンであったが、ドン・ペリニヨンはブラインドにせずに
オープンで提供した。

次いでチリとブルゴーニュのシャルドネとピノ・ノワールをブラインドで
当てる企画をしたが、3問とも正解したのは20人中6人であった。
つまるところ、コノスルのワインは安いけれども良く出来ているということだろう。

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