雪月花

夢雪(ゆき)と月希(つき)の物語です。

普通に書いても面白くないので文章も絵も絵本みたいにしてみました。


結構気ままに書いてますので、画風や文体が変わったりすることもあるかもしれませんがご了承ください。



第一話から読みたい方はこちらへ。

http://ameblo.jp/gres/entry-10061892685.html



Amebaでブログを始めよう!

第十三話「浮かぶ島、浮かばない島」

雪月花13


次にH12は島のようなものを映し出しました。




H12「海から島が生まれ、やがて島は空に浮かんでいくのです。」


夢雪「どうして浮かぶの?」


シス「島を構成する成分に浮かぶ鉱石が含まれているんですよ。」


夢雪「どこまでも飛んでいっちゃうの?」


シス「いや、島の大きさによって浮かぶ高さは決まっているんだよ。」




小さい島ほど高くまで上がる。


そういう島は別荘を立てたり、観光地にしたりしているようです。




夢雪「わたしたちがいるここは浮いてるの?」


シス「いや、ここは浮いていない唯一の島なんですよ。」


夢雪「大きいから?」


シス「それもあるかもしれませんが、もっと大きな問題なのですよ。」


H12「もう、島が生成されなくなったのです。」


シス「ここは最後の島なのですよ。」


夢雪「そうなんだ・・・。」




原因はわかりません。


けれど、今はもう新しい島が誕生することはありません。


最後の島だけは空を飛ぶことなく海の上に存在しています。




夢雪「ここが最後なんだ。なんかさみしいね。」


シス「そうですね。でも、終わりがある方がありがたみがあっていいと思いますよ。」


H12「実際、島を無駄に使ったり壊したりしていた時代もあったようですし。」


シス「その報いなのかもしれませんね。」




島が新しく生成されなくなったとき、人々はあわてました。


原因を探るため、多くの研究者が調査に参加しました。


ですが、結局原因はわかりませんでした。


多くのものが悲嘆にくれているなかで、平然としているものもいました。


それがラメルでした。


ラメルは言いました。




空に浮かばず、海に浮かぶ島がひとつくらいあってもいいだろう。


それに、これが最後だとわかってようやく島を大事にしようという動きがでてきた。


ここからが始まりだよ。




第十二話「命の海」


雪月花12


H12が湖を映し出しました。


紫色のようですが、水面が揺れるたびに赤く見えたり青く見えたりします。




夢雪「これはどこの湖?」


H12「これは湖ではありません。命の海と我々がよんでいるところです。」


夢雪「命の海・・・。」




話し終わらないうちに、水面の一部がはじけました。


大小様々な水滴が宙に浮かび上がり、ふわふわと浮いています。


小さい水滴はやがて落ちて、再び水面に溶け込んでいきました。


一方、大きな水滴はゆっくりと上昇して、ある高さで止まりました。




夢雪「何? これ。」


H12「これが世界の誕生です。命の海がはじけたとき、大きな命が世界となり、小さな命は再び海に還るのです。」


夢雪「えっと・・・、じゃあ、この世界って海の上に浮いているってこと?」


H12「いいえ。たとえ空を見上げても海は見えませんし、実際に浮かんでいるわけではないでしょう。これは複雑な現象を簡単に説明したものですから。」


夢雪「そっかぁ。」




そもそも、歴史を見せてくれると言っていたけれど、世界の誕生から見せてもらえるとは思っていませんでした。


夢雪は自分の世界がどうやってできたのか知りません。


始まりを考えると少し気が遠くなりました。




H12「この映像を見ていただければわかると思いますが、当然他の世界というのも存在しています。我々の世界だけが特別というわけではないのですね。」


シス「それでも、同じ色、同じ形、同じ質、そういう世界はないでしょう。そういう意味では特別ですけど。」




この世界が唯一ではないこと。


同じ世界は二つとないこと。




夢雪「よくわからないけど、すごいことなんだね。」


シス「そう、奇跡ですよ。」




数ある世界の中で、偶然二人はこの世界に来ました。


それもまた奇跡なのでしょう。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
第十三話はこちら

http://ameblo.jp/gres/entry-10075396200.html

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

第十一話「本の居住区」


雪月花11


シスにつれられて、夢雪はシスが運営する図書館にやってきました。


そこは夢雪の知っている図書館とは違うものでした。




歩く本や飛ぶ本、しゃべる本もいます。


本棚ではなく本が住む小屋が並んでいて、さながら集合住宅のようです。




シス「どうですか? みんな元気でしょう。」


夢雪「う、うん。でも、どうやって『読む』の?」


シス「夢雪は読むのが好きなのですか?」


夢雪「本は読むものでしょ?」


シス「ふむ。たしかに読むこともできますけど、あまり一般的ではありませんよ。」


夢雪「じゃあ、どうするの?」


シス「見たり聞いたりするのです。ここの本たちは内容をイメージ化してくれますから。」




文字を映しだせば『読む』こともできるようです。


ですが、映画のようにして見ることのほうが多いのです。




夢雪「わたし、この世界について知りたいの。」


シス「すると、地図か歴史の本がよさそうですね。」




シスは近くに飛んでいた歴史の本を呼び止めました。


名前は「H12」だそうです。




シス「この本は歴史の大まかな流れを含んでいるからちょうどいいでしょう。」


H12「いかがいたしましょうか?」


夢雪「おおまかな歴史が知りたいの。」


H12「では。」




本がパラパラと動き、宙に映像が映しだされました。


映像なのか現実なのかわからないくらいの光景。


空間にあいた穴から別世界をのぞいているかのような、夢雪にはそんな感じがしました。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
第十二話はこちら

http://ameblo.jp/gres/entry-10071168343.html

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


第十話「戻るためには」


雪月花10


夢雪は植物たちに水やりをするのが大好きです。

といっても、ここの植物たちは自力で動けるので水やりをしなくても自分たちで水を飲むことはできます。


水やりというのは、ただの水遊びなのです。




この日はシスとクラリーがやってきました。


シスは根っこで歩くキノコです。


クラリーは四枚の葉で空を飛ぶことができる花です。




夢雪「そういえば、わたしたちってどうやったらもとの世界に戻れるの?」


シス「さあ。でも、時期がきたら戻れますよ。」


クラリー「そうそう。いつものことだし。」


夢雪「時期って? いつものことって?」


シス「この世界でいろんな交流をとって、十分成長したときが戻る時期なんですよ。きっと。」


クラリー「だから、戻る時期は毎回違うね。」


夢雪「どれくらい成長したらいいのかな?」


クラリー「さあ、そこまではわからないよ。」




成長したら戻れる。


しかし、それだけではどうしたらいいのかよくわかりません。




夢雪「どうしたら成長できるのかな?」


シス「読書などはいかがでしょうか?」


クラリー「いや、いろんなところを冒険してみた方がいいよ。」


シス「知識も大切ですよ。」


クラリー「そんなんだから頭でっかちになるんだよ。経験の方が大事だって。」




どうやら『成長』といっても、いろんな考え方があるようです。


シスは知識、クラリーは経験が大切だと思っているようです。




シス「夢雪はどう思いますか?」


クラリー「冒険の方がいいよな?」


夢雪「えっと・・・どっちも大事なんじゃないかな。」


シス&クラリー「ん~、そうかぁ。」


夢雪「本も読みたいけど、実際に探検したりとかもしたいし。」


シス「では、本が読みたくなったらいつでも声をかけてください。活きのいいのをとりそろえていますから。」


夢雪「活きのいい・・・本?」


クラリー「探検したくなったらいつでも声かけてくれよ。近くにいい火山があるんだ。」


夢雪「火山って、危ないんじゃない?」


クラリー「中心は危ないけど、近くまでなら大丈夫。暑いときとかよく涼みに行ってるし。」


夢雪「火山で・・・涼めるの?」




まだまだ未知のものだらけ。


成長して戻るのはまだまだ先のようです。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
第十一話はこちら
http://ameblo.jp/gres/entry-10068558008.html

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




第九話「イメージとイメージの闘い」


雪月花9


夢雪と月希がペルツィにきてからというもの、いろんな生き物達が二人と遊びたがります。


異文化を持つ来訪者はかっこうの遊び相手なのです。




この日はニムタが月希とイメージバトルをして遊んでいました。


イメージバトルというのは、ある装置を使って想像したものを具現化させて闘わせる遊びのことです。


ニムタは頭だけのような姿ですが、耳を使って器用にものをつかむこともできますし、跳ねて移動することもできます。


なによりニムタは非常に想像力があり、イメージバトルではペルツィのチャンピオンなのです。


当然、この日のバトルもニムタの圧勝で終わりました。




月希「う~ん、やっぱりニムタは強いなぁ。」


ニムタ「月希は想像して形を作るところまではいいんだけど、それを維持できていないんだよ。」


月希「形をつくるだけで精一杯だよ。」


ニムタ「慣れてないからだろうね。初めてやったときはぐちゃぐちゃだったし、それを考えるとたいした進歩だよ。」




月希はイメージバトルをすぐに好きになり、時間があるとイメージの練習をしていました。


始めの頃は形をしっかり作ることさえできなかったのですが、今では形を作って動かすこともできるようになりました。




ニムタ「まだ動きが鈍いのと、堅さが足りないかな。」


月希「速く動かそうとすると形がつぶれちゃうんだよね。どうやったら堅くできるの?」


ニムタ「強く、しっかりイメージすることかな。」


月希「う~ん、ちゃんとやってるんだけどなぁ。」


ニムタ「形にこだわりすぎてるんじゃないのかな?」


月希「どういうこと?」


ニムタ「形をきれいに作ろうとすることと、強く作ろうとすることは違うんだよ。不恰好でも強いものは強い。その逆もある。」


月希「つまり、形は関係ないってこと?」


ニムタ「まったく関係ないことはないけど、堅さとは関係ないね。」




『はっきりイメージすること』と『強くイメージすること』は違う。


どうやらそういうことのようです。




ニムタ「相手のイメージに攻撃されても崩れないようにするには強くイメージしないと。」


月希「なるほど。でも、強くイメージするのって難しいよね。」


ニムタ「集中し続けないといけないからね。」




イメージバトルをやり始めて間もない月希。


まだまだニムタには勝てそうにありません。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
第十話はこちら

http://ameblo.jp/gres/entry-10066741491.html

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★