第十二話「命の海」
H12が湖を映し出しました。
紫色のようですが、水面が揺れるたびに赤く見えたり青く見えたりします。
夢雪「これはどこの湖?」
H12「これは湖ではありません。命の海と我々がよんでいるところです。」
夢雪「命の海・・・。」
話し終わらないうちに、水面の一部がはじけました。
大小様々な水滴が宙に浮かび上がり、ふわふわと浮いています。
小さい水滴はやがて落ちて、再び水面に溶け込んでいきました。
一方、大きな水滴はゆっくりと上昇して、ある高さで止まりました。
夢雪「何? これ。」
H12「これが世界の誕生です。命の海がはじけたとき、大きな命が世界となり、小さな命は再び海に還るのです。」
夢雪「えっと・・・、じゃあ、この世界って海の上に浮いているってこと?」
H12「いいえ。たとえ空を見上げても海は見えませんし、実際に浮かんでいるわけではないでしょう。これは複雑な現象を簡単に説明したものですから。」
夢雪「そっかぁ。」
そもそも、歴史を見せてくれると言っていたけれど、世界の誕生から見せてもらえるとは思っていませんでした。
夢雪は自分の世界がどうやってできたのか知りません。
始まりを考えると少し気が遠くなりました。
H12「この映像を見ていただければわかると思いますが、当然他の世界というのも存在しています。我々の世界だけが特別というわけではないのですね。」
シス「それでも、同じ色、同じ形、同じ質、そういう世界はないでしょう。そういう意味では特別ですけど。」
この世界が唯一ではないこと。
同じ世界は二つとないこと。
夢雪「よくわからないけど、すごいことなんだね。」
シス「そう、奇跡ですよ。」
数ある世界の中で、偶然二人はこの世界に来ました。
それもまた奇跡なのでしょう。
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