大谷大学の「実習生展」 | がいちのぶろぐ

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京都市内と周辺には多くの大学がある。もちろん国公立も6つの大学があるが、京都の特徴として、私立大学には宗教系の大学が多い。

 

 

(国立なら京都大学)

 

4年制大学に限っても、仏教でいえば、浄土真宗系なら西本願寺の龍谷大学や京都女子大学、東本願寺であれば大谷大学、光華女子大学といった具合だ。

 

(龍谷大学の重要文化財に指定されている校舎)

 

 その他にも臨済宗なら花園大学、浄土宗なら佛教大学、京都文教大学、京都華頂大学があり、真言宗なら種智院大学、嵯峨美術大学などがある。

 

もちろんキリスト教系なら、新島襄が設立した同志社大学、同志社女子大学や、平安女学院大学、京都ノートルダム女子大学などもある。

 

 

(同志社大学アーモスト館)

 

宗教色がない立命館大学、京都産業大学、京都精華大学、京都橘大学、京都芸術大学などもあるけれど、仏教系の大学などは何となく京都らしくて良い、という気もする。

 

(立命館大学衣笠キャンパス)

 

その浄土真宗大谷派(東本願寺)系の大谷大学の博物館で、開館20周年記念として「2023年度実習生展」が、今月23日まで行われている。

 

 

(大谷大学)

 

「実習生」と名乗るくらいだから、「博物館学芸員」の資格取得を目指す受講生が、3年間の学びの成果を発表する、という趣旨の展覧会である。

 

 

 

しかも浄土真宗系の大谷大学だから、展覧会のグループごとのテーマも「数多に広がる親鸞の物語」「荒ぶる魂の行く末-恐れ、祈り、奉る」「切に願う往生の道」という3つだ。

 

これは、なかなかにおもしろそうではないですか。ということで、今日の午前中に大谷大学まで出掛けていた。

 

 

 

「博物館学課程」の受講生25名ほどが、上に挙げたような3つのテーマの下に、主として大谷大学が所蔵している資料を使って展示と解説を行っていた。

 

「数多に広がる親鸞の物語」では、「本願寺聖人伝絵」を中心に、親鸞聖人の足跡をたどる構成になっていた。

 

 

 

「荒ぶる魂の行く末-恐れ、祈り、奉る」は、怨霊を鎮め祀ることで御霊となった菅原道真の天神信仰や、疫病退散の力を持つ牛頭天王の祇園社の祭りなどが取り上げられていた。

 

 

 

「切に願う往生の道」では、「往生」すなわち別の世界への〝生まれ変わり〟という「浄土思想」に依拠して、地獄・極楽を説いた説話集を採り上げていた。

 

 

 

それぞれに資料を読み込み、そこから導かれるテーマに沿った展開を、資料を積み重ねることで解き明かしてゆく作業を、実習の成果として問いかけていた。

 

私には、資料の古文書を読む知識もなければ、その思想的な位置付けも良くわからないけれど、ここにある展示は、きっと全くの白紙から始めた受講生たちの努力の結晶だろう。

 

それらを眺めているだけでも楽しいし、絵図・絵巻物であったり、古文書であったり、それぞれにそんな意味があったのかという具合に、解説で解き明かしていってくれる。

 

門外漢であっても、こうしてまとまった流れを見せられると、何となく納得してしまう。しかも丁寧な解説文が添えられていて、質問を受ける受講生も待っていた。

 

なんだか、凄くほっこりとした展覧会だった。昨日出掛けた細見美術館の展覧会とは、また趣が異なった、何となく手作り感にあふれた展覧会だった。