浮かぶ( 短編小説)
ぷかり、ぷかぷか。
お空にあるのはなぁに。
あれはね「くも」よ。
真っ白でふわふわしているでしょう。
くも…まっしろ…きれいで、かわいいのね、母さま。
あら、あなたの名前もそうでしょう。
なまえ?
そうよ、真白。あなたが生まれた日は雲がとてもとても綺麗だったの。
ましろとくもはいっしょ?
真白のほうがずっと可愛くて大切よ。
母さまだいすき!
うふふ。
ぷかり、ぷかぷか。
ましろと同じくも。
ぷかり、ぷかぷか。
なんだかうれしい!
END
お空にあるのはなぁに。
あれはね「くも」よ。
真っ白でふわふわしているでしょう。
くも…まっしろ…きれいで、かわいいのね、母さま。
あら、あなたの名前もそうでしょう。
なまえ?
そうよ、真白。あなたが生まれた日は雲がとてもとても綺麗だったの。
ましろとくもはいっしょ?
真白のほうがずっと可愛くて大切よ。
母さまだいすき!
うふふ。
ぷかり、ぷかぷか。
ましろと同じくも。
ぷかり、ぷかぷか。
なんだかうれしい!
END
哀(短編小説)
死んでしまった、呆気なく。
数時間前に倒れたあの人は、僕を置いて逝った。
母さん、僕はまた置いて逝かれた。また一人になったよ。
朝は元気だったのだ。
出かける僕に手を振って、元気よく笑っていたんだから。
それがどうして、どうして、何も言わないの。
どうして冷たいの。
一人にしないで。もう、あんなに寂しいのは嫌だよ。ねえ、父さん。
今、貴方は母さんと二人で居るのでしょうね。
僕は、またしばらくは一人。
また造らなくては。
さあ、墓を掘りに行こう。
終焉の無い孤独を掃うために。
END
数時間前に倒れたあの人は、僕を置いて逝った。
母さん、僕はまた置いて逝かれた。また一人になったよ。
朝は元気だったのだ。
出かける僕に手を振って、元気よく笑っていたんだから。
それがどうして、どうして、何も言わないの。
どうして冷たいの。
一人にしないで。もう、あんなに寂しいのは嫌だよ。ねえ、父さん。
今、貴方は母さんと二人で居るのでしょうね。
僕は、またしばらくは一人。
また造らなくては。
さあ、墓を掘りに行こう。
終焉の無い孤独を掃うために。
END
気をつけて(短編小説)
背後から迫りくる。その正体はナニカシラ。
好きな人形があったの。可愛い日本人形。綺麗な黒髪で、綺麗な顔。お婆様が買って下さってとても大切にしていたの。
妹は死んだ。川に落ちて。婆様が買ってくれた人形を抱いて。人形も一緒に埋葬するはずだった。確かに妹と一緒に、棺の中に入れた。…棺の中には、人形は無かったそうだ。
妹の遺体は腐乱が進み、グチャグチャになっていたから俺は見れなかったのだ。
人形が落ちていたの。とっても高そうなお人形。私は七人兄弟の末っ子。だから欲しい物なんて買ってもらえないの。
お人形は笑っていたわ。でも、全身が真っ赤に染まっていたのよ。川原に流れ着いていたのを見つけたの。
可愛いお人形。私の物よ。
娘は末っ子で…家は貧しくて何も買ってはやれなかった。あの子が人形を拾って来た時は、素直に喜びましたよ。本当に綺麗な人形でしたから。
あの子も凄く気に入った様子で毎日毎日遊んでいるんです。
ある日、あの子がママゴト遊びをしていたんです。近所に子供なんていませんから、一人で遊んでいたんです。
あの子は、誰もいない筈の場所を見つめては、盛んに話し掛けているんです。まるで、ソコに誰かが居るみたいに。
一緒に遊んでくれたの。優しいお姉さんが。
だけど…人形がいなくなった日から、お姉さんもいなくなった。
巡り巡って、たどり着きます。
私を川へ落とした人の所へ。
気をつけて、ね。
ほら、
アナタノウシロ…!!
END
好きな人形があったの。可愛い日本人形。綺麗な黒髪で、綺麗な顔。お婆様が買って下さってとても大切にしていたの。
妹は死んだ。川に落ちて。婆様が買ってくれた人形を抱いて。人形も一緒に埋葬するはずだった。確かに妹と一緒に、棺の中に入れた。…棺の中には、人形は無かったそうだ。
妹の遺体は腐乱が進み、グチャグチャになっていたから俺は見れなかったのだ。
人形が落ちていたの。とっても高そうなお人形。私は七人兄弟の末っ子。だから欲しい物なんて買ってもらえないの。
お人形は笑っていたわ。でも、全身が真っ赤に染まっていたのよ。川原に流れ着いていたのを見つけたの。
可愛いお人形。私の物よ。
娘は末っ子で…家は貧しくて何も買ってはやれなかった。あの子が人形を拾って来た時は、素直に喜びましたよ。本当に綺麗な人形でしたから。
あの子も凄く気に入った様子で毎日毎日遊んでいるんです。
ある日、あの子がママゴト遊びをしていたんです。近所に子供なんていませんから、一人で遊んでいたんです。
あの子は、誰もいない筈の場所を見つめては、盛んに話し掛けているんです。まるで、ソコに誰かが居るみたいに。
一緒に遊んでくれたの。優しいお姉さんが。
だけど…人形がいなくなった日から、お姉さんもいなくなった。
巡り巡って、たどり着きます。
私を川へ落とした人の所へ。
気をつけて、ね。
ほら、
アナタノウシロ…!!
END