読書な日々、日々。 -34ページ目
<< 前のページへ最新 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34

月光(短編小説)

月に照らされ、私は一時…





闇が支配する宵闇に、ぽっかりと浮かんだ月が一つ。
私はその夜、全く眠れずにベッドの上で寝返りばかり。
無理にでも眠らなければ明日に響く…何より身体は疲れ果てているはずなのに。


ふと、カーテンの隙間からの光が気になった。元来、私は僅かな光など気にせずに眠れるはず。だが…月光は益々強くなるばかり。
カーテンを開け放ち、私は窓辺に座り込んだ。










淡い光の下は、輝きを湛えた海だった。夜の街には誰もいない。静かに、ただ静かに、街は海へと変わっていた。

深海魚が泳ぐ、クラゲがぷかぷか浮いている。鮫や鯨、それぞれに泳ぎながらも、仰ぎ見るのは…月。
私はいつの間にか海上に降り立ち、月光の道が出来た色濃い深みへと歩んで行く。


ズブズブと…体が沈んでいく。
あぁ

私は

海に

なるのだ














夜が明け、何時もの朝が巡る。私は人へと戻る。









そしてまた、私は海になるのだ


END

優しい歌(短編小説)

貴方が消えてしまった。
僕の貴方。



僕はアルバイトをしていた。
小さな雑貨屋で。
様々な物がある中で、僕は貴方に一目惚れをした。

「綺麗…」

僕が呟いた言葉に、主人である老婦人が振り向いた。いつもは耳が遠く、何度も何度も繰り返さなければ伝わらないご婦人なのに…

「君は…その子に魅入られてしまったのね…」

"君は?"

ならば、僕より前にも何かに魅入られてしまった人がいたのだろうか。




貴方は僕の手元へと誘われた。小さな、優しい歌を奏でるオルゴール。
その中で、貴方はただ、ただ佇んでいましたね…

僕は毎日、貴方に会うためにオルゴールを開きました。奏でる歌と共に、貴方はくるくると回っていましたね。



ある日、僕は恋をした。
貴方によく似た顔立ちの、素敵な人に。
そして…貴方を忘れた。
繰る日も繰る日も僕は恋に溺れ貴方に会うことは無かった。






…そして、月日は流れ、その恋は辛い思い出だけを遺して無くなってしまった。
僕は貴方を思い出した。
辛い恋を忘れようと、オルゴールを開いた。








貴方は消えてしまった、僕を置いて。












オルゴールは奏でる。
優しく、悲しい歌を。




貴方は今、どこにいるのだろうか…



END

初ブログ。

初のブログを今日から書いてみます。
日々の徒然な読書記録や、短編小説を書こうと思います!!
頑張らねば!!
<< 前のページへ最新 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34