読書な日々、日々。 -33ページ目

クラヤミ(短編小説)

クラヤミに潜むのは、ナニ?




世は常闇の世界でございました。
私が生まれた時分には、空には陽光が降り注がれ、鳥は歌い、人々も晴れやかに暮らしていたのだと申します。
世は泰平、安らかな幸福の上に人間は存在していたのです。



私の両親、それは闇が生み、育て育んだ闇の者にございました。
私自身は闇の覇者として、この安寧の世を乱す者として産み落とされたのです。





「羅様、御心が乱れているようですが…どうなされました?」

そう、私は「羅(ら)」。
常闇の世界の覇者。産まれながらの闇の者。

「案ずるな、炎。」

心が乱れるのは…私が私の破滅を望むから。










クラヤミに抱かれた私の部屋には、小さい燭台が隠すように置かれている。
小さな焔が私の心を満たしてくれる…



「この焔が…私の身ごとクラヤミを…燃やし尽くせばよいのに、な…」







私の望み。
永遠に一人、クラヤミに抱かれて……さ迷うこと。







さぁ、また世界に闇が満ちる。私の望みとは裏腹に、世界は闇に染まって、ゆく。



END

口内炎が…

口内炎が酷くて、食事が全く取れません(>_<)
元々、そんなに量は食べないんだけど…結構ツライ。

何かいい治療法、教えて~!!

哀しい、なんて(短編小説)

哀しい、なんて嘘。

貴方の「哀しい」なんて、聞き飽きてしまったから。





俺は漂っていた。
記憶と現実の波の合間にただ浮かんでいる。
ただ、意識だけはハッキリしていた。
俺は死んだのか?だとしたら貴方は哀しんでくれるだろうか?
…ありえない、か。



思い切って上体を起こしてみようとするが、漂っているだけの体には力が入らなかった。
空には大きな空洞。空の色は真紅。

「…此処、なんか懐かしい感じがするんだよなぁ…」

優しく包まれている、不思議な感覚が俺に生まれてくる。
………兄さん?


空の空洞から、貴方…兄の声が聞こえた気がした。
いつも「哀しい、哀しい」と呟くだけの、無気力な声ではなく、必死で俺の名前を呼ぶ声。




兄さん、やっぱりその声の方が俺、好きだよ。また、唄ってくれよ、好きだよ兄さんの歌声。
ふわり、と体が浮く。
あ、俺、召されちゃうのかな。兄さんの唄が聞きたかったな。


空の空洞が伝える。
兄さんの歌声を。











明るい光に顔をしかめる。
あれ、兄さん。なんで泣きながら唄ってんの?

「…に、いさ……?」

あれ、俺の声、なんで掠れて上手く話せないの?

兄さんの手が頬に触れ、優しい歌声が涙と共に響く。



哀しい、なんて嘘。
だって貴方には「唄」があるから。


唄ってくれよ、これからも。






…とりあえず…鼻水垂らしながら唄うなよな。



涙を拭いて、兄さんの唄を聞かせて。





END