読書な日々、日々。 -6ページ目

日照り(短編小説)

憂鬱なのです。
私の家は、一年中日照りなのです。雨など、ここ数年見ていませんもの。




悲しくって泣く涙も出ないくらいに干からびているの。私の家は、真っ青な空の下、一軒だけ建っているの。世界は私の家があるだけなの。
滅んだんだもん、全部。




世界は日照り。
私は独り。



END

闇の光(短編小説)

何も見えなくて。
空を見上げても星は無く、地を見下げても明かりは無い。

私は中空にいる。空でも、地でも、海でも無い。
何処が受け入れてくれるだろうか?私の光は何処に。
闇の光の中に佇み、独り途方に暮れるしかないのだろうか。




一筋の光が差す所にも行けず、私は独りでいるのだ。





END

灯(短編小説)

点いてないと眠れないんだ。真っ暗闇は怖くて。暗闇は僕の味方じゃないもの。
暗闇は僕を隠してしまうもの。

暗闇に身を潜めていると、自分が暗闇になったような気がするんだ。おかしいでしょ。
不思議な感覚なんだ、自分の体すら見えなくて、暗闇に溶けてしまったような…そんな感覚。そういう感覚は嫌いじゃないんだ。なにもかも忘れて、ただぼんやりと暗闇に身を任せていたらいいんだから。
でも、そんな暗闇から僕を掬い上げる奴。それは兄貴。
真っ暗闇に、一筋の光を差し込んで僕を掬い上げてしまう。一人になりたい時に、僕は暗闇に逃げ込むから。



「お前の名は…光そのものなのにね。」って兄貴は笑う。
兄貴の名前は暗闇を連想させるけど。



暗闇は好き。
でも、眠る時には嫌いになる。


灯。優しく淡い光だけど、暗闇から僕を掬ってくれる。…兄貴みたい。




暗闇に身を任せて、僕はまた兄貴を待つ。
光を夢見て。



END