読んだり観たり聴いたりしたもの -133ページ目

DS/いただきストリートDS/スクウェアエニックス

定番すごろくゲームのいたストDS版である。

いたストは昔PS版のゴージャスキングで初めてプレイし、結構妻と遊んだが、DS版で通信対戦も出来るなら楽しかろうと購入した。
だが、人にはやはり好きずきがあると言う事である。義弟はどうもあまりこのゲームが好きではなかったらしく、結局1回対戦したきりとなる。
ただ、もちろん妻とは時々遊んでいるので、買って損したという事はない。

いたストは早い話、モノポリー改である。モノポリーと同じように升目に物件を建て、その収入で稼ぐ。さらに地区毎に株価が設定され、物件価値と連動して株価も上下する。この株をうまく扱うのが非常にミソで、上手くプレイすれば物権をほとんど持っていなくても、株の儲けだけで勝つ事もできる。
ただし、カルドセプトなどとは異なり、物件増資には自マスに株の購入には銀行マスへぴったり止まらないと操作できないため、可能な戦略の量と質は低下せざるを得ず、その意味では、はっきり言って運ゲーである。
もちろん株の売り買いなど細かい技術はあるが、終盤の高額出費で簡単にチャラになる訳で、基本は出目のもたらす運命を眺め楽しむゲームである。つまり逆に言えばあまり腕に左右されないため、パーティゲームとして向いている。2,3回プレイして流れを掴んだ後は、初心者でも熟練者でももう誰が勝ってもおかしくない展開が楽しめる。

DS版では、対戦キャラやマップが、ドラクエとマリオからチョイスされている。これは親しみが持てる反面、ちょっと毒が抜けてしまって味気ない気もする。ゴージャスキングのような色濃いキャラのほうがこのゲームはより楽しめると思う。
あと、メッセージスピードの仕様は謎。何故素直に、メッセージ・遅い・速い・表示しない、にせず、遅い・速い・超速い、等というアホな仕様なのか。敵キャラのセリフが鬱陶しいので超速いにしているが、読めないぐらい速く表示されるクセに、いちいちキャラと吹き出しが表示されるので、全体の経過スピードはそれほど速くないという全く無駄な結果になっている。素直に表示しないようにすべきだろう。

スクウェアエニックス
いただきストリートDS

ドラゴンボール/鳥山明

知らぬ者無き超有名漫画。

だが、恥ずかしい事に、この年になるまでまともに通して読んだ事がなかった。アニメもしかり。初めの方や途中を何回か散見したに留まっていた。もちろんこれだけの大作になれば、普通の生活をしているだけで、各所からキャラやストーリーなどいろいろ漏れ伝わってくるのでおぼろには知っているような知らないような、そんな状態。
しかし、仕事上それではまずいと言う事で、一度読んでおかないとな、と思っていたところ、先日ほぼ全巻セットを入手したので早速読んでみた。

一言で言うと、非常に面白い漫画だった。
特に初期は凄くテンポが速い。最初の神龍が出てくるまでに3巻も掛からないと言うのは驚きだった。そして後半のバトル中心になっても結構テンポ良くてダレ無かった。アニメ版で、空中で戦っているシーンだけで1話終わってしまった、などとしばしばテンポの遅さを聞いていたので、これは意外であった。

しかし、この漫画の何が面白いかと言うと、結局、キャラの魅力、という事になるのだろうか。
設定は良いが、ストーリーなどはっきり言って無きが如しである。後付付け足しのオンパレードで、死んだ人間は何度でも生き返るわ、吹き飛んだ地球は復活するわ、どんどんキャラ達の強さはインフレするわで、かなりのヨタヨタの展開である。テーマだって、はっきり言って何もない。でも、それでも面白くて読んでしまうんだから漫画というのはストーリーじゃなくて、絵なんだなあとひしひしと実感する。

印象に残っているシーンは、人造人間が現れる時に、チチが悟空に「結婚してから一銭だって稼いだ事があっただか?」という場面。ミスターサタンがブウと子犬が仲良くしている時に爆破できなかった場面。そしてラストのウーブと武闘会すっぽかして修行に行ってしまう場面。結局この辺の印象がテーマなのかな、という気がしないでもない。

とりあえず全巻読破したので、コミックス版のキャラは全て分かるようになった。

鳥山明
ドラゴンボール

シェーキーズ/ホリデーバイキング/ピザ

先週末に妻と心斎橋を歩いていたらホリデーバイキングを見かけたので入ってみた。
1ドリンク付で990円。

ピザはクリスピータイプで薄いので沢山食べられて嬉しい。いろいろ種類があって、どれもおいしい。
スパも割合おいしいかも。バジリコをかなり食べました。
オリジナルカレーと銘打ってあったが、インゲンとパプリカ入りは確かに珍しいかも。タンパク質は見あたりませんでしたが…。
輪切りのフライドポテトがおいしくて、特に妻が気に入ったみたい。ただし、これは食べるとあっという間にお腹がふくれる危険な食材ではある。

と言う訳でしこたま食べた訳だが、ドリンク付いてこれならかなり安いのでは。
ぜひまた行きたい。

聖☆おにいさん/中村光

妻が1,2巻をゲットして、何の前知識も期待もなく読んだらしいが、かなりはまった様子。
で、つられて読んでみた。

この作品自体は、新聞などでよく紹介されていたので面白いらしいとは知っていた。全く読んだ事がなかったが、ギャグマンガとしては結構面白いと思う。
宗教ギャグに斬り込んだ点は評価できるし、質も高いと思うが、いかんせんネタが特殊なため完全に人を選ぶ漫画だと思う。雰囲気としては吉田戦車や相原コージをどことなく彷彿とさせる感じがした。特に吉田戦車はネタ的にも雰囲気的にも絵的にもかなり通じるところがあると思う。

肝心の宗教ネタはキリスト系も仏系も、常識レベルで分かるものもあれば、ちょっとよく分からないネタも結構ある。よほどの教養人か宗教マニアでないとコンプリートとは行かないだろうが、分からないギャグをやっているところが面白い、と言う構造も当然あるので、分かる範囲は存分に、分からない範囲は雰囲気で自然に楽しめばそれで良いと思う。

この作品の存在意義とチャレンジを認めた上で、敢えて言うなら、誰しも思うだろうが、イスラムがないのは片手落ちだろうと言う事だ。
もちろん、ムハンマドが彼らおにいさんに加わった場合には、雰囲気も展開も全く、それこそ天と地ほど異なった物になってしまうだろう事も、誰しも想像に難くない訳だが、それでも三大宗教の一翼が丸ごと無視されているのは構造として不安定で落ち着かない印象だし、何か幽霊でも見たような、そこはかとない気味悪さを禁じ得ない。
けれど、本当にイスラムを入れてしまったらそもそも作者の身の安全も問題だし結果的に作品も破綻する可能性が強く、むろん常識的判断だったと思うし商業的にも創作的にも当然の決断だろう。ただ、いくら優等生的な英断だとはいえ、ある種の「逃げ」みたいな感覚を、作者も読者も心の奥底にずっと隠し続けなければいけない、そんな背徳的な共通認識を消す事ができない訳だ。
そして実は、このシンパシーが見えない構造として、おにいさん世界のギャグ構造を支える屋台骨の、軽くはない重量の幾分かを支えているのではないかと思う。こうした空気を読ませるような暗黙の設定の張り方は非常に現代的でありまた日本的であると思う。

そもそもこの漫画においては、宗教的事象という最も空気読みを要求されるはずであるものについてのギャグ自体が、ある意味空気読みの変奏モチーフの集合体で構成されているようだ。おにいさんには、オリジナル要素を破壊するようなタイプのギャグはほとんど無く、オリジナルのコピーの変奏に対する評価、という形のギャグがほとんどであるように思われる。対象が対象だけに、非常に無難で工夫された手法だと思うし、このある種空気読みギャグのオンパレードが、この作品の非常に現代的な雰囲気を醸し出している原因だと思われる。

実際、東京の立川に月26万の生活費でささやかに暮らすブッダとイエスだが、彼らは聖人であるにもかかわらず、なぜか現代の草食系男子にしか見えない。他の人間と濃厚な関係を築く事は避け、かといって傍若無人では無くむしろ過度に空気を読み合い、ネットなどの表層的なつながり感を重視し、自身の欲望に忠実で、かといって妙に現実的で過大な夢は抱かず、安定志向で、苦労や傷心を出来るだけ避けようとする、そんな現代の草食系男子のようなキャラ設定の聖人なのである。

草食系男子が宗教ネタで空気読みギャグ。これが聖☆おにいさんの基本的なベースであって、この3要素に対する好みの有無で、漫画への評価も変わってくるだろう。草食系男子と空気読みギャグは非常に現代的要素であるし、ここにインパクトの強い宗教ネタが加わることで、高い人気を生み出しているものと思われる。
最も目に付き強調される宗教ネタは実はスパイスであって、極端に言えば宗教ネタをカットしても、他の2要素だけで、十分にこの漫画は維持できうるのではないかと考えている。逆に、それだけがっちりとしたベースがあるために、のびのびと宗教ネタを展開する事ができるのだと思う。


中村光
聖☆おにいさん

サはサイエンスのサ/鹿野司/とり・みき

もちろんとり・みきのカバーにつられて借りた訳だが、これが当たりだった。

SFマガジンに15年連載している科学エッセイをまとめた物らしい。そう序で読んで思ったのは、そうか、もうSFマガジンを15年も読んでないんだなあ、と言う事だった。個人的に妙に感傷。

著者の特徴らしい、軽いタッチの会話調の文体で、結構高度なトピックスをすいすい読ませるのは凄いと思った。
実際かなり面白い本なのでお奨めである。科学という枠からあちこちかなり飛び出すダイナミックで縦横無尽なネタ振りが地味に凄くて感嘆した。
知識の観点からも知恵の観点からも、かなりぽろぽろ目から鱗が落ちるので楽しい本だった。


鹿野司/とり・みき
サはサイエンスのサ

低カロリーバイキング 悦 ETSU

以前から多少気になっていたので、物は試しと行ってみた。

味は低価格バイキングのしかも低カロリー食と考えればまあまあであろうか。味にうるさいと言われるような御仁でなければ普通においしく食べられるだろう。
しかし、そこは低カロリー食。いろんな工夫が凝らしてあるはず。
まず直ぐ気づくのは、ご飯。蒟蒻米などの低カロリー代用米が加えられている感じ。そのため粒がもろい食感。鶏ご飯や握り飯は割とおいしいが、握りは成形のためかかなりシャリが圧縮されており若干キビシイ。
次に煮込みハンバーグを食べてみたが、これはおいしい。おからなどを練り込んである様な食感。
唐揚げはカロリーの低いムネだろうと思っていたらモモで驚いた。揚げ物でモモで低カロリーとは無理があろう。断面を見るに何らかのモモ肉風加工肉ではないだろうかという気配。味はまあまあ。
デザート系はかなりおいしかった。これらはバターを抜いて人工甘味料を使ったらかなりカロリーカットを稼げそうだ。寒天もボリュームを稼げそう。イチゴのショートケーキもスポンジがあっさりな感じで、普通においしい。アイスは、乳脂肪分をカットして、シャーベットに増粘材を入れたという感じだったが、あっさりしてるな、ぐらいで普通に食べられるだろう。

と言う事で満喫した訳だが、罠もある。カロリーが低いと思って食べ過ぎてしまうと意味がない点と、蒟蒻や寒天を多用しているので食後の膨満感が凄い点。とくにバイキングではいつも腹十二分目ぐらいまで頑張る、と言う人は、かなり辛い目に遭うと思うので、腹十分目ぐらいにしておくのが吉だろう。
さらに、もしも特定の人工甘味料や低カロリー油が使用されていた場合には、摂取過多により消化不良をおこす恐れもあるので、本当に食べすぎには気を付けた方がよい。

ただ、別にどうしても低カロリー食を食べなくてはいけない訳ではないので、多分もう行く事は無いかと思う。
毎日食べる訳でもないし、カロリーがたんまりあってもかまわないので、普通の食材の普通のバイキングで十分であるからだ。

Wii/SDガンダム スカッドハンマーズ/バンダイ

今にして思えば、Wiiロンチで面白いゲームが出てたんだなあ。しかもバンダイからとは奇跡のよう。
もちろん評判は聞いていていつかプレイしようと思っていたのだが、ようやくプレイが叶った。
ガンダムを全く知らなくてもプレイに支障はないが、このゲーム全体が初代ガンダムのパロディで満載なので、ガンダムを知っていればより楽しめる。劇場版で十分なのでアニメを見てからプレイするのをお奨め。
通しプレイならどちらかというとボリュームも少なめかと思うのだが、プレイ時間は案外多い。それは各ミッションが結構長めで、しかも失敗リトライが結構発生するからだ。

ゲーム内容を一言で言うと、これこそが本家ガンダム無双。雲霞の如く湧き出でるジオンのMSやMA、果ては巨大な戦艦を、ただ一機のガンダムがハンマーを振り回して粉砕する、まさに一機当千の戦国絵図である。
最初、ハンマーの振り分け操作やZダッシュなど若干練習が必要だが、慣れてしまうと非常に快適にハンマーを振り回して撃破でき、とても爽快である。ただし気分は爽快でも、肉体的にはかなり加熱を伴い発汗や筋肉の疲労は避けがたい所があるので注意されたい。リモコンを振る威力=ハンマーの威力なので、力任せに振る事がゲーム攻略上必須なのである。
システム的には、複数のフィールドで構成されたミッションを、各フィールドのクリア条件、例えば、ゴールポイントへ行け!やホワイトベースを守れ!敵を殲滅しろ!などを達成してクリアし、最後のゴールポイントから脱出すればミッションクリアである。ミッションはストーリーの進行と同期して、ルナツーから大気圏突入、地上、ジャブローそしてまた宇宙と順に追加されるので好きなミッションを選んで攻略する。ハンマーやシールド、強化パーツなどは戦闘中にドロップされるので、拾って生きて戻れれば取得できる。またホワイトベースも部品を回収して建造しながらミッションを進める点が特徴で、完成度が上がるたびに貯蔵相手無数などが増える。普通にプレイするとホワイトベースが完成するのはクリア直前だ。

このゲームを面白くしているシステムとしては、武器のハンマーやシールドは、死んだらロストする、と言う点だ。
折角強力な武器を携えて出撃しても、死んだら失われてしまう。これでは怖くて使えない。そこで登場するのが、親父の解析だ。親父にハンマーなどアイテムを解析してもらい、解析に成功したアイテムは死んでもロストしなくなるのだ。その代わり、解析自体に失敗するとその時点で即座にロストする。成功確率は各アイテムごとに5%で、一つ解析するごとに、そのアイテムの解析成功率が上がっていく。アイテムにはボーナスポイントを持つものがあって、攻撃力+20などといったハンマーを拾う事があるのだが、使いたいがロストが怖い。ロストが怖いので解析したいが失敗も怖い。でも倉庫はもう一杯だ。なのでとりあえずプラス値の低い奴を沢山解析してから勝負しよう、そのためにアイテム回収用にミッションをこなそう、などと言うプレイになる訳だ。

ただし、非常に残念な事に、こうして集めて鍛えたアイテムが、クリア後には全く使い道がないのである。これは本当片手落ちだと思う。クリア後にはお気軽ハンマーという、お気軽ミッションが多数出るのだが、このミッションには、手持ちアイテムは持ち込めず、既定の初期装備でしか遊べないのだ。もちろん、これらのお気軽ミッションの内容的には仕方ないのだが、鍛えた装備も使いどころを作って欲しかったものである。


バンダイ
SDガンダム スカッドハンマーズ

フルーツバスケット/高屋奈月

面白いお奨め漫画との評判をネットで調べた妻が1年ほど前からこつこつ借りて読んでいた。面白いよと薦められたが、うっかり1巻を読みのがしてしまったので、まあいいかと読まずにいた。妻がこつこつ1年かかって全23巻を読み終わった、そんなベストタイミングで、全巻セットをふらっと入手したのでお盆休みに読み出したら、本当に面白くて、3日徹夜してすぐに読んでしまった。
その後約3週間掛けて1日1巻ずつゆっくりと読み直し、現在ではついに3周目に突入している状態。

一体何がそんなに面白いのか。それは、著者本人もスルメのような作品になって欲しいと書いているように、一見地味だが、じわじわと溢れてくる滋味のような作品独特の雰囲気があり、これに浸りたいが為に読む、という感じだ。

絵は結構上手いと思うが超ハイセンスという訳ではないし、ストーリーも良くできているが度肝を抜くようなロジックとか複線とかストーリー展開とか全く先が読めない最後のページをめくるまで油断が出来ないという訳では全然無いし、胸を打つ感動的なシーンも多いがほろっとはするものの涙でページが読めないよという程ではないし、魅力的なキャラも揃っているがキャラで買わせるほどにぐいぐい押してくる訳でもないし、ギャグやコメディもかなり面白いがそこを追求している作品でもないし、とはっきり言って飛び抜けた特徴はない。

が、この作品の凄いところは、それらのバランス感覚ではないだろうか。

レストランでの外食は確かに旨いが、大概味が濃すぎて胃がもたれるし毎日毎食はとうてい食べられるものではない。しかし、我が家の食事は味もなじんでおり安心して毎日食べる事が出来る。
著者もやろうと思えばストーリーだってもっと振り幅を出せそうだし、最近の流行のようにキャラエピソードを後から後からやたらぐいぐいねじ込む事も簡単だ。でもやらない。全体のバランスを見て、最適の配置になるように凄く上手くバランスを取っていると感じるのだ。要素ごとの突出を押さえて作品全体の質をバランス良く守っているから独特の雰囲気が壊れないし、だからストーリーも展開も結末も百も承知でも何度でも読みたい気分にさせる、そんな感じがする。

いろいろ細かいところを見ていこう。

まず絵である。
8年の長きに渡る連載のため、よくあるように初期と後期ではかなりタッチが異なる。平たく言えば上達した・こなれてきたと言う事であるが、初期のソリッドな平たい感じから中期のふんわりした丸い感じを経て、後期はふんわりした平たい感じへ移行するが、その中期からやや後期より辺りが最も味があるように思う。最後期はパッと見での絵のうまさとバランス・センスは当然ピカ一だが、描き込まれた味が薄い。途中腱鞘炎で利き手の左手を手術したとの事らしいのでその影響もあるだろう。
特徴としては、キャラの描写が顔・胸像だけではなく、半身・全身を描き込む場合がかなり多いように思う。そのためボディランゲージのように、心情が表情とセリフだけではなく体全体を使って表現されている事が多く、その分セリフや表情のパンチは押さえ気味でもより深い表現に達しているのではないかと思う。特に、やや大きめに描かれる手足や、髪、そして小物などによる表現はかなり効果を発揮していると思う。パースやポーズも十分にメリハリがあり見飽きない。
また、人物のディディールはかなり凝っている。描画的にも、まず衣装に対する拘りがかなり見て取れる。その他、アクセサリや髪型、持ち物など、その表現内容の意味と時間的な変化も深く設定されているようで、見返すたびにいろいろと発見がある。
例えば、透は基本的に貧乏であるので服が安物である事が分かるとか、由希にもらった髪留めをどう日常のローテーションに組み込んでいつ使用しているかとか、由希の服装の好みがどう変わっていくかとか、はとりの髪型の変化とか、各キャラのお気に入りバッグとか、非常に繊細に描かれていると思う。
言動や性格的な設定もかなり精緻に作られており、セリフにきちんと背景の重量感がある。セリフやアクションなどキャラの言動も、実に自然に描かれながら、その裏でワンパターンな表現を打ち破ろうとする意図が感じられ、実際にかなりオリジナリティのある展開やシーンの描写に成功していると思う。
その分、背景や風景にはあまり重点を置いていないようで、かなりあっさりとした描写である。しかし簡素な背景描写はむしろこの作品では雰囲気にプラスに働いているようだ。作品世界の空間的配置的な設定はあまり詳細なものは無いだろうと思われる。多分簡単な間取りを決めている程度ではないか。
コマ割などは一般的だと思う。ただし、著者が左利きのためか、連続する複数の吹き出しが左上から右下に向かって流れる、という表現が好きなようで、これには慣れるまでは読みづらくて違和感があった。フラッシュバックの過去コマのぼかしコピーもやや多用のきらいがあり若干気になる感じではある。
コマに書かれていないキャラの吹き出しに、そのキャラを特徴づける小さなシンボルが書かれているのが特徴的だが、非常に上手く機能していて面白いと思う。

次にストーリーと展開について。
十二支の呪いを軸に、学園物・家族物・そしてラブストーリーと綺麗にまとめている。当初もう少し伝奇オカルト系の展開を予想したが、良い意味で裏切ってくれたと思う。展開も、ラスト前にはもう一波乱二波乱と考え勝ちだが、気負わず素直に丁寧にラストを描いており、非常に好印象である。特に21巻ぐらいから最終巻の23巻まではずっと最終話が続いているかのようなほどよい緊張感と高揚感が続き、何度読んでも引き込まれてしまう。
多用されるフラッシュバックによる謎のシーン謎の人物がだんだん分かってくる展開もかなり印象深く、上手く表現されているのではないだろうか。
またそれと相反するようだが、物語の時間軸の連続性にはかなり拘りがあるようで、過去のエピソードを突然一話だけ描いて終わり、と言うような乱暴な事は決してしない。フルバでは過去のエピソードはほぼ全て、現在の時間軸上のキャラの回想を起点として発生し、そしてきちんと必ず現在の時間軸まで戻ってきて終了する。このため、作中の視点での時間発展を読者もきちんと実感できるようになり、ひいては各キャラの変化に対しても十分な納得感が生まれる。この大切に丁寧に描かれた回想の共有経験という表現は、初見で観た時にはとても印象深く非常に感心した。
しかも、最近よく見るような無駄に後出しエピソードを挿入してばかりでぶくぶくと肥大化していく作品に比べ、語るべきを語り語らずを守る、という点をきちんと意識して構成されているので、非常にテンポ良くストーリーが進むのに、必要十分でほぼ不足感がない印象である。
一方で、メインストーリーが進むコマの背景では、かなりの量のメインとは全く関係のない細かな伏線や細かな設定が描かれ、そしてそれらが細かく展開していくのを観るのは非常に楽しい。本筋のコメディに対し、背景ではかなりギャグがちりばめられているのもフルバの特徴だと思う。しかも、そのどちらもが良質でオリジナリティ溢れかつ上品である。
透視点で十二支・草摩家の謎に係わりつつ学園生活を送る話が木の幹だとすれば、各キャラごとに多数の枝が伸びてそれぞれに絡み合っている訳だが、途中から由希の視点で透や他の十二支とはほぼ隔離された彼自身の交友関係を築いていく非常に太い枝が生まれ、メインの幹に絶妙の距離を置いて併走する。この距離感が非常に重要で、フルバの物語の幅をかなり拡げる事に成功していると思う。実際、この分離された視点によって、由希は後半第二の主人公とも言える重要なポジションを担っている。

次にテーマなどについて。
フルバを読み通して、その内容について嘘っぽさを感じずキャラに親近感を覚えるのは、ベースの十二支についての風呂敷を拡げすぎなかったからだと思う。
つまり、読者をストーリーに惹き付ける為の十二支の呪い設定ではあるが、それはよくよく考えると、案外大したことがないのである。変身はちょっと置いておくとして、各十二支が呪いと表現し恐れている強大な慊人の力であるが、それは強大な念力でもなく生死をも操る妖術でもなく、ただ単に、慊人の言動に逆らおうとすると強烈な嫌悪感を覚えてしまう、という催眠術レベルの制限に過ぎないのだ。当人にとっては抗えない枷である事はもちろんである。しかし、端から見ると、慊人の強制力は、幼子に対する親の強制力と大差ない物でしかない。よって、慊人と言うのは子供にとっての親権力の象徴であり、フルバというのは二重の意味での主人公達子供の成長物語であるのだと思われる。その意味で、同じ関係を指して絆とも呪いとも呼ばれている事は印象深いし、主役級キャラの両親達が身近に存在しない状態と言うのも、象徴としてのこの親の支配を浮き立たせる為には必要な設定だったと思われる。そしてもちろん、この現実の親との対決という点も、第二の主人公である由希の成長を通して十分に語られている訳である。
このように成長して親の干渉から独立する、という非常に普遍的なテーマがベースであるために、フルバは身近なお話として感じられるのではないだろうか。上でも書いた通り、無理してこれをオカルトまで持っていってしまうと、この危うい親近感のバランスが崩れてしまっただろう。
また、慊人が支配する親権の象徴ならば、透は逆に守り慈しみ育む親の愛の象徴なのだろう。このバランスも最後まで貫き通して、由希は透への愛情を募らせていくが、決して異性愛と混同したり恋愛に転じさせることなく(本人は迷うが)、最後まで母性への愛として厳密に区別して描き通した点は称賛に値すると思う。
一方で、では、そうして誰にでも母性の愛を注ぐ透自身の恋愛をどう描くか、という点についても出色である。まず透は、母性愛と異性愛をはっきりと自覚を持って対決させ、異性愛を選択するという決意を描いている。これは透の母親の今日子もかつて行った選択であり、今日子のその選択は、幼児だった透を打ちのめし深く暗い傷を負わせたはずである。にもかかわらず自身もその選択を行う事で、母親への愛憎の理解、そして決意の強さを描いて余すところがない。そして応じる夾はと言うと、その決意のこもった透の愛情を一旦完全に全否定する。それは透のもつ母性への無意識の依存に対する決別であり、その後の夾の努力などを合わせ非常にインパクトのある展開として通過儀礼を描いている。

かなり大勢のしかもバラエティ豊かなキャラが登場する本作であるが、どのキャラもしっかりと骨格が作ってあるので、その気になればどのキャラからでもメインを張れる多様なテーマを汲み取れるほどである。
その中でも特に印象深いのは、やはり由希の成長譚と紫呉の純愛等であろうか。特に由希はかなり成長するので見守ってきて報われた感が強いと思う。

物語全体が十分な親近感と共有感そしてリアリティを持っている一方で、フルバにはギラギラギスギスした所が無く、まるで御伽草子のようなオブラートが掛かったような印象も受ける。
これは作者が努めて時代性を排除しているからだろう。星新一ほど極端ではないが、物語から特定の場所や時間に囚われるような情報を出来るだけ排除しているような作為を感じさせる。くっきりとした時代性による魅力を捨てても勝ち得た普遍性によって、フルバは5年後、10年後に読んでも、きっと「古さ」を感じる事は無いと思う。また、この普遍性の強さは、フルバが世界各国で人気を博している秘密の一端で間違いないと思われる。

いろいろぐだぐだと書いてきたが、一言で言うと、だらだらと読むのに最適な今年一番面白かった漫画であり、多分マイベスト漫画十傑の一翼を長年担うだろう事は間違いない、と言う事である。


高屋奈月
フルーツバスケット

SFC/エリア88/カプコン

メッセージボードにも書いたように、最近エリア88を読んでいる。妻がお奨めコミックスで調べて借りてきたのだ。
自分もしっかりと最初から読むのは初めてかも知れない。今のところ二人とも気に入って読んでいる。

で、そんな関係で、表題のゲームを引っ張り出してきた訳だ。
本当はVCでお手軽にやろうと思ったのだが、なぜかまだ出ていなかったので、やむなく手持ちのコレクションから探して実機でプレイ。

大学生以来なので、15年ぶりぐらいで非常に懐かしい。
割と難易度が高く、かつコンティニューが有限なので、当時も確かクリアは出来ていない筈だが、腕が鈍った今では、さらに醜態をさらしてしまった。
ちょっと悔しかったので、もう少しプレイを続けてクリアを目指してみようかとも思う。
ただ、他のゲームの誘惑も多いのでなかなか難しいかも。

ゲーム自体は成長要素のある横シューで、ミッション形式で短めのステージを選択クリアしていくタイプ。
良くできており、今遊んでも十分面白い。
ただし、連射パッドは必須であるが。

俺の心臓はビス止めなんだよ!


カプコン
エリア88

Wii/Wii Party/任天堂

接待用にあって損はないし安いし結構面白そうだしマリパのチームが作っているらしいし、と言う事で予約して購入した。
妻と二人でちょこちょこと遊んでいる。
確かに、めちゃめちゃ面白い!という程でもないが、つまらないと言う事もない。そこそこ楽しい。
しかし、やはり3人以上で対戦、という状況が一番盛り上がるのだろうと思う。義弟などと一緒にやってみたい。

で、そんな感じでゆっくりやっていたので、まだ全てのメニューをやっていないし、アンロックされていない物も多数ある状態だ。先日ふと一人でそんなメニューを見ていたら、一人用ゲームをやっていない事に気づいてやってみたが、その中の「花さかロジック」がかなり面白かった。

簡単に説明すると、アイテムを拾ってゴールまで行くチクタクバンバンだ。ギミック満載のボード上に、直進しかできないMiiのゼンマイ人形を配置し、ギミックを利用して上手くコースを進ませ、盤上のじょうろを拾って、鉢植えまで移動して水を掛けたらOK。プレーヤーに出来るのはMiiの初期配置を決める事だけ。チクタクバンバンとは違って、動き出したらもう盤には干渉できない。盤上には複数のじょうろと鉢植えがあるが、一つのMiiが拾えるじょうろは一つ、また一つの鉢植えに到達してしまったらそこでストップだ。ギミック操作のスイッチを押したMiiもそこで止まってしまう。直進し続けて盤から落ちてしまうとアウトだ。

自分の計算通りに複数のMiiが複雑に動き回ってクリアできるとかなり爽快感がある。全30面はボリュームとしてはそれほど多くない。難易度も最終面をのぞいては割と簡単だ。妻などは開始から三十分もしない内に最終面付近までクリアしてしまったほど。解けたら次解けたら次と病み付きになる。

これはぜひ、WiiWareなどで大ボリュームに構成し直して販売して欲しい。極端に広い面や、Mii10体などの難面も非常に面白そうだしやってみたい。

任天堂
Wii Party