詩「猿になりたくない、人間」
車が列をなしていた。
前方で、二つの併走する列が一つになっている。
みんな礼儀正しく、交互に譲り合い、一つの列になっていった。
俺の番が近づくと、すぐ前の車が、不穏な空気に包まれた。
前の車にぴったりと張りつき、ネズミ一匹割り込ませないつもりらしい。
はじき出された車は俺の前に入るしかなかった。
俺は二台続けて入れてやった。
世の中は、悪意をむき出しにした、猿で埋め尽くされているのか。
駅。
車道。
職場。
下手をすると、家庭まで。
まあ、イラつかないことだ。
猿は猿同士、バナナを取りあったり、喚きあったりすればいい。
天使は本当にいるのかい?
いるかもね。
優しい気持ちになれた時。
俺は何故か、泣きたくなった。
前方で、二つの併走する列が一つになっている。
みんな礼儀正しく、交互に譲り合い、一つの列になっていった。
俺の番が近づくと、すぐ前の車が、不穏な空気に包まれた。
前の車にぴったりと張りつき、ネズミ一匹割り込ませないつもりらしい。
はじき出された車は俺の前に入るしかなかった。
俺は二台続けて入れてやった。
世の中は、悪意をむき出しにした、猿で埋め尽くされているのか。
駅。
車道。
職場。
下手をすると、家庭まで。
まあ、イラつかないことだ。
猿は猿同士、バナナを取りあったり、喚きあったりすればいい。
天使は本当にいるのかい?
いるかもね。
優しい気持ちになれた時。
俺は何故か、泣きたくなった。
目を大切に
テレビも、ネットもない生活。
通勤時のカーラジオ以外、世の中を知る術は無かった。
娯楽は読書のみ。
俺は休日に、図書館で五冊本を借りた。
昼の休憩中に読むために。
クルマの中に、何ヶ月も放りっぱなしだったステンレス製の安物のボトルに、インスタントコーヒーを、今朝、入れてきた。
パッキンがイカれていて、傾けると漏れてしまう。
コンビニ袋を二重にし、そいつをぶち込んだ。
昼休み。
本を膝の上に広げ、コーヒーを一杯。
思わず吐き出しそうになった。
変な匂いがした。
それでも、飲むしかなかった。
カードで買い物をしていると、妙な気分になってくる。
昼飯。
酒。
本。
なんだって買えてしまう。
一銭も持っていないというのに。
カード買いは、控えた方がよさそうだ。
今度こそ、顔面にコップを投げつけられることになるだろう。
昼飯に、五百円も使っていいのだろうかと、考えてる俺は馬鹿か?
五百円の為に、失明してはたまったもんじゃない。
馬鹿げているが、俺は恐怖心から、カードを遣うことを躊躇っていた。
昼飯は、無し。
マイボトルのコーヒーのみ。
まあ、いいか。
どうせ、もう少しの辛抱なんだしね。
それから……。
一ページも本を読み進まないうちに、俺は眠りに落ちていた。
通勤時のカーラジオ以外、世の中を知る術は無かった。
娯楽は読書のみ。
俺は休日に、図書館で五冊本を借りた。
昼の休憩中に読むために。
クルマの中に、何ヶ月も放りっぱなしだったステンレス製の安物のボトルに、インスタントコーヒーを、今朝、入れてきた。
パッキンがイカれていて、傾けると漏れてしまう。
コンビニ袋を二重にし、そいつをぶち込んだ。
昼休み。
本を膝の上に広げ、コーヒーを一杯。
思わず吐き出しそうになった。
変な匂いがした。
それでも、飲むしかなかった。
カードで買い物をしていると、妙な気分になってくる。
昼飯。
酒。
本。
なんだって買えてしまう。
一銭も持っていないというのに。
カード買いは、控えた方がよさそうだ。
今度こそ、顔面にコップを投げつけられることになるだろう。
昼飯に、五百円も使っていいのだろうかと、考えてる俺は馬鹿か?
五百円の為に、失明してはたまったもんじゃない。
馬鹿げているが、俺は恐怖心から、カードを遣うことを躊躇っていた。
昼飯は、無し。
マイボトルのコーヒーのみ。
まあ、いいか。
どうせ、もう少しの辛抱なんだしね。
それから……。
一ページも本を読み進まないうちに、俺は眠りに落ちていた。
くそったれ!今すぐ押してやる!
前回の、続き。
できる限り図書館で時間を潰し、俺は帰宅した。
それから、キッチンに突っ立ったまま、失望の溜め息をついた。
炊飯器の釜が綺麗に洗われている。
飯がない、という事は明白だった。
休日は自分で飯を炊け!
この状況から、そんなメッセージを俺は受け取った。
だからといって、飯を炊こうとは思わなかった。
冷凍室を漁ると、ラップに包まれた一握りの飯が出てきた。
俺はその塊を電子レンジへ放り込み、適当にあるものをまぶして食った。
翌朝。
いつものように、俺の娘の母親がわめきたてた。
「自分のご飯だけ作って!そんなあんたに何で私がご飯なんか作ってあげなくっちゃならないわけ!大きな溜め息なんかついて!」
「……」
「あんたと結婚する以前は、お料理好きだったのに、今は嫌いになってしまったわ!」
「……」
「試験が終わったら、黙って判子押しなさいよね!」
今ここで押してやる。
喉元まで出かかった言葉を、俺は飲み込んだ。
ぼんやりと、天井を見つめた。
突然、昨日読んだある一節が、鮮明に蘇り、脳裏にこだました。
~労働とは、AがBのために財産を獲得してやる方法のひとつ~
俺は思わずニヤリとし、それから目を閉じた。
できる限り図書館で時間を潰し、俺は帰宅した。
それから、キッチンに突っ立ったまま、失望の溜め息をついた。
炊飯器の釜が綺麗に洗われている。
飯がない、という事は明白だった。
休日は自分で飯を炊け!
この状況から、そんなメッセージを俺は受け取った。
だからといって、飯を炊こうとは思わなかった。
冷凍室を漁ると、ラップに包まれた一握りの飯が出てきた。
俺はその塊を電子レンジへ放り込み、適当にあるものをまぶして食った。
翌朝。
いつものように、俺の娘の母親がわめきたてた。
「自分のご飯だけ作って!そんなあんたに何で私がご飯なんか作ってあげなくっちゃならないわけ!大きな溜め息なんかついて!」
「……」
「あんたと結婚する以前は、お料理好きだったのに、今は嫌いになってしまったわ!」
「……」
「試験が終わったら、黙って判子押しなさいよね!」
今ここで押してやる。
喉元まで出かかった言葉を、俺は飲み込んだ。
ぼんやりと、天井を見つめた。
突然、昨日読んだある一節が、鮮明に蘇り、脳裏にこだました。
~労働とは、AがBのために財産を獲得してやる方法のひとつ~
俺は思わずニヤリとし、それから目を閉じた。