日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -138ページ目

ようこそ監獄へ~囚人Aからの手記

2009年×月×日。


俺は目を覚ました。


仕事もバイトも休みだった。


何時間眠ったのか。


多量の睡眠のおかげか、うれしいことに、頭痛が大分やわらいでいた。




居間のほうから、微かな人の気配を感じた。


俺の娘の母親だった。


昨晩も、休み前の晩だと言うのに、モデムの前に陣取り深夜まで一歩たりとも動かなかった。


俺のネットINはかなわなかった。



天井を見つめていると、いろいろな雑用が、頭の中を支配してゆく。




溜まった洗濯物。


散らかった部屋の掃除。


朝飯。


昼飯。


夕飯。



読みたい本。



飲みたい酒。





それから……





布団から這い出し、飯を作り、食った。


顔を洗って歯を磨いた。


洗面所の、囚人用タオルは、もう一月以上掛かったままだった。



もう家には居られなかった。



俺は家を出た。



図書館に向かう。




読み終わった本を返し、また借りた。



ほっとした心持で、図書館で本を読んだ。


そして、すぐに憂鬱になった。





12時間後には、バイトが待っている。




バイト。


仕事。


監獄。



トライアングルを回るだけの生活。




ようこそ監獄へ。





もっとも、監獄の方がマシだろう。


健康的な食事が保障され、読みたい新聞も読める、らしい。(本は読めるのかな?)






日々を生きる。~妻よ。おまえはいったい何を望んでいるのか。

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斜陽

またか、と思った。

俺の古い友だち。

偏頭痛がやってきた。


右眼穿の奥が抉られるような痛みだった。

昨晩は、無駄な時間を節約し、なんと!五時間近く寝ることが出来た。

しかし、頭痛は消えなかった。

バイトを終えて、仕事に出掛けた。

駐車場に着いて、俺は車の中で十五分寝た。

それから、何とか仕事をこなしているうちに、昼になった。

抉るような痛みは、何かで右顔面を押さえつけられるような鈍痛にかわっていた。

痛みで仮眠をとる気分にもなれず、俺は本を読む事にした。

バッグの中のハードカバーは、とっくに読み終わっていた。

図書館で借りたやつだ。

ボロバッグの中をもう一度よく見ると、一冊の文庫本が奥に埋まっていた。

太宰治の斜陽だった。

なぜ、こんなものを?

ページをめくると、カバーの端っこに、頬杖をついて、恐ろしく陰鬱な表情の、作者の写真が目に入ってきた。


日々を生きる。~妻よ。おまえはいったい何を望んでいるのか。-dazai


その顔は、どう見ても、死にたがっていた。

読み始めた。


何ページ位まで、読み進んだのか?



いつのまにやら。


俺はデスクに突っ伏したまま、眠っていた。


目が醒めて時計に目をやると、休み時間は残り五分を切っていた。

立ち上がり、鏡に写る自分の面を見た。

右目が、偏頭痛のせいだろうか、垂れ下がっている。

太宰治に負けず劣らず、俺の面も、陰惨極まりなかった。



それでも……


俺はまだ、死にたがってはいなかった。





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詩 「俺の24時間」 訂正版

労働時間(14.5時間)

労働の為の移動時間(2.5時間)

飯やら、洗濯やら、歯磨きやら、風呂やら、着替えやら、その他無駄な時間(4時間)

睡眠時間(3時間)

俺の唯一出来る事は、「その他無駄な時間」を可能な限り削り、寝る時間にまわす事だった。


そんなある日、俺の娘の母親が、俺に言った。

「毎日一時間くらいなら、将来のための勉強に時間割けるはずよ!パソコンなんてやってる場合じゃないんだから!」

そして俺は、布団に潜り込んだ。