目を大切に | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

目を大切に

テレビも、ネットもない生活。

通勤時のカーラジオ以外、世の中を知る術は無かった。

娯楽は読書のみ。


俺は休日に、図書館で五冊本を借りた。

昼の休憩中に読むために。

クルマの中に、何ヶ月も放りっぱなしだったステンレス製の安物のボトルに、インスタントコーヒーを、今朝、入れてきた。

パッキンがイカれていて、傾けると漏れてしまう。

コンビニ袋を二重にし、そいつをぶち込んだ。

昼休み。


本を膝の上に広げ、コーヒーを一杯。

思わず吐き出しそうになった。

変な匂いがした。

それでも、飲むしかなかった。

カードで買い物をしていると、妙な気分になってくる。

昼飯。

酒。

本。

なんだって買えてしまう。

一銭も持っていないというのに。

カード買いは、控えた方がよさそうだ。

今度こそ、顔面にコップを投げつけられることになるだろう。

昼飯に、五百円も使っていいのだろうかと、考えてる俺は馬鹿か?

五百円の為に、失明してはたまったもんじゃない。

馬鹿げているが、俺は恐怖心から、カードを遣うことを躊躇っていた。


昼飯は、無し。

マイボトルのコーヒーのみ。



まあ、いいか。


どうせ、もう少しの辛抱なんだしね。



それから……。


一ページも本を読み進まないうちに、俺は眠りに落ちていた。