生活していれば必ず使っている水
人の身体の60%が水で出来ていて、新生児に至っては8割が水で占めていると言われています。生活だけでなく身体も水と切り離せないことが分かります。
生活していれば必ず使っている水。暮らしには欠かせないものですね。その水を効率よく上手く利用しているかと言えば、自信を持って「使っている!」と言える人はなかなかいないのではないでしょうか。
日本では水が地下に長いこととどまることなく人の口に入ることが多いために、ミネラル濃度の低い軟水がほとんどです。ヨーロッパ地方と異なるこの軟水の性質を上手く利用するにはどうしたらいいでしょうか。
たとえば毎日飲んでいるお茶。緑茶は日本代表とも言えるお茶ですが、同じ茶葉でも発酵させた紅茶は、硬水地方と言えるヨーロッパ地方が主流です。
その日本が誇る緑茶を、ヨーロッパ地方に多い、ミネラル濃度の高い硬水で入れてみましょう。そしていつも飲んでいるように、浄水器を通した日本の水道水で入れている緑茶と比べてみましょう。硬水で入れた緑茶には甘みや旨味より渋みが立ってきませんか?
では次に紅茶を、日本の水道水である軟水と、ヨーロッパ地方に多い硬水とで入れてみましょう。軟水の方はまろやかさはありますが、香りにおいて硬水で入れたものと比べると弱さを感じます。つまり、硬水地方とも言えるヨーロッパで多く飲まれているコーヒーや紅茶は、その地の水=硬水で入れた方がおいしく飲めることが分かります。
つまり、このことは料理にも当てはまると言えるでしょう。旅行先で食べた郷土料理を、いざ自宅で試してみると何か物足りない気がしませんか? それは、その土地の水で育った産物を、その土地の水で料理しているせいではないかと思うのです。つまり、土地にあった水のミネラル濃度などが旨味の鍵を握るのでしょう。
次に、食べ物、飲み物以外に、影響があると言って思い起こされるのはお風呂。あなたは一番風呂に入った時、浴槽の湯に刺激を感じたことはありませんでしたか? なんとこれは、水道水の中に含まれるカルキが原因。あのピリピリ感を中和させるには、レモンなどのビタミンCを入れるか、大きくかき混ぜると効果があるそうです。
そしてもちろん肌だけでなく、髪の毛にもその影響は受けます。髪の毛は肌と違って、脂肪分の層がないために塩素によって影響を受けやすく、ゴワつき,パサ付きを起こしやすいのです。
この残留塩素はタンパク質との結合で細胞を破壊する活性酸素を生み出します。水道水での洗い物で手が荒れる人は、この影響が強く出たためと言えます。必ずクリームなどで手を保護してくださいね。
このように改めて考えてみると、水が人間の暮らしに深くかかわっていることが再認識されますよね。飲み物や料理に使う水を、その硬さやミネラル濃度の面から考えてみると、その仕上がりの違いに驚くでしょう。
水の持っている特徴を何となく捉えてみることで、水を効果的に使用することも出来るのです。浄水器を通した水道水か、ミネラルウォーターか、その性質の違いを知るだけでも生活に潤いをもたらしそうですよね。
数十年前までは「水を買う」ということが特別なことでした
すべての生命体にとってなによりも必要な物質と言ったら、何よりも水でしょう。人体の約60%が水で出来ていることは、よく知られている話ですよね。
その重要である水も、ほんの数十年前までは「買う」ということは特別なことであり、普段の飲み水として買うのは馬鹿げているとされたものです。
ところが今は「◯◯の天然水」「××の水」などのペットボトル入りの水を買うことは、珍しいことではなくなりました。
では人間が生きていくために必要な、一日の水の量はどのくらいになるでしょう。では、そのために一日で排出するであろう水分量を知ることが必要ですね。
一日で排出される水分量を、じっとしている成人男性で考えると、約2300ミリリットルと言われます。もちろん、暑い時や身体を動かしたりしたら、その量は変化することでしょう。
摂取しなくてはいけない必要な一日の水分は、飲み水以外にも入っています。また、体内で栄養素が分解される際にも水分が発生しますから、純粋に水分としての必要な量は1200ミリリットルと言われます。
またみずみずしい肌の新生児に含まれる水分量は、大人と違って80%にもなります。これは成長すると言う第一目的のためには、このくらいの水分量が必要であり、水分が多いことによって落ちてしまう抵抗力よりも、新生児は成長力に力点を置いていることの証と言えます。
それでは、どのくらいで人は脱水症状になるのでしょうか。実はわずか1%の水分不足であっても、激しく渇きを覚えることが分かっています。もし、丸一日水分を摂取しなかったら、2.5%もの水分が失われることが分かっています。
水分量の高い子どもで5%、子どもより水分比率の低い大人ならば2~4%の水不足で脱水症状が現れます。このたった数%だけで、人間が生きていく上で必要な機能が麻痺するのです。
水分を摂取にあたり、体液と近い成分を持つからと言って海水を選ぶことはできません。しかし、塩分のない不味い雨水を、そのまま飲むわけにもいきませんよね。
一見、無味無臭と思われる水であっても、天然ミネラル水のなかには岩盤の鉱物類の他に、信じがたいことに微生物などの不純物が入っているのです。ミネラルウォーターが美味しいと思うのは、このおかげなのです。
健康に気を遣っているならば、売っている水の表示を見てみましょう。中には「ナチュラルウォーター」「ボトルドウォーター」という表示のものもあります。きちんとミネラル分が入っているのかどうか、せっかく買うのならば確かめて買いたいものですよね。
飲料水に、調理、お風呂、トイレ…など、生活全てに関わっている
人が生活する上で何が一番必要かと言うと、やはり水でしょう。飲むだけでなく、料理、お風呂やトイレなど、基本的な生活すべてに関わっています。
人間らしく生活するために必要な水は、一日5リットルと言われています。しかし、これはあくまでもギリギリのラインです。具通の生活を望むのであれば、これ以上の水が必要であることは分かりますよね。
はるか古代の文明の、チグリス・ユーフラテス河、黄河、インダス河で栄えた文明が、すべて水辺から起きたことは誰でも知っていますよね。
たとえば料理をするときに水を使いますよね。これは当たり前のことです。洗面、洗濯、トイレ、掃除…生活に密着する様々な行動には水がついてきます。
それらのように表に出ている水の量だけでなく、その裏でも水が使われていることはあまり考えたことはないと思います。実はその裏の水こそ、莫大な量なのです。
たとえば一杯の牛丼が出来上がるまでにどのくらいの水が使われたでしょう? たくさんの汁で煮ていますよね、でもそんな水はたいした量ではないのです。まずは土台の米部分で考えれば、米を育てるための水が必要です。さらに牛を育てるための水、さらに遡れば、牛にあげる試料を育てるための水、などなど大量の水量を計算すれば、なんと2000キロリットルもの水が必要になるのです。
日本の地形は東西に長い独特な形をしています。そのため、季節や場所によって雨量にバラツキが多く、洪水や渇水を繰り返します。河川も急峻であることから、降水量に恵まれていても、それを活用するのに苦労してきました。
そこで、日本では流れ出してしまう前に河の側に水田を作ったり、ダムを造ったりして水を利用する方法を考えてきました。
また、日本では地下水が染み入ってから出てくるまで、その期間が短く、地中の鉱物から出て来るミネラル分が多くは含まれません。つまり軟水が多いのです。
今では蛇口からザァザァと水が流れます。その水にカルキ臭を強く感じた場合、その土地の水源の汚れは酷いことが想像できます。それは雑菌処理の為に塩素が大量に使われている証だからです。
その塩素は細菌と結びついてカルキ臭を起こし、有機物と化学反応を起こしトリハロメタンを発生させます。この物質は大量に摂取することで人間の体内に様々な問題…中枢機能低下、発がん性、痴呆、肝臓・腎臓障害…を起こします。また、この他にも工場排水や農薬などが水道水に微量ですが含まれることも分かっています。
人が生きる上で必ずお世話になっている水。だからこそ、使う時には節水を心がけ、そして何かする時にはその裏で使われているはずの莫大な水に思いを馳せ、水源を守るための努力をしていこうではないですか。