これまで、ほとんど「若者の問題」扱いされてきた「ひきこもり」の、中高年層に対する調査結果が、内閣府から、なかなかあざといセンセーショナルな発表のされ方をして以降、一般マスコミもやたらと取り上げるようになった。

それ自体は特に問題はないと思うけど、論調に疑問がある、そもそも「ひきこもりは悪」という前提で書いている(あるいは放送している)など、看過できないものもある。

多くの専門家か指摘しているが、中でも(たぶん)一番人目に触れたのは「サンデー毎日」の記事で、「(内閣府の調査結果は)対象が男性偏重で、多くの女性が『透明人間』扱いされている」「今回の調査の男女比は、8(男)対2(女)だったが、(相談員の話として)相談メールの男女比は1対1くらい」で「『女性のひきこもり』が埋もれている可能性が高い」という。

個人的に一番注目したのは(というか、以前から感じていたことだが)、筑波大学の教授の指摘する「(内閣府の推計値に対し)この2倍はいるはず」「ひきこもりが自己責任だという捉え方は明らかに間違い」という点。

特に、最近何かにつけ、やたらと「自己責任」だと切り捨てる人が急速に増えていることは、僕もおかしいと思うし、危険な道に進む前兆だと考えている。

(そう結論する論理はあるのだけど、長いから省略)

…ところに「戦争するしかなくないですか?」とバカげた発言をする若い国会議員まで出てきた。しかも「発言が原因で辞職させられた前例を作ってしまう」から絶対に辞めないと強気の宣言をしながら「適応障害」という都合のいい病名を持ち出して、2ヶ月休養する、という信じがたい暴挙。


それはともかく、その上で、このタイミングで「中高年のひきこもり」を問題化して、「皆が働ける社会作りが重要」と位置付ける(ある意味、生き方の押し付け)のは、背後に安倍晋三が繰り返す「一億総活躍社会」、つまりは「死ぬまで働け」という主張の後方支援としか感じられない。

…と考えていたら、川崎市登戸の痛ましい殺傷事件で、容疑者は「ひきこもり傾向だった」とマスコミの大合唱。

ああ、これでまた偏見が増大するわ、とウンザリ。

…してる間もなく、TBS系の「Nスタ」で小学校長が記者会見中継で、マスコミに「児童への直接取材をやめてほしい」と言い出した途端に音声を消した、とか、腐りきってるわ。