iPhone 8の内蔵カメラ。

買って最初の1枚は、たまたま近くに広げてあった新聞を、だいたい半面が1コマに収まるサイズで、本当に何も気を遣わず無造作に撮った1枚。

もともと、気になった新聞記事をデジカメで撮っておく…ということは、普段からやっているので、自分としては全く特別な事でない。

しかし、小さな記事ならともかく、新聞半面を1コマに収めるほどだと、後で拡大して見た時に、全くブレずに細かい文字がクリアに読めるように撮るのは難しい。

手ブレ補正が付いていても、かなり気を使って撮らないと、一見するとシャープに撮れて見えても、拡大して記事本文の文字まで読もうとすると、ほぼ必ずブレてるので、シャープに撮れるまで多いと10回くらい撮り直すのは珍しくもない。

が、その「何の気も使わずに」無造作に撮ったiPhone 8での1枚を拡大して見たら、記事本文の細かい文字までブレ無くクリアに読めるほどに撮れていたので、マジで驚いた。

その時には、まだ光学式手ブレ補正機能が付いているのは知らなかった。

デジカメの手ブレ補正は、今では付いているのが当たり前くらいに普及しているが、その手法はメカニズムの点から見ると、2つに大別出来る。

レンズ構成群内の一部(1枚。ほとんど真ん中辺りの小さなレンズ)を、カメラに内蔵された加速度センサーでブレを検出して、シャッターを切る(開く)直前に、ブレを打ち消す方向に補正レンズをメカニカル的に動かして、手ブレを打ち消す。

最も効果的で、かつ画質が劣化しないが、実際に組み込むのはどうしても一定以上の空間が必要なので、小型というか薄型のカメラに内蔵するのは難しい。

また、レンズを動かすのでは無く、撮像センサーを検出されたブレを打ち消す方向にシフトさせて手ブレを防ぐ、センサー・シフト方式。

どちらも撮像データを処理する以前に、撮像センサーに写る画像のブレ自体をメカニカルに打ち消すので、画質が劣化しないメリットがある反面、実装にはコストがかかる。特に、前記のようにレンズを動かす方式は画質が良い代わりに、物理的な空間が必要だし、制御する技術も高度なので、普通に考えたらスマホに内蔵するのは、かなり難しい。

で、これらを「光学式手ブレ補正」と言う。うるさく言えば、センサー・シフト方式は光学式では無いという主張もあるが。

これらに対して、画像データはブレたまま取り込んで、カメラ内部での画像処理の過程で、デジタルデータからブレを検出して、画像処理で手ブレを補正してしまうのを「電子式手ブレ補正」と言うが、画質としては光学式より悪い。もともと写っていないデータを、画像処理で無理矢理仮想的に作り出して補間するのだから、劣るのは必然である。

しかし、物理的な空間や、レンズやセンサーをメカニカルに動かさずに済むので、ハード的な構造が簡単で、それはコストに直結するから、安価なビデオカメラの大半は電子式。

…続く。