発病してから7年の歩み
発病してから7年の歩み 私がCML を発症したのは2016年の3月のことでした。大腸内視鏡検査を受けるために採血をしたところ白血球の数が異常ということで急いで血液内科を受診するように医師より真顔でいわれ、その場で直ちに病院に予約までしてくれました。 私はなんの自覚症状はなかったのですが、あれほど真顔で直ちに受診するように言われるのは、相当大きな病気だということを感じ、とても心配になり、翌日に血液内科を受診しました。 そして骨髄液検査の三日後には慢性骨髄性白血病と判明し、すぐに入院してスプリセルによる治療が始まりました。 初めてスプリセルを服用すると激しい下痢、腹痛、頭痛、発熱などが続いて、こんな苦しい痛みが続くのでは長期に服用することなどとてもできないと思いましたが2週間ほど経つと腹痛や下痢も治まってきて1ヶ月後には退院でき、その後通院治療となりました。 最初の半年ほどは副作用が強かったので、通院は2週間おきでしたが、スプリセルの副作用で筋肉がこわばり長時間同じ姿勢を保つと痛みが強くでて、片道1時間以上をかけて通院し、検査,受診に長い時間をかけて帰ってくると、帰宅後二日間も寝込んでしまうというような状態でした。 現在は、状態は落ち着き通院は3か月に一度になりましたが、数十分の運転や駅の階段を登ることで、めまいや胸の痛みが出てくるので、妻に車で送迎してもらって通院しています。ただ夫婦ともども高齢化してゆくので、いつまで、妻も長距離運転ができるか不安で、将来は、近くの病院で治療が受けられる日が来ることを願っています。 さてスプリセルは非常に効果が出て4か月後にはMMR(IS の値0.1%以下)になったのですが副作用で次第に胸水が溜まり心臓が圧迫され,めまい、胸の痛み、不整脈で歩くのも困難になり、その後2度ほど入院してステロイドや利尿剤で治療を受けましたが改善せず1年後には薬を変えることになりました。 そこでグリベックやタシグナを試しましたが、服用すると大きな副作用が出て使えないことが判明し、医師から「2週間ほど今後の治療計画を検討させて下さい」と言われ、その時は「もう私には治療法がないのだろうか」と不安になりました。 しかし、2週間後に医師から「新しく出たボシュリフを少量から処方します」と言われ 希望が生まれました。それでボシュリフの服用が始まりますが、私は以前大腸がんの開腹手術を2回したことがあるので下痢になる副作用が多く出るというボシュリフに耐えられるかどうか心配しましたが、まず50ミリから開始しました。服用を開始した当初は下痢や腹痛、倦怠感、湿疹などの副作用はでましたが、心臓の異常は起こらず、さらに200ミリに増量し、MR4.5(IS の値0.0032%以下)まで達成しました。しかし服用を続けるうちに、再び、胸の痛みや筋肉の痛みが強くでてきたので、100ミリに減量して、その後5年間100ミリを継続して服用しています。当初は医師もボシュリフ100ミリでは少なすぎて、良い効果がでるか心配されましたがMMRを維持することができ、次第に効果が高まり、最近ではMR4.5から未検出になっています。このように、非常にわずかの量のボシュリフの服用でも、たいへん効果がでたのですが、一昨年までは3年続けて動けないほどの激しい胸の痛みや目まいなどで救急搬送される事が続き、循環器科でも定期的に検査を受けて心筋梗塞や脳卒中にならないような薬も処方してもらっています。 この心血管系の強い障害が発生した三年間の体験から「普段と違う無理な活動や運動をすると、翌日になって、心血管系に異常が出てくる」ことがわかったので、無理をせず、ゆっくりとした生活を心がけて、ここ1年は安定しています。 以上ですがこの7年を振り返りますと、生まれてから一度も経験したことのない、いろいろな副作用が出てきて,その度に対処に戸惑うことが多くありましたが、そのような時々に「いずみの会」の会報の情報や同病の友人の方から直接お話を伺って気持ちを落ち着かせて乗り越えることができたことを心から感謝しています。また主治医も、どんな小さな体調の不安にも耳を傾けてくださり、それに対して必要な検査や治療をしてくださったことも感謝しています。 救急外来の医師からは「強い胸の痛みが出たときは遠慮せず救急車を呼んでいつでも来てください。あなたの場合は、心筋梗塞かそれとも薬の副作用かの区別は検査しないとわからないので」と、親切な助言を頂いていますが、私としては救急車のお世話にはできる限りならないよう養生したいと思っています。(付言: 私の体験談には、たくさんの強い副作用のことを記しましたが、軽い副作用で、普通に仕事を継続している方のほうが多くいらっしゃると思いますので、発症間もない方は過度なご心配なさらないにように。副作用は千差万別で一人一人違うので主治医の方に遠慮せずご相談されることをお勧めします)