先月、与那覇百子さんの追悼企画展が

 

桶川飛行学校平和祈念館で開催されました。

 

11月8日に96歳で逝去された百子さんを偲んで

 

行政の通例にはないスピードで準備され

 

段取りを組まれたのでしょう。

 

12月7日にその追悼企画展が始まり、

 

百子さんのお写真の展示、

 

埼玉県所蔵の記録映像の放映などに加えて、

 

館長さんのお取り計らいで

 

寄せ書きも行われました。

 

 

私も最後に、

 

以前、沖縄戦にかかわった方の文章を読んだ際に

 

印象に残っていた言葉を思い出しながら

 

書かせていただきました。

 

それは、おおよそ次のようなものです。

 

「忘れたい」戦争の辛い記憶を

 

いまを生きる世代と後世のために

 

「忘れまい」と想い起こして

 

長く語り部として活動をされてきたこと ―――

 

このことに対して敬意と心からの感謝の気持ちを

 

表した言葉です。

 

 

恩師から伺ってきた百子さんへの想い、

 

与那覇師範やご家族の想いと併せて

 

私も文字を書きながら、

 

改めて、

 

いろいろと考える機会となりました。

 

 

現代は、

 

百子さんに比べるべくもありませんが、

 

伝える人があり、

 

それを受け取る人がいるとうことは

 

有史以前から変わらないことだと思います。

 

そして、それは、

 

伝える側の意志の有無や強さはもちろんですが、

 

それ以上に、

 

大きくは受け取る側の姿勢なのだろうということを

 

最近は考えることが増えてきています。

 

 

道場での言動には

 

長年、自分が恩師から掛けてもらった言葉も多く、

 

具体的な解説がなかったものでも

 

その本質を考えて心身の取り組みに生かす時が

 

格段に増えてきていることも

 

不思議ではありません。

 

 

また、

 

ある哲学者の言葉に

 

次のようなものがあります。

 

自分が何を成してきたか、よりも

 

何を受け継いできたのか、

 

何を伝えてもらってきたのか。

 

そして、

 

自分が何を成したいのか、よりも

 

何を受け継いでいきたいのか、

 

何を伝えていきたいのか。

 

 

これらを軸に据えることが本質につながり、

 

敬意と感謝を忘れずにいるために大切なこと ―――

 

というのも充分に納得できます。

 

 

先日の神田錬成館での

 

オーストラリアのセオ師範一門との稽古でも、

 

心身の軸の持ち方、

 

姿勢や心の持ち方に

 

時は過ぎても学びのつながりがあり

 

受け継がれていることを

 

実感しました。

 

初めて外国人と稽古をした学生時代以降、

 

私たちの学びの本質を

 

外国人が学ぼうとする姿勢は

 

日本人以上だと感じることは

 

少なくありません。

 

翻って、

 

私たちが生まれ持っているもの、

 

成長とともに培ってきているもの、

 

これらによって複合的に形づくられている

 

アイデンティティそのものを再確認、

 

再認識する学びともなるのです。

 

 

かつての自己顕示から

 

支える側へ。

 

何事も生涯を通して学ぶことに

 

変わりはありませんが、

 

それだけではない自分に変わってきています。

 

 

受験戦争と呼ばれた時代に育ち、

 

学生、社会人になって以降も

 

つねに競争社会に身をおいてきたなかで

 

実際に敵は多く、

 

自分もそれなりにしたたかであったとも思う。

 

表情が鋭くなったと言われ始めたのは

 

いつの頃からだったか。

 

年間出生数200万人時代で

 

熾烈な競争を求められた

 

団塊ジュニア世代というのは言い訳であり、

 

私の性分なのだろうとも思いますが、

 

それでも人の縁に恵まれてきたからこそ

 

いまにつながっているのは疑いのないことであり、

 

それほどまでに

 

嫌な自分でもなかったのかもしれない。

 

 

そして、いまがある。

 

これまでも記している通り、

 

「ともに在ある」

 

という感覚や手応えを得られることがあります。

 

日常においても、稽古においても

 

これらのことが自分の根っこにあり

 

源泉となっていることは確信です。

 

 

 

      人から学び、受け継ぎ、人へ伝えてゆく

 

 

昨年一年間も

 

多くの方々から

 

たくさんの教えをいただきました。

 

一人ひとりの

 

良い表情が思い浮かびます。

 

 

いまの自分は、

 

学生時代やかつての社会人の頃とは

 

大きく異なり、

 

5年前3年前はもとより

 

昨年の年初の自分とも違います。

 

自分を深めていくことができるか、

 

根をより深く広げていけるように。

 

今年一年、

 

気持ちを新たにして

 

仲間たちとともに頑張ってまいります。

 

 

5つ、再掲します。

 

意志と伝統

 

自己顕示から支える側へ

 

自分の形(かた)をつくる

 

ともに在る

 

根を持つ、根を張る