先週来、連日のように報道されている携帯を使ったカンニング問題ですが、どうも問題の本質を見ぬまま表面的な対策がなされようとしていると感じます。

例えば、今回の問題を機に受験生の情報マナーの再教育をしなければならないという声が聞かれます。また文部科学大臣は、試験会場に携帯を持ち込めないようにする対策の検討を打ち出しています。

これらは短期的な「暫定対策」として、やらないよりはやったほうがいい対策ではありますが、本質的にはいたちごっこになる可能性が高いものであり、抜本的な問題解決にはつながりません。本誌的には、ITの進化やそれによる社会の変化を反映させ、受験のあり方そのものを変える必要があると思うのです。

ここで、今回の問題を少し整理してみます。

試験中に携帯を使ってYahoo知恵袋に問題が投稿され、試験時間内に回答が書きこまれたという今回の事件ですが、大きく分けて、3つの問題があります。

一つ目はカンニングをした受験生の意識の問題、二つ目はカンニングができる環境を作りだした大学側の問題、そして、三つ目が、今回のようなカンニングにより合否が影響されてしまうという受験制度そもののの問題です。

受験生の意識の問題としては、試験中に携帯を使ってはいけないという情報マナーを知らなかった、あるいは、そういうマナーは知っているけども守らなかったという意識の問題です。これらについては、学校での情報マナーの教育を徹底すること、あるいは今回のような問題が起こったときに懲罰が与えられることを世に知らしめる、といったことが対策となります。

次にカンニングできる環境を生み出した大学の問題ですが、一つはカンニングを見つけられなかった試験監督者に関する問題があります。十分な監督者が配置されていたのか、あるいは、監督者の意識レベルが十分に高かったのかということです。一部では、大学教員にとって試験監督は雑用であり、十分に監督業務をしていないという指摘がなされています。これについては、試験監督の数を増やす、あるいは、監督者の意識レベルを上げるということが対策となります。

また、携帯電話を受験生が持ち込める環境、あるいは使える環境にあったというのも問題です。これについては、携帯の持ちこみチェックを強化する、あるいは妨害電波を発して試験会場内で携帯が使えないようにしてしまうことが対策となります。

さて、世の中で一般に報道されているのは概ねここまでのことで、つまり、受験生のモラルと、大学側の試験環境に対する対応がメインとなっています。

ただし、これらの対策は短期的には有効な施策になるかもしれませんが、かならず「いたちごっこ」という現象を生み出します。つまり、進化し続けるIT技術を背景に、新しいカンニング手法が生み出され、それを使いたいと思う一部の受験生と、それを阻止しようとする大学側との間でのいたちごっことなります。

とすれば、より長期的な抜本的な対策が必要で、それは、今回のようなカンニングにより合否が影響されてしまう受験制度そのものを変えていくということです。

長くなりましたので、これについては次回の記事で書きます。


前回の記事では、プレゼン資料における個々のスライドを書くことは、パターン認識が必要という点で日本語を外国語に翻訳することに似ていることを書きました。


一方で、全体のプレゼン資料を作り上げていくためには、一枚一枚のスライドを書くことよりも、プレゼン全体のキーメッセージを決め、それに応じてスライドの構成とそれぞれのスライドの言いたいことを決めることが、より重要になってきます。


この点においては、英語の文章を書く時の考え方と同じことを、適応することができます。


英語の文章はロジックや構造を重視しますので、(日本語で書くときも本質的には同じだと思うのですが・・・)、まず文章全体でのキーメッセージを決め、それに基づきパラグラフの構成を考え、それぞれのパラグラフのキーメッセージを決めます。


さらにパラグラフの書き方も決まっていて、たとえば第1文はトピックセンテンスと呼ばれていて、そのパラグラフのトピックや要約を示し、それ以下の文で、トピックセンテンスを支持するための理由や具体例が書かれます。


つまり、構造的に書かれた良い文章は、各パラグラフのトピックセンテンスを読むだけで、その文章のいいたいことをつかむことができるわけです。


これは、まさにプレゼン資料作りでも同じことが言えて、プレゼンの肝となるいくつかのキースライドを見れば、そのプレゼンの言いたいことが伝わるようになっていなければなりません。


そういう意味で、ロジカルな構造をもつ文章を書けるようになることが、まとまりのあるプレゼン資料を作るためには必要です。


ところで、その能力を鍛えるためのおすすめの1冊があります。


書店にも平積みされているのでご存知の方も多いかもしれませんが、バーバラ・ミントという元マッキンゼーのコンサルタントが書いた、「考える技術・各技術」という本です。


これはコンサルタントのバイブルとも言える本で、同じファームのコンサルタントの人にも、これは何回も読んで身に着けておけといわれている本です。


英文の日本語訳ということで少々不自然な日本語になっており、少々読みづらいかもしれませんが、コンサルタントに限らず、報告書や提案書を書く機会のある人にとっても役に立つ本ですので、一度読んでみてはいかがでしょうか?


★参考記事

プレゼン資料の作成は翻訳と同じ



★参考書籍


バーバラ ミント,グロービスマネジメントインスティテュート
ダイヤモンド社
発売日:1999-03


マッキンゼーの女性初コンサルタントで、後に同社のレポート作成指導責任者となった著者による、ロジカルライティングに関するバイブルともいえる本。話が少し抽象的であり、かつ翻訳調の違和感のある日本語のため、読み進めるのに少し抵抗感があるかもしれない。ただし内容は充実しており、ビジネスパーソンにとって必読の一冊といえる。

これまでに何回か、プレゼン資料を作成する難しさについて書いてきましたが、この悩みに関して最近何人かの人に言われたことがあります。


それは、1枚1枚のスライド資料作りは「パターン認識」であり、「こういうことをいいたいときは、こういう構成のスライドを使う」というパターンを習得すれば、自然とスライドが書けるようになるということです。


このパターン認識というキーワードで考えてみると、資料作りと翻訳というのは非常に似ているところがあります。


私は英語しかわかりませんが、英語でもいくつもの決まった言い回し(=パターン)があります。決まった言い回しを身につけて使い分けることができれば、伝えたいことを素早く翻訳して、わかりやすく相手に伝えることができます。


逆に決まった言い回しがわかっていないと、いくら文法的に正しい文であったとしても、非常に不自然でわかりにくい文になってしまいます。これは、一生懸命自分なりに考えて、ロジックとして正しいことが書かれていたとしても、定型パターンに反しているとわかりにくいスライドになってしまい、意図する内容が相手に伝わらないのと同じです。


こうやって語学習得との類推で考えると、資料の個々のスライドを作るというのは、ある程度量をこなすことで自然に身につけられるスキルですし、逆に言えば、量をこなすしか上達の道はないのかもしれません。


一方、資料作りで重要なのは、個々のスライドをちゃんと作れることだけではありません。全体の構成を考え、どのスライドで何を言いたいのかを考えることが、より重要なことです。個々のスライド作りというのはその「言いたいことを」適切に表現するための手段であり、全体の中では一部のことでしかありません。


このことについては、次回の記事で書きます。



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・ロジカルだけではダメ



新卒で入社するにしても、中途で入社するにしても、戦略系コンサルファームに入ると、ほぼ100%の人が最初は「自分が何もできない」という状況に愕然とします。以前の記事でも書きましたが、私も転職して間もなくは、何もアウトプットを出すことができませんでした。

これがこの業界に入ってきた人に待ち受ける最初の試練なのですが、これをちゃんと乗り越えられるかどうかで、その後の成長のスピードが決まるような気がしています。

そもそも、戦略コンサルファームに入ってくる人は、新卒、中途を問わず、基本的にはポテンシャルの高い優秀な人たちばかりです。書類選考を通過し、かつ何回もの面接をクリアしてきた人で、その倍率は書類応募者を母数とすれば、おそらく数百倍になるのではないかと思います。転職前の仕事においては皆、おそらく超人的に仕事が出来て周りから一目おかれている人ばかりです(自分で言うのも何ですが、私もそうでした)。

それが、転職したとたん、全く何もできないという無力さを味わうわけです。いわば、天から地におちる瞬間です。

私の場合、あらかじめ状況を聞いたりしてある程度想定できていたのですが、それでもいざ、チームの中で何も貢献できない状況に陥ると、何とも言えない惨めさを味わいました。なので、全く心の準備ができておらず、「自分はできる」と信じ切って入ってくると、その落差たるや、相当のものがあると思います。

こういう状況で「こんなはずではない」と半ばパニックになってしまうと、コンサルにとって最も重要な「成長」というきっかけをつかめなくなるという、悪循環のサイクルに入ってしまいます(特に、新卒で入ってくる人に多いようです)。

逆に、ここで素直に開き直って、白紙の状態でいろいろなものを吸収する、また、冷静に自分をみつめて、何が武器として通用して、何が通用しないのかを一つ一つ確認していけるようになると、地の底から少しずつ這い上がっていけるようになります。

前回の記事において、一見理不尽と思える指摘であってもそれをポジティブに受け止められる力が必要であるという趣旨のことを書きましたが、とにかく、すべての局面で前向きにポジティブに受け止められる精神力がないと、なかなかこの仕事をやっていくのは大変です。

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全てが自己責任

前回は戦略コンサルに求められる「成長のプレッシャー」について書きました。


これとも絡むのですが、もう一つ戦略コンサルの世界でよく求められるのが「自己責任」です。要はファーム(会社)や他人に依存するのではなくて、自立したプロフェッショナルとして、常に最高のアウトプットが出せるように自分に責任を持つということです。


この仕事をしていると、いろいろな場面でこの「自己責任」という言葉が出てきます。前回書いたような「成長」も自己責任なのですが、ほかには次のようなものがあります。


1.仕事の進め方


前職のような一般企業では考えにくいことなのですが、たとえ上のポジションの人からの指示であったとしても、それを受け入れるかどうかは自己の責任で判断しなければなりません。


必要なのは「最高のアウトプット」だけであり、もしそれが達成されないにも関わらず指示に従って仕事をしていると、「何も付加価値をつけられていないただの作業マン」といって、きついお叱りをうけます。


逆に、自己判断でよかれと思ってやったことでも、結果としてのアウトプットが低ければ「なぜ指示したとおりにやらないのか」と、やはり叱られます(ただし、叱られると書くとネガティブですが、ポジティブに捉えれば、こうやって人を育てているという側面が多分にあります)


2.時間管理


以前の記事で書きましたが、アウトプットの質を高めるには、同じ時間のなかで、どれだけ生産性を高められるかがポイントとなります。そのためには、自分で自分の時間の使い方をコントロールし、最適な時間配分を自己責任で考えなければなりません。


3.健康管理


最高のアウトプットを出そうと思えば、それなりに夜遅くまで働いたり、あるいは食生活のペースが乱れたりすることもありますが、睡眠不足でもうろうとなったり、風邪などひいたりせず、常に自己責任で自分の体調を管理し、最高の状態で仕事ができるようにするのも大事な仕事です。



自己責任と対照的なものとして、「他責」という言葉があります。戦略コンサルの世界では「他人の責任にする」ということは、最も信頼をなくす行為です。


たとえば、仕事のアウトプットが出なかったときに「リーダーが何も指示してくれなかったから」あるいは「リーダーの指示が悪かったから」などと言おうものなら、まず間違いなくお叱りをうけます(これも教育的な指導です)。リーダーがちゃんと動かないなら、それを正すのもメンバーの仕事です。



思うに、何があっても「自己責任」として受け入れられるかは、訓練してそうできるようになるというよりは、その人の性格や人間性そのものが反映されるものではないかと思っています。


そういう意味では、理不尽に思える指示や指導に対しても「自分の○○が足りなかった」「こうやって指摘してもらえるのはありがたい」と心から思える性格でないと、おそらくストレスでつぶれてしまうことになると思います。


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