「インサイド・シューベルト」
F.シューベルト・ピアノ作品全曲シリーズ VOL.24
※ライブストリーミング配信
【日時】
2023年10月24日(火) 開演 20:00
【会場】
カフェ・モンタージュ (京都)
【演奏】
ピアノ:佐藤卓史
【プログラム】
シューベルト:アレグレット ハ短調 D915 (1827)
シューベルト:ピアノ小品 ハ短調 D916C (1827 / 未完・佐藤卓史による補筆完成版)
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第12(11)番 ヘ短調 D625+D505 (1818 / 未完・佐藤卓史による補筆完成版)
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D958 (1828)
カフェ・モンタージュ主催のコンサートをオンライン配信で聴いた。
佐藤卓史による、シューベルトのピアノ作品全曲シリーズのVol.24である。
ピアノ・ソナタ第11、19番を中心に、シューベルトのハ短調の曲を集めたプログラム(ソナタ第11番のみヘ短調だが)。
なお、このシューベルト全曲シリーズのこれまでの演奏会のうち、私が聴けたのは以下のものである。
→ Vol.12 2018年 「グランド・ソナタ」 w/中桐望
→ Vol.23 2023年 「歩き続けるシューベルト」 w/林悠介
シューベルトのピアノ・ソナタ第11番で私の好きな録音は
●シフ(Pf) 1993年4月セッション盤(CD)
●エンドレス(Pf) 1994年12月2日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
あたりである。
今回の佐藤卓史は、これら2盤をも凌ぐ腕前。
ストレートな解釈の中、カフェ・モンタージュの1905年製スタインウェイピアノの味も活かしており、この曲の最良の演奏だと感じた。
特に、スケルツォ楽章と終楽章がスムーズでうまい(やや危うい気がした箇所もあったが、それほど気にならなかった)。
シューベルトのピアノ・ソナタ第19番で私の好きな録音は
●リヒテル(Pf) 1972年8月12,13日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●P.ルイス(Pf) 2001年7月セッション盤(NML/CD/YouTube1/2/3/4)
●ウォスネル(Pf) 2018年7月10-15日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●ラルーム(Pf) 2019年10月14-17日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●フアンチ(Pf) 2021年4月19-23日、2022年7月19日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
あたりである。
フルトヴェングラーの振った「未完成」交響曲のように重々しく凄みのあるリヒテル盤と、スマートで端正かつリリカルなルイス盤、この2強で長らく来ていたが、ここ数年でウォスネル盤、ラルーム盤、フアンチ盤と立て続けに名盤が加わった。
今回の佐藤卓史は、病み上がりということもあってか(体調不良でコンサート日程も一週間延期になっていた)、ミスや暗譜飛びが目立った。
終楽章のエピソード部分の左手のタランテラ・リズムも、彼ほどの技巧の持ち主としては重たい印象。
またいつか、ベストコンディションのときに聴いてみたい。
解釈としては、先日の彼のレクチャーのとおり(下記リブログ元の記事参照)、最晩年の作だからといって特別なロマン性を付加しない、ウィーン古典派の流れを汲んだクラシカルなもので、有言実行となった。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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