ロシアのモスクワで開催されている、第17回チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
6月28日は、3次審査(ファイナル)の第2日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、第17回チャイコフスキー国際コンクールについてのこれまでの記事はこちら。
第16回チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ部門)が終わって
(第17回チャイコフスキー国際コンクール(ピアノ部門) 出場者発表)
なお、以下の協奏曲はアレクセイ・ルービン指揮、スヴェトラーノフ記念ロシア国立交響楽団との共演である。
16. Ilya PAPOYAN (Russia 2001-)
Pyotr Tchaikovsky: Piano Concerto No. 2 in G major, Op. 44 (composer’s version)
Sergei Rachmaninoff: Piano Concerto No. 3 in D minor, Op. 30
ピアノはヤマハ。
チャイコフスキーは第2番のほうだが、前回優勝者アレクサンドル・カントロフの同曲演奏にも劣らない音楽的な表現が聴かれる。
ラフマニノフも鍵盤を叩くような演奏でなく、ロマン的。
全体に、華麗さよりも実直さの表れた、充実感のある演奏。
05. George HARLIONO (United Kingdom 2001-)
Pyotr Tchaikovsky: Piano Concerto No. 1 in B-flat minor, Op. 23
Sergei Rachmaninoff: Piano Concerto No. 2 in C minor, Op. 18
ピアノはヤマハ。
端正かつキレのある演奏だが、これらロシア・ロマン派のレパートリーにおいては、やや線が細く爽やかすぎる気もする。
課題曲であるチャイコフスキーはともかく、2曲目は別の曲のほうが良かったかもしれない。
20. Angel Stanislav WANG (USA 2003-)
Pyotr Tchaikovsky: Piano Concerto No. 1 in B-flat minor, Op. 23
Benjamin Britten: Piano concerto in D major, Op. 13
ピアノはヤマハ。
これは見事。
ソロ曲では部分的にキレやセンスをみせるも詰めが甘く、ペトルーシュカなどGeorge HARLIONOに比べ冴えないと思いきや、協奏曲ではロマン的な表現といい押し出しのよさといい、むしろ数段強い印象を残す。
チャイコフスキーは、第1日のSergei DAVYDCHENKOと同じく“華”があり、さらには“歌”もあって、ここまででトップの演奏。
ブリテンも、勢いがあって大変にエキサイティング。
オーケストラに合わせるというより、従えているような貫禄さえある。
そんなわけで、3次審査(ファイナル)第1、2日の6人の演奏を気に入った順に並べると
1. 20. Angel Stanislav WANG (USA 2003-)
2. 01. Sergei DAVYDCHENKO (Russia 2004-)
3. 16. Ilya PAPOYAN (Russia 2001-)
4. 05. George HARLIONO (United Kingdom 2001-)
5. 08. Stanislav KORCHAGIN (Russia 1993-)
6. 15. Xuanyi MAO (China 1995-)
といったところか。
協奏曲としての華がある点で、Angel Stanislav WANGとSergei DAVYDCHENKOの2人が優勝に近い気がする。
1と2は逆でもいいかもしれないが、私はこう並べた。
ロシア人を差し置いてアメリカ人が優勝する、ということが冷戦時代(1958年)の第1回チャイコフスキーコンクールで起こったけれど、現代のこのご時世においても、果たして同じことが起こりうるだろうか。
次回(6月29日)は3次審査(ファイナル)の第3日。
3次審査(ファイナル)の最終日である。
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