イスラエルのテルアビブで開催された、第17回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)が、終わった。
これまで、ネット配信を聴いて(こちらのサイト)、感想を書いてきた。
とりわけ印象深かったピアニストについて、改めて備忘録的に記載しておきたい。
ちなみに、第17回ルービンシュタイン国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(第16回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール ファイナル結果発表)
04 Elia CECINO (Italy Age: 21)
(1次)(2次)(ファイナルA)(ファイナルB)(ファイナルC)
今大会のファイナリスト。
イタリアの明るい音を持つリリシスト。
技巧面ではときに難あれど、ベートーヴェンのソナタ第16番や三重奏曲第4番などでは持ち味を発揮できていた。
14 Yukine KUROKI (Japan Age: 24)
(1次)(2次)(ファイナルA)(ファイナルB)(ファイナルC)
今大会の第3位。
演奏が常にかっちりと安定しており、協奏曲でもそれが崩れないのが見事。
メンデルスゾーン/ラフマニノフの「夏の夜の夢」スケルツォ、リストの協奏曲第1番あたりが印象的。
09 Giorgi GIGASHVILI (Georgia Age: 22)
(1次)(2次)(ファイナルA)(ファイナルB)(ファイナルC)
今大会の第2位。
個性的だがやや荒削りでもあった2019年ブゾーニコンクール(その記事はこちらなど)から4年、元の個性はそのままに完成度をかなり高め、成長を見せた(プロコフィエフの協奏曲第3番だけは前のほうがエキサイティングだったが、それでも完成度は上がった)。
世界でもトップクラスのピアニストの仲間入りをしたと言ってよさそう。
05 Kevin CHEN (Canada Age: 18)
(1次)(2次)(ファイナルA)(ファイナルB)(ファイナルC)
今大会の優勝者。
また、私の中での個人的な今大会のMVP。
2021年リストコンクール(ブダペスト)優勝(その記事はこちらなど)、2022年ジュネーヴコンクール優勝とコンクール荒らしの彼が、今回も優勝を手にすることとなった。
爽やかかつ華やかな天性のヴィルトゥオーゾであり、2年前のリストコンクールではまだ粗も見られたが、今回はほとんど穴もなく仕上げられていた。
バルトークやショパンのエチュードも文句ない出来、そして何と言ってもチャイコフスキーの協奏曲第1番は、ホロヴィッツのように華麗でホロヴィッツ以上に洗練された最高の名演。
この曲では華麗なホロヴィッツよりも雄大なリヒテルのやり方を好む私でも、この演奏には脱帽するしかなかった。
ぜひ生で聴いてみたい。
19 Chaeyoung PARK (South Korea Age: 25)
(1次)(2次)(ファイナルA)(ファイナルB)(ファイナルC)
今大会のファイナリスト。
特有の集中力を見せるピアニストで、特にチン・ウンスクのエチュード、プロコフィエフのソナタ第8番、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」ソナタといったソロ曲が印象的。
08 Yasuko FURUMI (Japan Age: 25)
(1次)
1次予選で選出されなかった人から一人選ぶなら彼女か。
ハイドンのソナタ第40番、リストのバラード第2番、ショスタコーヴィチのソナタ第1番、いずれもトップクラスの名演だと思ったのだが、残念である(リストとショスタコーヴィチは黒木雪音と選曲が被ったため審査員の印象が薄れた?)。
07 Alberto FERRO (Italy Age: 27)
(1次)(2次)(ファイナルA)(ファイナルB)(ファイナルC)
今大会のファイナリスト。
上記のElia CECINOと同様のイタリアらしい音を持つが、丁寧に歌うElia CECINOとは違って勢い重視なのが特徴。
ベートーヴェンのソナタ第32番やショスタコーヴィチのソナタ第1番、完成度が高いとは言えないが、力のある演奏。
31 Lixin ZHANG (New Zealand Age: 21)
2次予選で選出されなかった人から一人選ぶなら彼か。
2次予選の落選者はJ J Jun Li BUI、Jonas AUMILLER、Alexandra STYCHKINA、Nikolay KHOZYAINOV、Talon SMITHと錚々たる顔ぶれだが、Lixin ZHANGは今回初めて知ったために選んだ。
スマート系技巧派タイプのピアニストで、バッハのトッカータ ニ長調、スクリャービンのソナタ第3番、ベートーヴェンの「熱情」ソナタ終楽章コーダ、ドビュッシーの花火あたりは特に印象的。
以上のようなピアニストが、印象に残った。
私にとって、コンクールでソロ曲のお気に入りの演奏に出会うことは少なくないのだが、協奏曲のお気に入りの演奏に出会うことはめったにない。
今回、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番という名盤に事欠かない超有名曲にもかかわらずお気に入りの演奏に出会えたのは、大きな収獲だった。
ケヴィン・チェン、この曲を携えて今後も引き続きコンクールを荒らし続けていくのかどうか、動向が楽しみである。
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