ハンガリーのブダペストで開催された、2021年リスト国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)が、終わった。
これまで、ネット配信を聴いて(こちら)、感想を書いてきた。
とりわけ印象深かったピアニストについて、改めて備忘録的に記載しておきたい。
ちなみに、2021年リスト国際ピアノコンクール(ブダペスト)についてのこれまでの記事はこちら。
(2021年リスト国際ピアノコンクール(ブダペスト) 出場者発表)
Giovanni BERTOLAZZI (Italy, 3 March, 1998)
今大会の第2位。
テクニックと音楽性、ともに完璧とは言わないが水準以上を保った、バランスの良い演奏。
私の中での個人的な今大会のMVPはともし聞かれたら、次のKevin CHENとどちらか迷った末、大人の落ち着きという点でBERTOLAZZIのほうを選ぶような気がする。
Kevin CHEN (Canada, 7 March, 2005)
今大会の優勝者。
相当なテクニシャンで、若々しい勢いに溢れている。
高速テンポなのにほぼ破綻なく弾けているばかりか、音が団子にならず一音一音くっきり聴こえる(重い音よりは軽めの音志向)。
ほぼ、と書いたが、速いあまり完成度が犠牲になっている箇所もないではない(例えば「鬼火」での二重トリル風音型、「ラ・カンパネラ」での同音連打、その他諸々)。
そういった細部の表現のさらなる彫琢に今後期待したい。
KOVÁCS Gergely (Hungary, 26 February, 1995)
今大会の第3位。
骨太な音と音楽性を持ち、リスト(の一面)に合っている。
完成度にやや難はあれど、今大会の中では弾けているほう。
Valentin MALININ (Russia, 25 August, 2001)
シャープな音と音楽性を持ち、これまたリスト(の一面)に合っている。
完成度もそれなりに高いほう。
2次で落ちたのは残念。
Tamta MAGRADZE (Georgia, 14 February, 1995)
今大会の第4位(特別賞)。
肉厚な音を持ち、なかなかに音楽的な演奏で聴かせる。
テクニック面でやや弱さはあれど、今大会の中では弾けているほう。
NAKATA Asagi (Japan, 4 May, 1995)
繊細でロマンティックな表現力の持ち主。
「ジュネーヴの鐘」「森のささやき」「葬送曲」、いずれも説得力のある演奏である(1次は通過でも良かったのでは)。
以上のようなピアニストが、印象に残った。
リストコンクールでリストの曲をまとめて聴くことは、ショパンコンクールでショパンの曲をまとめて聴くのと同じくらい、私には楽しい。
現存する国際音楽コンクールの中でも、とりわけ古い歴史を持つこの2つ(ショパンは1927年から、リストは1933年から)。
やはり、ショパンとリストはピアノ史における特別な2人ということか。
↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。