今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
またまた引き続きショパンのエチュードのワンポイントレッスン動画の記事をリブログさせていただいた。
今回は、エチュードop.10-8 ヘ長調。
今回の練習アイテム(というより秘訣?)は、“腕を左右に動かす体操”。
腕を左右に動かす練習をすることで、腕の横の移動が速くなり、何オクターヴにもまたがる幅の広い分散和音を滑らかにつなぐことができるようになるのだそう。
これだけ幅広いと、端から端まで“指またぎ”と“指くぐり”を繰り返し全ての音を滑らかにつなぐためには、確かに相当すばやい腕の横移動が必要そうである。
【おまけ:私の好きなop.10-8の演奏】
●マウリツィオ・ポリーニ
前回のop.10-7と同じく古典的名盤。
あらゆる音が明朗にくっきりと鳴らされ、テンポも安定し盤石。
明朗でありながらも、どこかロマン的な香りも感じられる。
●中川真耶加
※13:39~
上のポリーニに似た明朗かつ安定感のある演奏。
古典的な佇まいの中にロマン的な香気が漂う点も共通している。
少しミスはあるものの、ポリーニ盤よりも音質が柔らかで聴きやすい。
●エリック・ルー
ポリーニや中川真耶加よりもさらにテンポの速い流麗な演奏。
これだけ速くペダルも薄めなのにタッチはムラなく滑らかで、ペダルが薄いぶん音色も濁ることなく澄んでいる。
冒頭のトリル付きのアウフタクト(弱拍)が正確に四分音符1拍分なのも好ましい(少し長めになってしまう人が多い)。
ただ、第2小節の4拍目の右手の「ファソラソファ」(動画の0:03)が、“指くぐり”がなく弾きやすいためか、“指くぐり”のある1~3拍目に比べてわずかに速くなり、つんのめるような印象を受ける。
第6小節の4拍目の「ソラ♭シラソ」(動画の0:08)もそうだし、以下似たような音型の部分は全てそう。
ポリーニや中川真耶加のような安定した音楽の流れが、ここでは損なわれてしまっている(彼だけではなく、ルガンスキーやブレハッチもそうなのだが)。
上記のリブログ元の記事には、この曲がポーランドの民族舞踊クラコヴィアクを思わせる旨書かれているが、確かにこの曲では、踊れるような安定したテンポとリズム感がどうしても欲しい。
それさえあったなら、この演奏を単独首位としてもよかったかも。
なお、これまでのエチュードについてはこちら。
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