二本並んだ歯ブラシを見ていると、
初めて彼の家にお泊りした頃を思い出す。
日曜の朝になって、彼の家に置いておく用にした
自分の歯ブラシで、歯を磨く。
合鍵と同じくらい、
私にとって、
歯ブラシはラブの象徴だった。
ある時、ホームセンターから
彼が、背の高い細めの戸棚を買ってきて、
「ここに荷物を入れてね」
と言った。
車に入らないので、台車を借りて、
ガラガラ、20分も押して歩いたんだと、
いつまでも言っていたな。
それから数年後、
「セックス・アンド・シティー」で
主人公のキャリーが、
「まだビッグ(彼)が引き出しをくれない!!」
と女友だちに文句を言っていたのを聞いて、
なるほど、
あめりかじんは、引き出しをもらうか
どうかが大事なのか。
と、感心した覚えがある。
それで、戸棚ごとくれて、
彼はご満悦だったのか。
あの細い戸棚は、食器棚代わりに今も使っている。
歯ブラシの方だが、
あまり洗うと彼のものじゃなくなる気がするし、
洗わないとばい菌が半端なく増える気がするしで、
時々、適当に水洗いしている。
歯ブラシと、古い戸棚と、遺骨と…持って…
もうええ
?
ああ、ブラックな、おもしろくないネタを吐き出すブログになりそう・・・
去年の明日こそが、一方通行の
長期入院が始まった日。
これらはきっと、武者震い。
これから、あの恐怖の旅路を反復するのか。
来るなら来い!
受けて立つ!
って、絶対来るねんけどな。
絶対、負けない。
私は、25年前に、年の離れた、最高にカッコいい人の胸をこじ開けて、飛び込んだ。
なにもかも、わかっていたこと。
惚れて惚れて、惚れぬいた人と一緒になった。
幸せだった。
今も幸せだよ。
去年のクリスマスは、震える手で車いすを押して、
リハビリ病院に転院した。
でも、思い出すのは、梅田のティファニーの前で、
これ欲しいな、とポスターを指したら、
壁ドンされた初めてのクリスマスにしよう。
私には、溢れんばかりの、
楽しかった思い出がある。
私たちは、一つのストーリーを全うした。
絶対負けない。
来るなら来い!