歯ブラシと心の準備 | 最愛の夫を亡くして 白い花を手向ける日々

最愛の夫を亡くして 白い花を手向ける日々

2020年4月のことでした。歳の離れた大切な夫と、アラフィフの私。
いつまでも一緒。きっと死ぬまで、彼のことを想う。

二本並んだ歯ブラシを見ていると、

初めて彼の家にお泊りした頃を思い出す。

 

日曜の朝になって、彼の家に置いておく用にした

自分の歯ブラシで、歯を磨く。

 

合鍵と同じくらい、

私にとって、

歯ブラシはラブの象徴だった。

 

 

ある時、ホームセンターから

彼が、背の高い細めの戸棚を買ってきて、

「ここに荷物を入れてね」

と言った。

車に入らないので、台車を借りて、

ガラガラ、20分も押して歩いたんだと、

いつまでも言っていたな。

 

それから数年後、

「セックス・アンド・シティー」で

主人公のキャリーが、

「まだビッグ(彼)が引き出しをくれない!!」

と女友だちに文句を言っていたのを聞いて、

 

なるほど、

あめりかじんは、引き出しをもらうか

どうかが大事なのか。

 

と、感心した覚えがある。

 

それで、戸棚ごとくれて、

彼はご満悦だったのか。

 

あの細い戸棚は、食器棚代わりに今も使っている。

 

歯ブラシの方だが、

あまり洗うと彼のものじゃなくなる気がするし、

洗わないとばい菌が半端なく増える気がするしで、

時々、適当に水洗いしている。

 

 

歯ブラシと、古い戸棚と、遺骨と…持って…

もうええてへぺろ

ああ、ブラックな、おもしろくないネタを吐き出すブログになりそう・・・

 

 

去年の明日こそが、一方通行の

長期入院が始まった日。

これらはきっと、武者震い。

これから、あの恐怖の旅路を反復するのか。

来るなら来い!

受けて立つ!

って、絶対来るねんけどな。

絶対、負けない。

 

私は、25年前に、年の離れた、最高にカッコいい人の胸をこじ開けて、飛び込んだ。

なにもかも、わかっていたこと。

惚れて惚れて、惚れぬいた人と一緒になった。

幸せだった。

今も幸せだよ。

 

去年のクリスマスは、震える手で車いすを押して、

リハビリ病院に転院した。

でも、思い出すのは、梅田のティファニーの前で、

これ欲しいな、とポスターを指したら、

壁ドンされた初めてのクリスマスにしよう。

 

私には、溢れんばかりの、

楽しかった思い出がある。

私たちは、一つのストーリーを全うした。

絶対負けない。

来るなら来い!

 

 

 

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