吉川トリコさんの作品は初読。

 

 

 

 

 

正直に言えば、最初は読んでいても全く響かなかった。

 

 

だって、夢見る若い女の子の気持ちなんてピンと来ない。

流石にかなり昔の話だし( ̄▽ ̄;)

 

しかも、可憐な乙女たちが、こんな微妙な心情の丁々発止を繰り広げていたなんて野暮なオトコどもには想像も及ばない。笑。

 

実は気持ちが寄り添えなさすぎて、一旦中断したほど。

 

 

それなのに、再び読み出し、6編を読み終えてみると、それぞれの心のカタチが少しずつ滲みだしてきてきて、なんか切なくなってきた。

 

 

年金をいただく齢のなっても、まだ夢を見る情けない老人だがm(__)m

井上荒野さんの小説は2作目。

同時並行的に『キャベツ炒めに捧ぐ』(ハルキ文庫)も読んでいるが外出時の時間潰し的読み方なのでなかなか進まない(;゚Д゚)

 

 

 

 

 

 

6つの視点の語り次第で、その「ひととなり」の印象がこれほどまでに変わってしまうのかと、その筆力に驚く。

 

個人的に感情移入できるようなキャラクターがいなかったので、その人間模様をずっと俯瞰している感じだった。

 

ある意味、作者の掌の上で踊らされていた心地。

 

 

読み終え、オトコのひとりとしてはバッサリと斬り捨てられた感が半端ない。笑。

 

 

やっぱり見透かされているのね( ̄▽ ̄;)

原作『むこう岸』(講談社 2018)は、第59回 日本児童文学者協会賞、第12回貧困ジャーナリズム大賞特別賞を受賞した児童文学作品。

 

 

 

 

 

 

法律やそれに基づく制度は、さまざまな立場の人々の生きやすさを助けるためのものだが、その制度の外から見ると、その景色を変える。
それはそのシステム自体の問題というよりは、それを利用する人々にかかっているように思える。

 

そう、利用も悪用も、使う側次第。

しかし、ちゃんと使えば、法律や制度は役に立つ。

 

 

人の心の傷はそれぞれ。

親の過剰な干渉や期待の重圧で自分を殺すことと、貧困に喘ぎヤングケアラーとして自分を抑圧することを比べることはできない。

 

いや、そもそも今の自分にがんじがらめだと俯瞰できない。

相手が目に入らない。

 

それはいじめなど、様々な軋轢と源は同じ。

 

いじめる側は自分が持て余した負の感情でいっぱいいっぱいになり、いじめられる側のことなど眼に入らないから、その深刻さに気づかない。

 

そのとき俯瞰の役割をするのが、法律や制度などによる客観的視点とその活用だ。

 

 

ドラマを見てそんなことを考えた。

心に響くドラマだった。

樹希(石田莉子さん)の凛とした瞳が印象的だった。

 

 

湯川先生(山下リオさん)が樹希(石田莉子さん)に語るシーンが沁みる。

 

「…情けなかろうが何だろうが助けが必要な時は必要なの。嘆いても責めても人は変われない。もし変われるとしたら誰かとかかわりを持ったときだけ。それができなくて泥沼にハマる人をいっぱい見てきた。…あなたはどうなりたい?」

 

 

その問いかけは、おそらく私たちみんなに投げかけられている。

 

 

河川敷に並んぶ、和真(西山蓮都さん)、樹希、アベル(サニー マックレンドンさん)たちが見つめるむこう岸に、大人たちは豊かな景色を用意できるだろうか。

ジブリでアニメ映画化(1915)もされたマンガ作品(『りぼん』集英社)が原作だが、10年後のオリジナルストーリーで構成される。

 

 

 

 

 

 

(ネタバレあります。ご注意!)

 

 

 

好みの問題かもしれないが、私には中学時代の雫(安原琉那さん)と聖司(中川翼さん)が眩しかった。

物書きになりたかったけど、うまく自分の夢や想いとうまく付き合えていなかったあの頃の自分に見せてやりたい。

 

なかでも友人の告白の返事を聞きに来た杉村(荒木飛羽さん)に放つ、夕子(住友沙来さん)の「何で杉村がそんなこと言うのよ!」は胸に響いた!

 

雫に告白したのに友だちに甘んじる杉村の甘酸っぱさもなんとなくわかる(;゚Д゚)

 

 

もちろん成人してからの、ふたり(清野菜名さん、松坂桃李さん)や杉村(山田裕貴さん)や夕子(内田理央さん)もとても良いのだが、10年の遠距離恋愛という設定にしては関係が物足りなくいというか、もうひとつ響かない( ̄▽ ̄;)

 

出版社のくだりも、園村先生(田中圭さん)、部長(音尾琢真さん)、先輩(松本まりかさん)と見ごたえのあるキャストにしては細部が粗すぎる。

 

 

「翼をください」(歌/杏 作詞/山上路夫 作曲/村井邦彦 編曲/武部聡志)は個人的にも思い入れのある曲。

 

いろんな意味で振り返ることの多い作品でした。

 

 

それにしても、あの頃あんなにも潤沢に鳴り響いていた私の音は、どこへいってしまったのか。

2023年日本民間放送連盟賞テレビ部門の準グランプリ受賞作品。

 

 

 

 

2016年、全国で初めて開所した大阪の民間小児ホスピス「TSURUMI こどもホスピス」に長期密着したドキュメンタリー。

 

国内だけでも約2万人といわれる、がんや心臓病などの重い病気と闘っている子どもたちやその家族が、安心して好きなことを学び、遊べる”第2の家”である。


病と懸命に闘う子どもたち。

悲痛な思いに堪え、笑顔を浮かべる家族。

 

そこに寄り添うスタッフ、支援者のみなさん。

 

 

子どもの笑顔を守るためにできること。

親が、大人が、社会が、まず一番に考えるべきことだろう。

 

 

そこへと向かうみなさんの笑顔がとても眩しい。