シンセサイザー「四季」 | geezenstacの森

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シンセサイザー「四季」

 

 

 

 

 

 ヴィヴァルディの「四季」といえば、ひところはさまざまの楽器で演奏されるのが流行ったものですね。このプログでも、お琴や三味線で演奏した和ものとか、ジャズにアレンジされた演奏もの、ヴァイオリンではなくフルートに編曲されたものなどもこのブログで取り上げています。

 

 

 

 

 

 もちろんシンセサイザーのものもありましたよく知られているのはパトリック・グリーソンの演奏するものでした。こういう演奏でした。こちらは1984年に発売されたもので、すでにデジタル収録されていました。

 

 

 そして遡ること6年の1978年に、このレコードのフランク・ベッカーという日本在住の作曲家が、モーグの向こうを張ってローランドが開発したモジュール型のシンセサイザーSystem100を使って作ったものが、世界で最初のものだったのではないでしょうか。今でこそ、そんなものは簡単に作れてしまうようになりましたが、当時はもちろん単音しか出ないアナログシンセで、シークエンサーもせいぜい10音ぐらいしかセットできないという原始的な代物でしたから、それで「四季」全曲を作るのは大変だったことでしょう。こういうシステムです。

 

 当時のミックスダウンの様子の写真が掲載されています。

 

 

 このアルバムの存在は、中古レコードショップで見つけるまでは全く知らなかった存在です。シンセサイザー・ミュージックはその最初の頃から興味があり聴いていました。まだ冨田勲の「月の光」が発売される前で、走りとなったワルター・カーロスの「スィッチド・オン・バッハ」というアルバムでした。まだこのブログでは取り上げていなかったようですが、その第2弾となったブランデンブルク協奏曲は下で取り上げています。

 

 

 そして、冨田勲はしばしば取り上げています。

 

 

 

 

 

  さて、このフランク・バッカーの「四季」です。まあ、聴いて貰えばわかりますが、基本的に四季の楽譜をシンセサイザーの音で置き換えただけの演奏に感じます。そして、ヴァイオリン協奏曲としては本来のヴァイオリンにソロパートは任せるという非常にシンプルな構成で出来上がっています。言えば単純に楽譜のオーケストラパートをシンセサイザーに置き換えただけの演奏という事ができます。まあ、1977年レベルのローランドの装置ではこの程度のことしか出来なかったということです。


 下はレコードからの音源ということで、盛大にパチパチノイズも入っていますが、黎明期のローランドのシステムによる演奏はこんなものであったという事がわかります。1974年の冨田勲の「月の光」がモーグシンセサイザーの機能をフルに使って素晴らしい創作になっている事が分かろうというものです。