今年最後の演奏会?
第44回オーケストラ定期演奏会
16日の水曜日は、仕事の休みと曜日が合ったので今年最後になるかもしれないコンサートに出かけてきました。会場は愛知芸術劇場コンサートホールです。コロナ禍のコンサートですから席を間引いての環境ですが最良のポジションで鑑賞することができました。
曲目は冒頭からショスタコの交響曲第9番という願っても無い曲目です。これでショスタコーヴィチの交響曲を生で聴くのは5番、7番、12番についで4曲目です。この数字はベートーヴェンについで多い数字になりました。個人的にはショスタコの4大交響曲です。
交響曲第5番「革命」
交響曲第7番「レニングラード」
この日の交響曲第9番はちょっとゆっくり目のテンポで開始されました。最近この曲でこんなゆっくりのテンポで聞いたことがなかったので少々驚きました。しかし、アマチュアレベルではこれくらいのテンポの方が演奏しやすいのでしょうか、YouTubeにアップされているものは似たようなテンポでした。さすがプロはこんなゆっくりとしたテンポでは演奏しないようです。唯一見つけた演奏でこの日の演奏会に近いテンポはサージェント/ロンドンSOのものです。こんなテンポでの演奏です。
曲の長さは,約25分で,ショスタコーヴィチの交響曲の中では,いちばん短いグループに属しますが,編成的には,それほど軽いものではありません。トロンボーン3本に加え,チューバも入っています。小規模な作品といっても,あくまでもショスタコーヴィチの他の交響曲に比べての話ということになります。
テンポは少々違和感がありましたが演奏は充実していて、この曲のパロディ性と諧謔性を十分に堪能することができました。曲は5楽章あるのですが、第3楽章から第5楽章はアタッカでつながっていますから聴く人によっては3楽章の交響曲に感じる人もいるのではないでしょうか。そんなこともあり、曲が終わっても拍手が全く起こりません。小生は演奏後の余韻を楽しんでからしか拍手はしないのですが、それでも最初に手を叩いたのは小生になってしまいました。
2曲目は上田仁氏のソロで、ペスキンのトランペット協奏曲第1番が演奏されました。言って見れば今回の演奏はこの前半の2曲がメインであったような気がします。1948年作曲のこの曲はまるでムードオーケストラのための作品かと思うほどロマンチックで美しいオーケストラの調べから始まります。アントン・ルビンシュタイン、セルゲイ・ラフマニノフの曲のようなロマンティックな作品です。ただ、トランペットは技巧的にはかなりの難曲で、それをいともさらさらと吹いてしまうあたりは上田人おそるべ年という感じがしました。
プログラムを見ても分かるように今回はオールロシア圏の作曲家の作品が並んでいます。エネスコだけがルーマニアの作曲家ということになりますが、昔の共産圏の範疇という意味では同一の範疇でしょう。
一曲づつ管楽器のメンバーは入れ替わります。最近の音楽大学はどこでもそうなのでしょうが弦楽のメンバーが少なく、この演奏会でも第1ヴァイオリンは4プルト編成でした。ヴィオラなぞ、2プルトしかいません。それに比して、管楽器の学生は多く、曲ごとにメンバーを入れ替えて、出曲を確保するという苦肉の策の選曲なんでしょうなぁ。しかし、当方としては管弦楽ピースの名曲をまとめて聴けるのですからこんなありがたいことはありません。
ただ、レベルがバラバラになるのは致し方ないことで、ホルンはひっくり返ったり、トランペットは落ちたりともう少し仕上げて欲しかったなぁという印象です。プログラムの4曲だけでも結構ボリュームがありましたが、アンコールとしてさらに、グリエールの「赤いケシの花」というバレエ音楽から「ロシア水兵の踊り」が演奏されました。なかなか珍しい曲で、小生はレコード時代にバーンスタインの演奏でたまたま親しんでいましたが、多分あまり知られていない秘曲になるのではないでしょうか。
アンコールということもあり、全員が実にのびのびとした演奏でわずか3分少々の曲ですが楽しく聴くことができました。