名フィル 第446回定期演奏会 | geezenstacの森

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今回も曲目にショスタコーヴィッチの交響曲がプログラミングされていたので出掛けてみました。

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 土曜午後のコンサートは初めてでした。開演までの時間で、ロビーではコンサートが開かれました。曲目は、ドヴォルザークの弦楽5重奏曲第2番の第1楽章でした。この日はチェロの佐藤有沙さんの誕生日という事もあり、この曲に先立って「ハッピーバースデー」も演奏されました。粋ですなぁ。

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 名フィルの定期は2日間開催されます。この日は2日目の土曜日という事もあり、マチネの開催でした。マチネも良いですね。

曲目は
吉松隆: 鳥は静かに… 作品72
チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35*
ショスタコーヴィチ: 交響曲第12番ニ短調 作品112『1917年』

というプログラムで、尚かつヴァイオリンの独奏がノア・ベンディックス=バルグリーというのも興味深い内容でした。このノア・ベンディックス=バルグリーはもっとも新しいベルリンフィルの第1コンサートマスターです。その彼が日本で初めて協奏曲を披露するというのですから。

 冒頭の吉松隆の「鳥は静かに…」は弦楽だけの曲で傾向としては武満徹の作品に近しいもので日本人の侘び寂びの世界を感じさせる静寂の響きでした。

 続くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は聴き馴染んだ作品でしたが、バルグリーは柔らかい美音の持ち主で、2009年のエリザベート王妃国際音楽コンクールでファイナリストになり注目され、2011-2015シーズンはピッツバーク交響楽団のコンサートマスターを務めていました。使用楽器は1732年クレモナ製のカルロ・ベルゴンツィだそうで、2014年にベルリンフィルの第1コンサートマスターになっています。

 よく歌うヴァイオリンで、2日目という事もあってか指揮者との呼吸もぴったりでスケールの大きなチャイコフスキーを披露してくれました。演奏後は鳴り止まない拍手に応えて、バッハの無伴奏パルティータ第3番からおなじみのガヴオットとロンドが演奏されました。次世代のベルリンフィルを背負っていく逸材でしょうね。先般のレコ芸のオーケストラランキングでもウィーンフィルの退潮にひしてねトップのベルリンフィルはやはり安泰でしょう。

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 後半のプログラムはメインのショスタコの交響曲第12番「1917年」でした。生でこの曲を聴くのは初めてです。弦楽だけで60名の編成で、ステージにはオーケストラメンバーがうめ尽くしています。

 第1楽章の冒頭はややゆっくりとしたテンポで始まりましたが、8挺のコントラバスと10挺のチェロの響きは重厚で、曲のタイトルになっている1917年の時代背景と、作曲された1961年の世界情勢を慮るとこの序奏部は重みがあります。

 主部に入り主題が提示されるとテンポが上がり、勇ましい革命の主題が朗々と響き渡ります。この交響曲第12番は4楽章が切れ目無く続けて演奏されるという意味ではオーケストラにとっては難曲です。

 しかし、名フィルも上手くなったものです。管楽器がバリバリ吹き捲くる曲ですが、音は安定しています。ていうか、先に聴いた第7番の「レニングラード」でも感じましたが、もはや在京のオーケストラにはひけを取らない実力を有しています。

 ダイナミックスと緩急自在にコントロールされたサウンドはコンサートホールが狭く感じさせるような音量で聴くものに迫って来ます。コンサートホールにはマイクが何本も立っていましたからこの公園も収録されているようです。特に目立ったのが指揮者の真上に吊り下げられた3本のマイクで、何かデッカのツリーを彷彿とさせます。ちょっと写真では分りにくいのですが、メインのマイクの両側に2本のサブマイクがついています。

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 この日はほぼ満席の入りで名フィルの実力を思い知らされました。