愛知淑徳管弦楽団 第8回定期演奏会 | geezenstacの森

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愛知淑徳管弦楽団 第8回定期演奏会

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曲目
チャイコフスキー/スラヴ行進曲
グリーグ/ペールギュント第1組曲Op.46
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調Op.47
<アンコール>
グリーグ/ホルベリア組曲よりサラバンド
ルロイ・アンダーソン/舞踏会の美女

指揮/鈴木竜哉
演奏/愛知淑徳管弦楽団

 20日の春分の日は小雨の中を市民会館で開催された「愛知淑徳管弦楽団 第8回定期演奏会」へ出掛けてきました。曲目にショスタコーヴィチがラインナップされているということで聴き逃せません。これで、ショスタコーヴィチの交響曲はコンサートで、第7、9、12に次いで4曲目となりました。

 しかしまあ、学生のそれも中学生、高校生の合同のオーケストラがショスタコーヴィチとは恐れ入ったものです。プログラムの最後のページにこれまでの活動記録が記載されていましたが、第1回の定期で無いきなりメンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」、第5回ではカリニンコフの交響曲第1番、第6回ではドヴォルザークの交響曲第6番なんていうマイナーな曲を演奏してきているということでは非常に意欲的なプログラムをこなしています。

 編成は非常に大きく、第1、第2ヴァィオリンともに15名、ヴィオラが12名、チェロ9名、そしてコントラバスは6名です。元々の発足が弦楽アンサンブルということで、この編成には納得です。

 第1曲の「スラヴ行進曲」はちょっと慎重になり過ぎたか、冒頭は非常に遅いテンポで始まりました。コントラバスのユニゾンで開始され、ファゴットとヴィオラに葬送行進曲風の重々しい中心主題が出てきますが、遅いテンポは初心者には難しいのでしょうか、やや音が不安定なのが残念でした。ここは学生の負担を考えてカラヤンやバーンスタインのようなやや速めのテンポでも良かったのではないでしょうか。チャイコフスキーの指示はモデラートになっていますからねぇ。

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 その後はテンポもアップされ演奏は軌道に乗ってきました。内声部のヴィオラがよく聴こえるということで、アンサンブルが充実しています。金管も多少のミスはありますがよく指揮者の要求に応えていて、尻上がりに良くなっていきました。

 2曲目のグリーグはペールギュントの第1組曲です。学生時代はこの組曲の第1曲「朝無を聴くと一日が始まるというイメージをずっと持っていました。残念だったのは、この開始のテンポが思ったより速かったことです。指示はアレグレットですが、これは是非とも♪=60の速度で演奏して欲しかったですねぇ。

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 この組曲も編成をあまり変えること無く演奏しましたからサウンドは非常に充実していました。市民会館のホールは2000名以上を収容するホールですからねこのホールを目一杯鳴らそうとすると大編成の方が好都合です。今回は通常のS席の位置で聴くことが出来ましたから尚更サウンド的には満足でした。

 後半は、お待ちかねのショスタコーヴィチです。以前は第5番は「革命」というニックネームで呼ばれていましたが、最近では何も表記がありません。そのくせベートーヴェンの交響曲第5番は未だに「運命」と呼ばれるのが不思議です。まあ、ニックネームは無くとも名曲ですからいいのですけれどもね。

 第1楽章から中々小気味のいい演奏ですが、やはり中学生には難しいようでアンサンブルは今ひとつです。メンバー表で確認すると半数が中学生です。木管はまあまあですが、金管もかなりミスが目立ちます。しかし、演奏のひたむきさは伝わってきます。この曲の実演に接するのは初めてですが、ショスタコーヴィチの音楽はピアノやハープが2台も登場することから分かるように、楽器編成もかなり大掛かりですが、各パートがかなり特殊な編成でかかれているのが分かります。ヴィオラだけが旋律を演奏するパートがあるかと思えば、左右の掛け合いがあるという具合に見ていても興味深い演奏です。

 難点はスコアを音にするので精一杯なのか、指揮者が安全運転に徹したのか、演奏がやや単調に終始したのは残念でした。

 注目の第4楽章は、じっくりとした演奏で開始されました。そこから次第にテンポアップはされましたが、あまり極端な急加速ではありませんでした。最近はこちらの解釈が多いように感じられます。

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 ご覧のように女性だけのオーケストラですが、演奏は中々迫力がありました。いい演奏を聴かせてもらいました。

 アンコールは興奮した演奏を沈めるかのようにストリングスだけのグリーグのホルベルグ組曲のサラバンドが演奏されました。ストリング・オーケストラの原点ですね。そして、最後はルロイ・アンダーソンの「舞踏会の美女」で締めくくられました。この曲、この一年間であちこちで演奏されていたということで手慣れた楽しい演奏になっていました。

 来年はグラズノフの交響曲第5番が予定されているようです。小生は金管の充実ぶりからヤナーチェクの「シンフォニエッタ」をフィルアッフ曲としてリクエストしましたが、取り上げられるでしょうかね?楽しみです。