学校給食に有機米100%を!いすみ市農林課の職員に聞く⑤
有機の稲作はコウノトリを野生復帰し、野生に返した豊岡市をお手本にしています。
コウノトリの餌場として生き物がたくさんいる水田にする必要があります。いすみ市では有機米を作り始めて2年目、2014年にコウノトリが飛来しました。始めたばかりの時に飛来して、たいそう勇気づけられたそうです。
有機米の生産には指導者なしでは実現できなかったといいます。豊岡市の指導もされた稲葉先生を師匠と仰ぎ、15,20年かけて積み上げてきた技術を教えてもらいました。
慣行農業なら県に指導者がいますが、有機だと民間ベースで依頼しなくてはなりません。指導者は絶対的に必要だと仰います。いなかったらできない、無理だったと。
現在25haの圃場がありますが、適した圃場を理解して、そのような圃場を選んで進めています。有機米を作るのには水をたくさん使います。水が重要になるので、お金を投じて土木事業を行う必要があり開発的なイメージあるかもしれませんが、それをやるのは無理。ここでもできる、ここでもできると適した場所で増やしていっているそうです。
田んぼだけでなく周りにビオトープや魚道をつくることで、より自然回復に繋げました。
25haはいすみ市の田んぼの面積で言うと1.7%。ヨーロッパなどの先進地でも10%水準なので、いすみ市で200ha いけば凄いかなと思っているそうです。
今、社会的地位を得たところで、これからが大変だと仰います。
吉川市でも環境にやさしい田んぼを用意するだけで、お隣野田市で放鳥したコウノトリが飛来して「コウノトリの街」を謳える、おこぼれが頂戴できると訴えていますが、吉川市ではそうした視点はまだ持ち合わせていないのが非常に残念です。
有機米100%の学校給食は日本ではいすみ市のみですが、「学校給食改革」や「公共調達」による街デザインは、世界的にはあって、海外では2009年からイタリアで、フランスは2017年から、韓国では2018年からオーガニック給食が始まっています。
② 生物多様性条約COP10から有機米づくりへチャレンジまで