毎日、福島原発で大変な状態が続いており、連日、NHKテレビをみています。今、原発のそばで作業をする人たち、尊敬してます。どの職種でも、尊敬できる人はいますが、こうした危機時は、強い心の人たちを、身近に学ぶことができるチャンスです。


前回のブログで、テレビに出てくるプロの人たちは、心が強いということを書きました。連日、原発の状況報道で、キャスター、アナウンサーたちはがんばってきましたが、それでも、時に彼らが強く緊張している様子を見ることがあります。多分、彼ら自身の中で、感情が高ぶらないように平静心を保つべく、必死でがんばっているのでしょう。動揺している時間が短いのがプロの特徴です。

先日のテレビの場面で、悲惨な経験談を読みあげる女性アナウンサーは、言葉が詰まって読み上げられなくなりました。その時、そばにいた若い(補助役?)の男性アナウンサーが、すばやく原稿を彼女に変わって読み上げました。画面はすぐ、男性に切り替わりました。そしてその後も、引き続き他の経験談が読み上げられましたが、男性ではなく、さっき言葉につまったばかりの女性アナウンサーが平常心で読み上げました。恐らく、彼女の中で、「これじゃ、いけない!」と、強い心が回復したのだろうと思いました。環境の変化や予期せぬ出来事で、もうだめだ!と感じた時、人の心が強くなる事があると思います。人の体に覚悟する変化が起きるのでしょう。認知行動療法とは、そんな強い心を、自分自身で少しづつ回復していく方法だと思います。


被災地での一般人へのインタビューで、感動的な場面があります。インタビューなどで、素晴らしいコメントを発する人がいます。希望を感じさせる人がいます。原発被災地で活躍する人から、力をもらえる場合が多いです。ドラマなどの作りごとと違って、一般の人が即座に発した言葉に勇気づけられることがあります。最初、気強く答えていた人でも、途中から急に声を失い絶句して、そして最後はきちんとコメントして終わるなど、感動的な場面があります。


被災地では、薬がなく大変ですが、薬がないと不安になることで、さらに悪い状態になります。薬が届かない場合には、無くても大丈夫と思いながら、できるだけ不安にならないための認知行動療法的思考を試みてください。例えば、血圧の薬、高脂血症などは、多くの薬は、長期的な改善をめざして投与されているので、薬が無くてもそんなにあせらなくても大丈夫です。ワーファリンなどは、続けて欲しいですけど・・・。大変な不安な中では、内因性の抗不安物質も高まるので、抗不安薬は飲まない方が良い場合もあります。


呼吸器のリスクも増大していると思います。人は冷たい空気を吸い続けるだけで、肺炎のリスクが上がりますし、落ち着いた排泄ができない、眠れないなど、全身状態を悪化させます。しかし、インフルエンザなどのウイルス感染症は、皆、自然に治せる力を持っています。多数の人が集まる環境は苦しいものですが、こうした環境の中で、心の強い人、判断のぶれない人は、必ずいると思います。そうした人から、勇気をもらって、不安に思わないことが、症状の回復につながります。早く、暖房が回復しますように・・・。


被災地以外の人で、すでに抗うつ剤や、抗不安薬を服用している人は、こうした被災地からの映像でさらに不安になる方もいるかと思います。不安症の人は、こんなになったらだめだと落ち込むかもしれません。気持ちが落ち込む背景には、自信喪失があると思います。しかし、時間がくれば人の心は回復していきますし、災害と闘う人々から勇気をもらうことがあると思います。


今の、放射能レベルでは、心配することはありませんし、格納機の大きな事故がおきる可能性はそれほど高くないと思います。放射能は遺伝子を傷つけると言いますが、蓄積的なものであり、個人差が大きな問題です(なんでもない人が多い)。人には遺伝子を守る仕組みは多数あります。これからも、そうした体を守るしくみを、一緒に勉強していきましょう。