不妊症の整体治療…
子宮や卵巣-卵管が変位している症例の解説です。
患者Yさん=42才-女性/主婦の症例
① Tさんの病歴・・・
患者Tさんは6才になるお子さんがおられますが、夫婦ともに挙児希望であるにもかかわらずその後二人目が出来なかったそうです。ただ、積極的に婦人科を始とした医療機関で不妊検査-治療を受けていた訳ではありませんので、6年間妊娠しなかった原因についてよく分からないそうです。当院には別件で以前に来院されていた事があるので、今回不妊の相談を受け、不妊整体治療をする事になりました。
② Tさんの診察
・ここ数年の婦人科的な画像検査、血液検査、内診所見などの情報はありませんでした。今まで子宮筋腫や子宮内膜症の指摘を受けた事は無いそうです。
・基礎体温は低温相と高温相がハッキリとしているそうです。
・月経周期は26日周期で、月経期間は5日程度だそうです。
・生理痛は、時折右下腹部(☚鼠径部近く)に軽度あるそうです。
・排卵痛は痛みというより違和感程度のものが上記生理痛と同じ部位に時折あるそうです。
・時たま、右下腹部(☚鼠径部近く)に「ポコポコとして串団子状の膨らみ」が生じるそうです。痛みは生じないそうです。
・不正出血や月経血の凝固塊などはほとんど無いそうです。
・排便は1－2日に一度あるそうです。
・特段の冷え性は無いそうです。
・腹部聴診上、血管雑音やハム音は確認できませんでした。グル音は正常範囲で聴取出来ました。
・腹部打診上、上部が鼓音で中部~下部が濁音でした。肝脾腫は確認できませんでした。
・腹部触診上、左鼠径部、左下腹部深部に著明な緊張と圧痛がありました。特に腸骨動脈分岐部(卵巣窩)の左上方深部で縦-斜め方向に索状物を触れました。また、左下腹部でも軽度の緊張と圧痛があり、同深部に縦方向の索状物を触れました。凹凸不整はありませんでした。子宮底はやや右方に触診できました。下腹部全般におそらく残留便と思われる様な粘土様触感がありました。そのせいか、下腹部全体がやや膨満していました。
・鼠径リンパ節の腫脹はありませんでした。
③ 治療目標と整体治療
⑴ 残留便を排出し消化管による卵巣－卵管の癒着と重圧を解放する
⑵ 子宮を正中位に戻し、卵管-卵巣近接部を卵巣窩(☚腸骨動脈分岐部)に復し、排卵時の卵管采への卵子吸収を助ける
⑶ 卵巣動脈の血流を改善し、卵巣の滋養を促進する
⑷ 子宮-卵管動脈の血流を改善し、卵管-卵巣-子宮の予備力を回復-向上する(☚特に卵管上皮の線毛運動を促進させ卵子移動を助ける)
・消化管平滑筋テクニック
・腸骨はがしテクニック
・子宮底テクニック
・卵管解放テクニック
・卵巣動静脈・卵管動静脈解放テクニック
④ 経過と結果・・・
・患者Tさんの卵管-卵巣-子宮などの位置的状況に、下腹部消化管なども巻き込んで、全体として左方に変位している状態が推定されたので、それを正常位に復する為に初診から5診目まで連続して整体治療しました。
・5診目でほぼそれぞれの臓器が正常位に復したと推定できたので、以後は受け入れ態勢の整備と確認のために、排卵予定日の数日前に毎月1回の整体治療を受けて頂く事にしました。
・但し、念のために婦人科にて妊娠を阻む何らかの別の要因が無いかの検診をする事を勧めておきました(☚もし発見出来れば、その内容にもよりますが、その方が整体治療的にも都合が良い)。 ただTさんは婦人科的な検診は出来れば避けたい、との事だそうです。
・その後、9診目まで当院で整体治療を受けられた結果、運よく妊娠が確認され、現在産婦人科に通院中、との報告がありました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
・婦人科臓器に筋腫や炎症-腫瘍などの器質的疾患が無く正常で健康状態にあっても、卵管采と卵巣の位置がズレて遠方に解離していてれば、排卵された卵子が卵管采に移動する事は難しくなり、それは子宮から卵管に上って来た精子との受精を不能にします。
・今回のTさんの不妊のケースでは、「②-Tさんの診察」からでも「上記仮説=卵管采と卵巣の解離」が比較的容易に予想できました(☚但し、確定診断は専門医による精査が必要。また、その他、別の不妊原因の確認も必要。)。従って、当院で出来る範囲の不妊整体治療として
⑴ 残留便を排出し消化管と骨盤による卵巣－卵管の癒着と重圧を解放する
腹部の大腸や小腸など消化管の重みが卵管を圧迫して閉塞している、あるいは、それらの圧迫により卵管が折れ曲がって閉塞している障害を改善して卵子通過を助け受精を促す
⑵ 子宮を正中位に戻し、卵管-卵巣を卵巣窩に復し、排卵時の卵管采への卵子吸収を助ける
排卵された卵子が卵管采に受け取られやすくなるようにして受精を促す
⑶ 卵巣動脈の血流を改善し、卵巣の滋養を促進する
⑷ 子宮-卵管動脈の血流を改善し、卵管-卵巣-子宮の予備力を回復-向上する(☚特に卵管上皮の線毛運動を促進させ卵子移動を助ける)
卵巣動静脈や子宮動静脈の血流減少により、卵巣－卵管の自然治癒力が減弱したり、あるいは卵管上皮細胞の線毛運動機能が低下しているのを改善し、卵子の通過を助け受精を促す
・消化管平滑筋テクニック
・腸骨はがしテクニック
・子宮底テクニック
・卵管解放テクニック
・卵巣動静脈・卵管動静脈解放テクニック
を、施術しました。
・Tさんは一度妊娠-出産されていますので、念のための精査で器質的な病態が無い限り、受精-妊娠の可能性は上記整体治療で飛躍的に向上するのでは、と考えました。しかし、やはり現年齢ではいわゆる高齢出産となりますので、何かと不利な条件も内在しますから、正直なところは微妙な感があり、それはＴさんもある程度承知されながら、施術をうけられていました。
・ですから、どこかに「無理かもな～」的な雰囲気が漂う中での施術でした。しかし今回については天も味方したのか運よく妊娠が成立し、その意味でＴさんも2倍喜ばれている感じがしました。こちらとしても2倍「ホッ」とした症例になり、印象深い経験となりました。
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