患者Aさん=39才-女性-主婦の症例
患者Aさんは、最近身体が重だるく感じるそうです。特に「身体に栄養のありそうな食材(☚いわゆるごちそう)を食べた翌日のだるさがひどい」そうです。Aさんは不妊治療で当院に来院されていましたので、このままでは「妊娠にも影響が出るのでは」と、不安に思われていたので、並行して治療する事になりました。
・月経周期は26日周期で、月経期間は5-6日くらいだそうです。月経血の塊はあまり無いそうで、どちらかと言うとダラダラと出るタイプだそうです。
・排卵痛はほとんど感じないそうですが、月経痛は数年前まで左下腹部にあったそうです。しかし数か月前からは、月経痛は腹部ではなく頭顔面に痛みが生じるそうです。悪心や嘔吐は無いそうです。
・性交時疼痛症があり、特に後背位で膣深部が強く痛むそうです。
・基礎体温は正常に高低があるそうです。
・AMHは少し低めだそうですが、その他の血液検査での異常は無いそうです。
・婦人科での内診上、筋腫などの所見は無いそうです。しかし、造影検査では左卵管は癒着していて不通状態だったそうです。また、右卵巣は子宮外妊娠時の手術の後遺症で子宮と癒着しているそうです。さらに、右卵管に水腫があるらしく、同部から露出する体液が子宮内腔に還流することで受精卵が流されて着床されない、と婦人科医より指摘されていました。
・血色は少し悪い印象でしたが、眼球結膜に黄染は無く、眼瞼結膜はやや薄いピンク色でした。食欲も普通で、微熱などの全身所見も無いそうです。
・腹部聴診上、血管雑音-ハム音は無く、グル音はかなり弱く聴取出来ました。
・腹部は平坦-軟で、特段の腫瘤感-抵抗感は無く、肝脾腫もありませんでした。しかし、右の下腹部に著明な圧痛とアーモンド様の硬結がありました。また、左右の臍の左右横5~6cmの縦のライン(臍の高さから恥骨上部まで)で著明な緊張と圧痛がありました。
・仙骨部に冷え性があるそうです。
・排便は毎日あるそうですが、何年もの間やや下痢便気味で、食べた量より多く排便している感があるそうです。
・体重が2年前に比べて4kgほど減って、50kg有るか無いかだそうです(以前は身長163cm、体重54kg)。
⑵ 静脈還流の促進と肝機能の改善
・消化管平滑筋テクニック
・腹腔および上-下腸間膜動脈解放テクニック
・門脈解放テクニック
・肝臓自動力
・2診目来院時、「臍周辺の腹部がスッキリしました」と仰っていました。
・4回目来院時、今まで下痢便気味だったのがしっかりとした便になってきているそうです。お腹も暖かく感じるようになってきたそうです。身体の重だるさが少しましになってきている感じがするそうです。
・1か月後の6診目来院時、食後のだるさはほとんど無く、身体が軽く感じるようになってきたそうです。便もここの所ずっと健康的なしっかりとした便が出るようになっているそうです。Aさんの体重は2kg増えて、52kgになっているそうです。
・「便」を商品と考えると、その製造工場は胃や腸などの消化器系臓器です。ですから、その商品である「便」を観ると、その便の製造工場である消化器臓器の性能-状況(病態)が推定できます。その意味で、Aさんの商品である「便」の性状は何年もの間「やや下痢便(☚食餌の消化-吸収障害を示唆する所見)」との事ですから、消化器系の臓器に何らかの病態がある可能性が高い、と思われます。
・従って、身体の重だるさの要因として「消化-吸収障害による栄養不良」と「消化器系臓器の病態」の可能性が高いのでは、と思いました。☚この事は2年前からの体重減少にも関係している可能性もあると思います。
・「身体に栄養のありそうな食材(☚いわゆるごちそう)を食べた翌日」のだるさがひどい」とAさんがおっしゃっている事も、上記仮説を支持するデータだと思います。
・ここで問題になる事は、その消化器系病態に膵臓や胃-腸などの慢性炎症・腫瘍性疾患や、セリアック病、クローン病、虚血性腸炎など、精査が必要なケースがたくさんある事です。ただ、Aさんは定期的な不妊治療-検査を受けておられ、その際の血液検査や腹部の診察において特段の異常を指摘されていないので、とりあえずは安心していいかと思いますが、一応機会をみて、念のために「だるさ体重減少」について精査をする事を勧めておきました。
(上記④「経過と結果」でも記した様に、後日体重が増えて健康な状態になっていましたので、今すぐの精査は不要かもしれません)
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