頭痛、眼の周囲の違和感、及び立ち仕事中の意識喪失感(前失神?)と整体治療 | 【大阪】 整体師養成校 ジャパン・ヘルスサイエンス専門学院                      JHSC整体治療室 = 公式ブログ

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頭痛、眼の周囲の違和感、及び立ち仕事中の意識喪失感(前失神?)と整体治療
患者Nさん=51才-女性-主婦の症例
 
 
 
 
 
 
 
① Nさんの病歴・・・
患者Nさんは時々頭部周囲(はちまき状)の頭痛があるそうです。また2年前から左眼の周囲に円周状の違和感が生じるそうです。立ちくらみやめまいは無いそうですが、同じころから炊事などの立ち仕事中に意識が飛びやすく、失神しそうになるそうです。この件で病院を受診したところ、眼や耳及び頭部の精密検査で左眼球後部の血管(☚具体的血管名は覚えておられませんでしたが、眼動脈流域か?)が細くなっているとの指摘を受け、改めて大学病院の脳ドッグで再検査をしたところ、その血管の狭窄度は軽微で、臨床的にほとんど問題がないとの事だったそうです。しかし、この時に処方された血栓を溶かす薬を服用していると、不正性器出血が生じるので、服用を中止したことがあるそうです。それ以来、鍼灸や整体など他の色々な治療をしてきたそうですが、症状は変わっていないそうです。今回Nさんは別件(子宮脱)を主訴として来院されましたが、これらの症状も併せて整体治療することになりまた。
 
 
 
② Nさんの診察
・現在のNさんの身長は159cmで体重は53kgだそうです。しかし1年前までの体重は39kgだったそうです。それが半年で14kgも増加して半年前に今の体重に安定したそうです。体重増加の原因はよく分かっていないそうです。
・直近の血液検査や画像検査ではLDL値がやや高めだそうですが、それ以外に特段の異常は無く、血圧は108/71mmHgだそうです。橈骨動脈の脈拍は1分間に67回で、左右差はありませんでした。また、微熱などが出ることも無く、頸部の伸展や回旋による失神様症状などもありませんでした。労作による呼吸困難や不整脈の経験(既往歴)も無いそうです。
・頭顔面や下腿の浮腫はありませんでした。左眼の周囲に紅斑・腫脹などの皮膚所見はありませんでした。眼瞼下垂や眼球結膜の黄染-蒼白もありませんでした。瞳孔の位置は正中で大きさも左右対称的でした。眼球の運動や視野にも異状はありませんでした。
・左右ともに耳鳴りや難聴もあるそうで、左耳が左:右=7:10でやや難聴傾向でした。耳鼻科やカイロプラクティック・整体・鍼灸治療を受けていたそうですが、「これは治らない」と言われていたそうです。中耳炎などの既往歴は無いそうです。
・鼻閉・鼻汁・後鼻漏は無いそうです。
・表情筋の運動に左右差はなく、頭顔面の神経学検査で異常はありませんでした。嚥下障害や構語障害もありませんでした。
・12才のお子さんがおられますが、妊娠-出産に特段の異常は無く、ほぼ安産だったそうです。
・30代の時に子宮内膜症・子宮腺筋症との診断を受けているそうです。今も少し内膜症や腺筋症は残っているそうです。不正性器出血は無いそうです。
・20年ほど前に甲状腺機能低下症の診断を受けたそうですが、今は治癒しているそうです。
・1年前に閉経していますが、それまでは生理痛はかなり強いほうだったそうです。主な生理痛の部位は腰、下腹部、会陰部だったそうです。
・2年前から、臍の左下方に持続性の(軽度の)腹痛が時折生じることがあるそうです。また数か月前から恥骨の直上に横一直線状に(約15cm)チクチクとした痛みが生じることがあったそうです。さらに右の尾骨付近から会陰部~恥骨右縁にかけてピリピリとした神経痛が生じることがあるそうです(☚たまに左側に神経痛が生じることもあったそうです)。
・かなり以前から再発性の膀胱炎だそうですが、今は排尿痛などは無いそうです。しかし頻尿気味で昼間も10回近くトイレに行くそうです。さらに就寝中も頻尿で、ほぼ毎晩尿意で5~6回は目が覚めてトイレに行くそうです。そのほとんどは、尿は少ししか出ないそうです。尿の混濁・血尿などは無いそうです。
・排便は毎日あるそうですが、少し残っている感じがあるそうです。
・20代から冷え性があり、特に冷たく感じる部位は左右大腿の前面と左右肩甲骨の間だそうです。左右肩甲骨の間の冷えについては漢方医より「心臓に問題がある」とのことで、心臓を強くする漢方薬と血流をよくする漢方薬そして血液を増やす漢方薬を処方されているそうです。
・甲状腺の腫脹・腫瘤や萎縮はありませんでした。しかし頸部の前後側面の筋肉群に著名な緊張と圧痛がありました。
・頚胸部の聴診上、血管雑音、あるいは心音・呼吸音に異常はありませんでした。また打診上、肺尖部などの濁音もありませんでした。
・腹部聴診上、グル音はやや強めに聴取出来ました。血管雑音はありませんでした。
・腹部触診上、全般的に膨隆傾向で、やや緊満感がありませんでした。肝脾腫や腫瘤感はありませんでしたが、臍部左側と左鼠径部直情に沿って著名な緊張と圧痛がありました。子宮底の触診は出来ませんでした。
 
 
 
➂ 治療目標と整体治療
 
  ⑴ 軽度の循環障害を呈していると思われる内頚動脈~内頸静脈あるいは眼動静脈の還流を回復する
    ⑵ 上下眼瞼周囲の動静脈の還流を回復する
    ⑶ 頭頚部周囲の筋緊張を解放する
    ⑷ LDL値が高いので、念のため眼動脈を中心とした脳血管や眼の検査を勧める

・静脈還流促進テクニック (浅側頭動静脈、顔面動静脈、顎動静脈、内頸動静脈)
・翼突筋静脈叢開放テクニック
・頸部周囲の筋肉群の推拿
・頭蓋仙骨療法
 
 
 
 
 
④ 経過と結果・・・
・2診目来院時、
はちまき状の頭痛は減ってきているそうです。眼の周囲の違和感も軽減してきたそうです。炊事場での立ち仕事中の意識喪失感(☚前失神症状?)は一度も出なかったそうです(ちなみにこの意識喪失感=前失神症状=はその後一度も出なかったそうです)。

・4診目来院時、
はちまき状頭痛はほとんど出ないそうです。ただ、後頚部の凝りが残っているとの事でした。左眼の周囲の違和感に関してはその範囲が大幅に狭くなり、今では左眼の上外方(☚涙腺付近、同部位に腫脹や発赤・圧痛は認められませんでした)だけに違和感が出るそうです。

・Nさんは主訴である子宮脱の治療のためにその後も通院されていましたが、5診目以降にはちまき状頭痛と立ち仕事中の前失神症状は一度も出なかったそうです。また、左眼の一部に少し残っていた違和感も、6診目来院時には「この一週間の間に一度だけ(数分)生じただけでした」と仰っていました。

・左眼周囲の違和感に関しては一部残っていましたので、改めて「眼動脈を中心とした脳血管や眼の検査」を、念のために勧めました。しかし7診目以降から11診目来院時まで「前失神症状、はちまき状頭痛、左眼の違和感」などの症状が出なかったので、本件の治療はひとまず終了する事にしました。
 
 
 
 
 
⑤  今回の症例の概説、、、
・まず最初に、患者Nさんの頭痛はいわゆる「はちまき状頭痛」ですから、ほぼ筋緊張性頭痛で間違いないのでは、と考えます。従って同頭痛に対しては、直接的には頸部に付着する筋肉群の緊張を緩和する事が第一選択肢ですから、後頭下筋群や胸鎖乳突筋などを中心とした推拿(圧法)や頭蓋仙骨療法を施術する事にしました。フィクセーションがあればアジャスト対象ですが、それは無かったので施術しませんでした。

・次いで炊事などの立ち仕事中の意識喪失感=前失神症状と思われる=に関しては、NさんはLDL値がやや高いとの事ですから、脳血管の動脈硬化・一過性脳虚血障害(TIA)・不整脈などの(あるいはそれ以外の)病態も考慮しなければなりません。従って上記③でも記したように「念のため眼動脈を中心とした脳血管や眼の検査-他」を勧める必要があると思いました。とは言え、「当院の整体治療で改善できる可能性のある病態は整体治療をしても差し支えない状況である」と考えましたので、上記③で記した
   
⑴ 軽度の循環障害を呈していると思われる内頚動脈~内頸静脈あるいは眼動静脈の還流を回復する
の治療方針で整体治療することにしました。
 
 
 

・その結果、意識喪失感については2診目以降からずっと生じることなく改善していましたので、これに関しては動脈硬化や血栓症的な病態というよりは、「頸部筋肉群による内頚動脈-内頸静脈の還流障害による軽度の脳虚血」が主な原因であったのでは、と思います。
 

・最後に、左眼周囲の違和感に関しては、大学病院での検査で左眼動脈流域と推測される血管の軽微な狭窄があったことから、また三叉神経や顔面神経の検査で異常は無かったことから、左眼周囲の違和感の主因として頸部筋肉群の緊張による上下眼瞼の血流障害を考え、眼動静脈や顔面動静脈・顎動静脈・浅側頭動静脈などの眼瞼周囲を支配している血管の還流を回復する事を目的とした整体テクニックを施術しました。
 

・この結果、左眼周囲の違和感は2診目から反応を示し、左眼の上外方を除く全周で違和感が消失したことから、この仮説で概ね妥当であったのでは、と思います。ただ、左眼の上外方(涙腺付近か?)だけ緩解しにくかったことから、やはり同部位に還流している涙腺動脈(顎動脈+中硬膜動脈涙腺交通枝)と思われる血管の軽度狭窄が原因しているかもしれませんので、改めて念のために精査することを勧めておきました。

 

 

 

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