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震災被災地で子ども復興五輪を!

2020年1月郡山市でNPO福の島プロジェクトの小林文紀代表と懇談した折に、東京オリンピック・パラリンピックの関係行事に福島県の子どもたちが参加できるようにできないかとの相談があった。

 

東京オリンピック・パラリンピックは、「復興五輪」として世界中から頂いた支援への感謝や、復興しつつある被災地の姿を世界に伝え、国内外の方々に被災地や復興についての理解・共感を深めてもらうことになっている。

 

身体能力や運動能力が著しく発達するプレゴールデン・エイジの時に、避難所生活、仮設生活、地域によっては外で自由に遊べないなどの負担を経験した福島の子どもたちだからこそ、身近で開催されるオリンピック・パラリンピックに直接に触れることは、様々な夢を育む二度とない機会というのが、小林代表の思いであった。そこで、東京オリンピック・パラリンピック担当の橋本大臣と田中復興大臣に要請に来てもらう事にした。

橋本オリパラ担当大臣への要請は3月となり、私も同席させてもらった。橋本大臣からは、エスコートキッズや聖火リレー等で被災地の子どもたちが参加できるよう配慮するとの回答をいただいた。

復興庁ではNPO福の島プロジェクトの要請に基づき何ができるかを事前に検討してもらっていた。復興庁では、復興大臣に代わり私が要請をお受けした。私は、「子ども復興五輪」を開催することを回答した。被災3県の中でオリンピック・パラリンピック競技のない岩手県の鵜住居復興スタジアムを会場に被災3県の子どもたちでラグビー試合や現役選手などとの交流会を開こうというものだ。小林代表が喜んでくれたのは言うまでもない。しかし、その後に新型コロナウイルス感染症の拡大により、東京オリンピックは延期となり、子ども復興五輪の開催時期も見通せなくなってしまった。

9月には大臣以下の政務が菅内閣の誕生により一新。私は副大臣を再任されたので、引き続き子ども復興五輪の開催を模索してきた。そして、震災10年の節目となる2021年3月に、東日本大震災からの復興のシンボル「釜石鵜住居復興ラグビースタジアム」と高校ラグビーの聖地「東大阪市花園ラグビー場」をオンラインで結んで、被災3県のほか自然災害のあった府県からの小学校の代表選抜チームによる「子どもラグビー復興五輪」の開催を検討することになった。さらには宮城県や福島県でも子ども復興五輪の検討を進めている。

食品製造・加工業を「結いの場」で応援

復興庁は、被災地の各地において、被災地企業と支援提案企業とのビジネス・マッチングを目的とした『地域復興マッチング「結いの場」』を開催してきた。復興には被災地企業の事業再生と発展が不可欠だが、被災地企業は人材不足や販路回復などの様々な課題を抱えている。そこで、ノウハウやアイディアを提供したり社内で販売機会を設けるなどして被災地企業を応援したいと申し出た首都圏の大企業や団体とのマッチング事業を行っている。これは、通常のビジネス・マッチングでは得られない機会を提供するものとして、毎年、岩手県、宮城県、福島県の3県で実施されてきた。スタートした平成24年から平成30年までに被災地企業244社、支援企業延べ786社が参加し、367件のマッチング実績を積み重ねてきた。


復興副大臣に就任して「結いの場」の参加企業リストを見て思ったのは、ものづくり産業が多く食品産業がほとんどないということであった。原子力災害からの復興と再生に取り組む福島県においては、これからが農業や漁業が本格的になるので、これらに関連する食品製造・加工業に頑張ってもらわなければならない。そのため6次化に取り組む農林水産業の事業者や食品製造・加工業者に参加してもらえるよう働きかけることにした。

それから半年以上の時間を要したが、2020年11月10日に食品関係の事業者を中心とした福島県の「結いの場」を実現した。参加企業9社のうち6社が6次化農業者や水産加工業者となった。当日は、コロナ禍のためリモートでの開催となったが、熱のこもったワークショップが繰り広げられた。今後は宮城県と岩手県の「結いの場」においても同様の取り組みを行うことになっている。

楢葉町とギリシアとの友好交流を推進

2020年5月から6月には、コロナ禍による外出自粛のため、復興庁の被災地視察はすべて中止となり、市町村長はじめ復興事業関係者との懇談もできなくなった。この間、訪問はできなくても対話ができると考え、浜通り15市町村の首長や議長との電話会議を行った。
 

楢葉町の松本幸英町長との電話会議では、聖火リレーを通じてギリシアとの友好交流を深めたいという事が話題になった。松本町長が言うには、楢葉町にはJビレッジがあり聖火リレーのスタート地点になる。楢葉町がこのような記念すべき行事に巡り合うのは二度ないだろう。これを機会にギリシアとの友好を深め、小中学校ではギリシアやオリンピック・パラリンピックのことを学び、子どもたちをギリシア大使館やギリシアに派遣して国際交流を体験してもらいたい。しかし、楢葉町はギリシアとのつながりがないので、復興庁から照会してもらえないかと言うのだ。

私は、「それは是非やらせて下さい」とお返しした。そこで、まず、楢葉町に復興庁の「ありがとう復興ホストタウン」に応募してもらい、ギリシアのホストタウンになってもらった。その上で、復興庁の国際班からギリシア大使館に連絡を入れ、カキュシス駐日大使との面談の約束を取り付けた。

自粛期間の明けた7月に松本町長に上京頂き、復興庁でカキュシス駐日大使とお会いした。大使は聖火リレーを縁に友好交流を深めたいとの申し出をとても歓迎してくれ、聖火を採火することで有名なオリンピア市と楢葉町の交流に尽力することを約束してくれた。松本町長は、さらにギリシアのオリーブの種をもらいたいと申し出た。オリーブの種を頂ければ、苗木にして町内の聖火リレーコースに植樹したいというのだ。これにも大使は快く応じてくれ、近く本国から持ち帰るだろうと答えてくれた。

11月になってギリシア本国に帰国していたカキュシス大使の14日間の待機期間が明け、駐日大使公邸でオリーブの種の贈呈式を執り行うことになった。ここには、この話題の発端となった一般社団法人ワン・アースの長谷川理事長と甚野顧問も同席された。ワン・アースは、復興庁が推進する「東北復興宇宙ミッション」により、オリーブの種を世界中に復興の感謝を示すために宇宙に打ち上げることを計画している団体だ。
 

多数のマスコミが取材するなか、カキュシス大使の手から厳重に包装されたオリーブの種が松本町長に手渡された。楢葉町で育てられるオリーブは、楢葉町で育つ子どもたちに夢や希望を与えるものになるだろう。