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石炭鉱業年金基金事務所の釧路移転

2020年6月に釧路市の釧路コールマイン株式会社(KCM)を月田光明市議と訪問したところ、石炭鉱業年金基金事務所の釧路移転に係るご要請を頂いた。

 

石炭鉱業年金基金とは1967年に施行された石炭鉱業年金基金法に基づき、石炭労働者の雇用の安定確保のために設立された石炭産業独自の年金制度である。設立当初は会員が全国に及びその本社の複数は所謂、財閥系であったために事務所が東京に設置された。

 

石炭から石油へのエネルギー革命により石炭産業は衰退し、石炭鉱業年金基金の会員は実質KCMだけとなった。年金受給者も15年後にはKCMの職員だけで47%を占めると推定されている。また、石炭鉱業年金基金の役員は、常勤の2人以外はKCMの役員であり、彼らは会議の都度、釧路から上京している。こうした現状に対し、事務所を釧路に移転できれば、事務の効率化を図ることができるほか、事務所の賃貸料を大幅に削減できる。さらには釧路地方に多く在住する年金受給者に対してのサービスの向上も期待できる。

 

事務所の移転には厚生労働大臣の認可が必要なため石炭鉱業年金基金は厚生労働省に対し事務所移転を相談してきた。これに対し、厚生労働省は年金システムを東京の大手ベンダーから切り替えることや移転経費の回収などの課題を挙げていた。石炭鉱業年金基金は、これらに対して行政システムに関わってきた地方ベンダーの存在や運営経費削減の見込みなどを示し、必要な対策を講ずるべく努力していたが、事務所移転の目処が立たない状況が続いていた。

そこで、釧路から戻った私は厚生労働省年金局に検討状況を問い合わせたところ年内を目指して調整するとの意向が示された。月田市議からは稲津厚労副大臣への申し入れの提案があったので、7月14日にセットした。当日は石炭鉱業年金基金の菊地靖則理事長ら4名に加え若松参議院議員と私が同席した。稲津副大臣からは厚労省としても釧路市への事務所移転のために支援していくとの力強い回答を頂戴した。今後、年内の事務所移転を目指して準備を進めていくことになっている。

帰還困難区域の避難指示解除

5月28日に自民党と公明党の東日本大震災復興加速化本部は、合同で復興庁、経産省、環境省の3省庁に対し、「飯舘村要望書に係る政府への申し入れ」を行った。復興庁からは大臣の代理として私が出席した。

飯舘村の要望とは、地域の復興を進めるため、特定復興再生拠点区域外の帰還困難区域を復興公園として整備し、併せて避難指示を解除して欲しいというもの。飯舘村以外からも拠点区域外の除染や家屋解体の要望がたびたび寄せられており、5月26日には「原発事故による帰還困難区域を抱える町村の協議会」から拠点区域外の避難指示解除に向けた方針の明示などの要望が出ていた。

与党復興加速化本部は、これらを踏まえ帰還困難区域の復興・再生のため、現状の制度や枠組みにとらわれない速やかな対応を政府に求めてきた。これに対し私は、「住民の安全確保を前提に、地元のご意向に沿った土地活用が実現できるよう、関係省庁と連携して検討する」と応じた。

これは、福島の復興・再生にはとても重要な対応で、翌朝の地元紙は「復興拠点外の避難解除を」などと大きく報じた。今後は地域から拠点区域外の土地活用の提案があれば避難指示解除に向けた検討がなされることになる。ただし、「住民の安全確保」が大前提であり、住民の居住を想定したものではない。

福島15市町村の首長とのオンライン会議

新型コロナウイルス感染症拡大にともなう外出自粛とその後に続いた非常事態宣言により、被災地への視察及び市町村長、議長、復興事業関係者らとの意見交換の機会がすっかり失われてしまった。被災地からの要請や大臣と被災3県知事との意見交換はテレビ会議システムを利用して行い、復興事業に影響の及ばないよう努めてはきたものの、以前のような頻繁なやりとりには程遠く、徹底した現場主義を掲げ復興に取り組んできた復興庁にとっては仕事のやりづらい期間であった。

そこで、私は、福島県浜通り15市町村の市町村長とのオンライン会議を提案した。市町村によっては復興庁と同じテレビ会議システムを準備できない役場もあったので、その場合は電話会議にした(結果的に電話会議が圧倒的に多かった)。

 

4月28日の双葉町からスタートし、5月22日の相馬市まで、約1か月で15市町村を一巡した。いずれの市町村長も意見交換の機会を作ったことをとても喜んでくれた。いつも行っている大臣室でのやや堅苦しい要請とは異なり、打ち解けた雰囲気の中で、多くの復興課題をお聞きし貴重な意見交換の場となった。ここでお聞きした課題は担当部署と共有し必要な対応を行っている。町の将来が大きく開いていきそうな明るい話題もあり、今後の展開が楽しみとなっている。

浜通り15市町村とのオンライン会議は、思いのほかよりよい効果を生んでいることから、5月の第5週からは、宮城県と岩手県の自治体においても担当政務がオンライン会議に臨むことになっている。

 

復興庁では、6月中旬以降、地域の感染状況や感染拡大リスク等を踏まえつつ、現地視察や対面での要望活動の再開に向けて検討していく予定だ。